河川
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那珂川
那珂川の自然
那珂川は那須岳を水源とし、山間部の狭い平地に作られた水田等の農耕地を流れ、水戸市、ひたちなか市の都市部を流れて、太平洋にそそいでいます。那珂川は、関東でもアユが生息し、鮭の遡上する川としても有名です。また、その水質は過去10年間の平均(平成5年から平成14年)で見ると、上流から下流までいずれも環境基準を下回っており、清流と呼ぶにふさわしい川です。
上流域
源流那須岳周辺地域は、高原山周辺とともに日光国立公園に含まれており、地形も変化に富んでいて、多様な生物相が見られる区域になっています。源流区間の下流では、親園(大田原市)、市野沢(同)等に湧水地群があり、一年を通して水温変化が少なく、水質は良好で、湧水特有の生物が生息・生育しています。また那須野原には、アカマツやクヌギ林が分布していて、栃木県内でも豊かな雑木林が残り、豊かな鳥類、ほ乳類、昆虫類が見られます。
中流域
中流域の那珂川は、八溝山地の西側を流れ、御前山付近から下流の台地・丘陵の間を流れていきます。八溝山地を横断する地域は両側が崖地となっており、崖地特有の植生となっており、部分的に温暖帯に見られる針葉樹林が分布しています。河原の植生はオギ群落が最も多く、砂河原には河原植物が生育し、そりに依存する鳥類や昆虫が多く見られます。豊かな那珂川の流れは、水質を良くし、砂州の入れ替わりによって瀬が良好な状態に維持されており、春から夏にかけてはアユが遡上します。
下流域
水戸市付近から下流域に入る那珂川は、肥沃な沖積平野の田園地帯を流れます。下流域には笠間、水戸等の県立自然公園があり、その一つ水戸県立自然公園内には、日本三名園の一つ名勝偕楽園があり、季節毎に観光客で賑わいます。河口から20km付近までは、汽水性の魚類や底生動物とともに、淡水性の魚類や水生昆虫も生息し、多様な生物層を示しています。