雨水や一度使用した水を再利用する雑用水は、関東や北九州地域における利用が集中しており、約8割の施設が水洗トイレ用水、他に植物への散水などに利用されています。しかし、これら雑用水の生活用水使用量に占める割合は約1%程度です。今後このような雑用水を増やしていくことが望まれますが、そのためには多くの時間と費用がかかります。河川水からの取水に約7割を頼っている現状では、安定した取水源であるダムに頼らざるを得ない状況にあります。
ダムには、1)洪水調節機能、2)河川維持流量の供給(舟運、漁業、地下水の維持等を正常に維持するための流量)、3)利水補給(上水、農業用水、工業用水等)、4)発電、などの機能があり、その用途に応じてダムの建設・運用がなされています。
ダムを長生きさせるための取組の一環として、ダムの堆砂対策を行っています。堆砂が進行しているダムの堆砂排除を行い、ダムの貯水機能を維持しています。主な対策として、堆砂の排除、貯砂ダムの設置、排砂管・排砂ゲートの設置等の取り組みがされています。
「緑のダム」と言われる森林は、雨が少量の時は地中に浸透し、流出する量は少ないですが、大雨の時は土壌が飽和状態となり、降った雨は土壌に浸透することなく流れ出ます。また、日照りが続くと、蒸発散作用により森林自身が水を消費し、水を吸い上げるため、河川流量がかえって減少する場合もあります。このため、洪水や渇水を防ぐためには森林とダムの両方が必要と考えられています。
現在、我が国では年間約300億mの都市用水を使用していますが、そのうち約55%はダム等の水資源開発施設の整備により安定した取水が可能となっています。首都圏では約90%がダムで開発された水道水です。特に関東臨海部では水資源開発施設にその殆どを依存している傾向にあります。
水需給に関する施策は、需要と供給の両面から水系や地域の状況も踏まえた施策を選択していく必要があり、計画的な水資源開発施設の整備や既存施設の有効活用、水源の多様化、節水等を推進している。また、水源を抱えている水源地域の役割は非常に重要であるものの、近年における過疎化・高齢化の進行により、森林等の管理が適切に行われなくなっており、今後は、水源地域の保全・活性化を推進していくことが重要となっている。
平成13年度に実施された「水に関する世論調査」では、雨水や一度使用した水を再利用する雑用水に対して、約75%の人が「使いたい」と回答しており、雑用水の再利用を家庭に導入することに関して、「個人負担が伴っても家庭に導入したい」と考えている人も約35%を占めています。このことから、水の再利用に関して非常に意識が高く、家庭に普及することについても利用コストの問題があるが、意識が比較的高いことが伺えます。
水資源の有効利用は、新たに大規模な水資源開発施設の整備を必要とせず、水需給ギャップを緩和することができると共に、渇水時の影響をある程度緩和することができる方策としてその重要性は大きいといえます。供給・利用段階における有効利用施策としては、水道管や農業・工業用水路の適正な維持管理や改築、雑排水の積極的な利用、用途間(農業用水と水道用水など)の水の転用、水資源開発施設における有効利用施策としては、既存ダム郡の総合的な管理・運用による有効活用などが挙げられます。
水資源の少ない離島において、海水淡水化プラントによる水資源の確保が取り組まれています。しかし、プラントの建設・稼動に際しコストがかかり、沖縄県の例では、水道水1t当たり100円なのに対し、淡水は280円と2.8倍になっており、プラントの稼動に必要な石油の消費による地球温暖化など、コストや環境面における問題の解決が必要となっています。