荒川を知ろう
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荒川の自然
荒川の中・下流域でよく見られる自然環境のタイプ
多自然農地
どこで見られる、どう守る
河川敷に残された昔ながらの農地は、水田や畑、休耕田、休耕畑、素掘りの水路、屋敷林などが複雑に入り組んでいます。荒川流域では、浦和市の大久保農耕地をはじめ、荒川右岸側の川島町、上尾市、鴻巣市の市境周辺、川越市の握津地区、志木市宗岡田んぼに、かつての景観そのままの自然度の高い農地が残されています。単調な空間構造しかもたない整理された農地と比較して、このような多自然農地は多様な環境を生み出し、多様な生き物の生息空間を生み出しています。このような昔ながらの環境を残していくことが重要です。
植物とのかかわり
屋敷林は、落葉広葉樹と常緑広葉樹が混在する林や竹林で、低地帯では自然堤防上に多く見られます。農耕地の間の畦や段差には、キンエノコログサ、チガヤといったイネ科植物や、カントウタンポポ、サギゴケなどが見られます。水田のなかにはコナギやオモダカ、キクモなどが、休耕田には湿性植物のタデ類やヨシ、ガマ類、希少植物のミゾコウジュやタコノアシなどが生育し、長い間放置された休耕田にはハンノキ林ができる場合もあります。
動物とのかかわり
イタチ、タヌキ、キツネは、人里周辺の農耕地で小動物を捕らえて食べます。水路沿いや畦道の草むらは、タヌキなどの中・小動物の移動路や、バッタ類などの昆虫類の生息地です。水田には湿地の生き物が暮らし、それらを食べるサギ類のエサ場にもなっています。水質が良く一年中水のある水路につながっている水田にはヘイケボタルも暮らし、水路は多様な水生生物が暮らしています。かつて農用林として畦に植えられたハンノキやトリネコなどの「はざ木(横木を通して稲束を乾燥させるために植えられた樹木)」は、昆虫類や鳥類の移動にも利用されています。