砂防と防災
災害を誘う自然

利根川上流には、多様で優れた自然環境がありこれを土台にして豊かな暮らしが営まれています。
こうした環境は、地形・地質・気象などの地域固有の自然条件に大きく影響を受けています。
この地域特有の自然条件は魅力ある観光地やレクリエーション地、そして特産物などを生み出し、多くの恩恵を地域にもたらしますが、一方で暮らしと生命をおびやかす土砂災害の危険が常に地域につきまとっています。
地形・地質

○日本有数の火山地帯
利根川の上流域の多くは、日本でも有数の山岳地帯であるとともに、火山地帯となっており、草津白根山、浅間山、日光白根山、などの火山があり、その火山噴出物からなる地質は脆弱な(もろくて崩れやすい)ものとなっています。
○土砂災害が発生しやすい急な傾斜の地域
もろくて崩れやすい急な傾斜の地域では、崖崩れ・土石流・地すべりなどの土砂災害が発生しやすくなっています。
○破砕作用を受けている地質
また神流川流域の地質は堅い秩父古生岩層の岩石で構成されていますが、多くの断層や破砕作用(地震などで岩石が破壊されること)によってもろい地質になっています。
気象条件

○土砂災害を引き起こす集中豪雨
土砂災害の多くは豪雨によって引き起こされます。とくに梅雨や夏の台風に伴う集中豪雨によって、これまでに大きな土砂災害が発生しています。
○集中豪雨を招きやすい台風や熱帯低気圧
台風は、熱帯地方で発生した熱帯低気圧の一種で、中心付近の最大風速が17.2m/秒以上のものを言います。台風の中心部には、暖められた海水によって大量の水蒸気を含んだ上昇気流があり、大量の積乱雲や積雲が発生するため、豪雨をもたらしやすくなります。
○関東平野にも影響を与える利根川上流部の豪雨
こうした降水のすべては各支川を経て利根川に流れ込んでおり、上流部での集中豪雨は関東平野にも影響を与えます。