荒川を知ろう
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荒川上流部改修100年
荒川紀行
六堰頭首工
荒川河口から87キロ付近、深谷市にある六堰頭首工です。
すぐ近くから見学できるようになっており、下の画像は左岸側から下流に向けて撮影しています。
ここは荒川の水を取水する施設で、水田や畑に流す用水路に水を流しています。歴史は江戸時代初期からになります。荒川の水を得るために、6つの堰をつくり用水路に水を引いて、新しい田んぼを開きました。水が不足する渇水にみまわれることもあり、そのたびに水をめぐって農民同士の争いになっていました。それぞれの堰は、位置だけでなく、取り入れ口の幅、深さ等が細かく決められていました。
水争いの解消や、安定した水を確保するため、昭和14年に六つの堰を統合する形で旧六堰頭首工が完成しました。
その石碑が管理事務所の前にあります。その碑によると、1市13箇村、約2300町歩の水田を要する水利組合を設け、大正15年6月に改良事業の申請を県に出したとあります。2300町歩は、だいたい23平方キロメートルの広さになり、東京ドームに換算すると約490個分になります。旧六堰頭首工の完成から約60年が経った頃、老朽化した施設の改修が緊急の課題となっていました。
用水施設の機能回復、災害の未然防止、他にもさまざまな目的をもって、平成15年(2003年)に新しい六堰頭首工が完成しました。
その記念碑も管理事務所の前にあり、その碑によると、4市1町にまたがる3820ヘクタール、関係農民7751戸を受益者とする地域で行われたとあります。町歩とヘクタールはだいたい同じですから、1.6倍くらいに増えています。記念碑の中に「江南サイフォンの代替え施設を頭首工に併設」とあります。
旧六堰では、左岸で取水し、4キロ程度下流の深谷市と熊谷市の境付近でサイフォンの原理を使って右岸に水を供給していたため、下流に川の下をくぐりぬける水路トンネルであるサイフォン(江南サイフォン)を設置して、対岸に農業用水を運んでいました。
現在では、六堰頭首工から右岸幹線導水路を伝って用水を供給しているため、江南サイフォンは役割を終え現在では使用されていません。
左が江南サイフォンの写真です。ここの呑口よりサイフォンから対岸である右岸の吐出口に農業用水を運んでいました。(現在では使用されてません)