平成23年8月に内閣府「首都直下地震モデル検討会」(座長:阿部勝征東京大学名誉教授、以下「モデル検討会」という。)にて、首都直下地震対策の対象について過去の大規模地震も含め、様々な地震を対象に加え、最新の科学的知見に基づき検討が行われ、中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループにおいて、マグニチュード(M)7クラスの地震のうち、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと思われる都区部直下地震を防災・減災対策の対象とし、今後、切迫性の高いM7クラスの首都直下地震について様々なタイプにおける震源想定を実施し、最も被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都区部直下の都心南部直下地震を今後の対策における対象地震としています。
住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもの。なお、建物の構造的な倒壊・崩壊はこの全壊に含まれる。
液状化の場合、外観目視判定により一見して住家全部あるいは一部の階が倒壊している等の場合、あるいは傾斜が1/20以上の場合、あるいは住家の床上1メートルまで地盤面下に潜り込んでいる場合が全壊に相当する。液状化による建物全壊等によって人的被害は発生した事例は少ない。
出典:首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)~人的・物的被害(定量的な被害)~平成25年12月
(中央防災会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ)
【関東地方整備局業務継続計画(BCP)】
関東地方整備局では、首都直下地震に備えて、従来の防災対策に加えてBCPを策定し、迅速な災害復旧を目指しています。この計画は、逼迫する首都直下地震等の大規模災害時における一層の危機管理体制の充実を図り、関東地方整備局が、直轄施設に限らず都県市町村施設への応援・支援も含めた災害応急活動など地域の防災力として機能するため「機動性」「専門性」「資機材」をフルに有効活用した防災組織となることを目標としています。また、関東地方整備局が整備・管理する道路、港湾、河川などの基本インフラは、企業活動でも重要な機能であり、BCPにより早期の緊急輸送道路の確保などの考え方を示すことにより、企業BCPの策定の要素として頂き、災害後の早期社会機能の復旧を図ることを目的としています。
【道路啓開】
首都直下地震発生の際、都心に向けた八方向(八方位)毎に高速道路、国道、都道の被災箇所・規模が比較的小さい路線・区間を交互に組み合わせて優先啓開ルートを設定し、一斉に道路啓開を進行(八方向作戦)します。ルートの設定に当たっては現地状況に応じて柔軟に対応しつつ、上下線各1車線の道路啓開を実施します。
人命救助の72時間の壁を意識し、発災後48時間以内に各方向最低1ルートは道路啓開を完了することを目標とします。
【排水対策】
江東デルタ周辺の海抜ゼロメートル地帯において、津波の影響や堤防の損傷等による浸水被害が発生する恐れがあるため、排水ポンプ車による迅速な排水活動が必要となる。
【TEC-FORCE活動】
首都直下地震(都心南部)東京都心震度6強以上の地震が発生した場合においては、全国の地方整備局等(東北、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州の各地方整備局、北海道開発局及び沖縄総合事務局、各地方運輸局及び地方航空局)のTEC-FORCE隊員が関東地方整備局の応援のため、自動的に集結し、被災地域の自治体支援や河川・道路被害調査、復旧ならびに人命救助に係わる道路啓開、排水対策、支援物資の運搬等多岐にわたる支援を行えるよう事前に計画を検討しております。