事業概要
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利根川・江戸川河川整備計画
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画【大臣管理区間】」を平成25年5月策定し、平成28年2月、平成29年9月、令和2年3月に変更しました。
利根川水系利根川・江戸川河川整備計画について
洪水等による災害の発生の防止又は軽減に関する現状と課題
利根川の大臣管理区間では、河道整備、洪水調節施設整備等の治水対策を流域全体で役割分担し推進してきましたが、現在の利根川(八斗島地点を含む一連の区間)の安全の水準は、年超過確率(1 年間にその水準を超える事象が発生する確率) が概ね1/30 から1/40 にとどまり、首都圏を抱える利根川の社会・経済的重要性を踏まえると十分ではありません。
※河川法に基づき国土交通大臣が指定する区間外の区間のことをいいます。
利根川において、堤防断面の不足や河道断面の不足等により、計画高水流量を安全に流下することができない状況にあります。
利根川の堤防は、長い歴史の中で順次拡築されてできた構造物であり、整備された時期や区間によって築堤材料や施工法が異なるため、堤体の強度が不均一です。また、堤防の基礎地盤は、古い時代の河川の作用によって形成された地盤であり、極めて複雑です。これまでも、地質調査等を行い堤防及び基礎地盤の状況を確認し、浸透対策を進めてきましたが、平成14年度より河川堤防設計指針(平成14 年7月)に基づき堤防の浸透に対する安全性に関して点検を実施し、浸透に対する安全性の不足する箇所については対策を実施しているところです。利根川に係る洪水調節施設については、利根川上流部に藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、矢木沢ダム及び奈良俣ダムの5ダムが完成し、烏川地区には、神流川上流部に下久保ダムが完成しています。渡良瀬川流域には、草木ダムが完成し、鬼怒川流域では、川治ダム及び湯西川ダムが完成しています。また、利根川中流部の渡良瀬遊水地及び菅生調節池については、囲ぎょう堤、越流堤等が概ね完成し、田中調節池については、囲ぎょう堤が概ね完成しています。稲戸井調節池については、囲ぎょう堤、越流堤等が概ね完成しており、洪水調節容量を増加させるための整備を行っています。
洪水、高潮等による災害の発生の防止又は軽減に関する目標
過去の水害の発生状況、流域の重要性やこれまでの整備状況などを総合的に勘案し、河川整備基本方針に定められた内容に沿って、利根川の江戸川分派点より上流区間における治水安全度の向上と、適正な本支川、上下流及び左右岸バランスの確保とを両立させるために、同区間における河道分担流量の増加をできるだけ抑えつつ治水安全度を向上させるとともに、その間に同区間より下流の利根川及び江戸川の整備を進めることにより、洪水、高潮等による災害に対する安全性の向上を図ることを基本とします。
洪水に対しては、我が国の社会経済活動の中枢を担う首都圏を流れる利根川、江戸川のはん濫域には、人口・資産が高度に集積していることから、利根川、江戸川の重要性を考慮して、目指す安全の水準は、全国の他の河川における水準と比較して相対的に高い水準である年超過確率1/70 から1/80 とし、その水準に相当する河川整備計画の目標流量を基準地点八斗島において毎秒17,000立方メートルとし、このうち、河道では計画高水位以下の水位で毎秒14,000立方メートル程度を安全に流下させ、洪水による災害の発生の防止又は軽減を図ります。
河川の整備にあたっては、はん濫域の資産の集積状況、土地利用の状況等を総合的に勘案し、適正な本支川、上下流及び左右岸の治水安全度のバランスを確保しつつ、段階的かつ着実に整備を進め、洪水、高潮等による災害に対する安全性の向上を図ります。その際、水質、動植物の生息・生育・繁殖環境、景観、親水に配慮する等、総合的な視点で推進します。なお、整備にあたっては、新技術の活用の可能性を検討するとともにコスト縮減に努めます。洪水を安全に流下させるための対策
堤防の整備
堤防が整備されていない区間や、堤防断面(高さ、幅) が不足している箇所について、築堤・かさ上げ・拡築を行います。なお、施工にあたっては、堤体内の浸透への安全性の面で有利なこと、また除草等の維持管理面やのり面の利用面からも緩やかな勾配が望まれていること等を考慮し、緩傾斜の一枚のりを基本とします。河道掘削
河道掘削等の実施にあたっては、河床変動や動植物の生息・生育・繁殖環境等について継続的な観測を実施しつつ、その結果を踏まえて適切に行います。
洪水調節容量の確保
現存する施設や河川空間等の既存ストックを有効に活用するとともに、ダム等の整備を行い、洪水調節容量を確保します。浸透・侵食対策
堤防の浸透対策としては、これまで実施してきた点検結果を踏まえ、背後地の資産状況等を勘案し、堤防強化対策を実施します。
堤防の侵食対策としては、必要な高水敷幅が確保されていない箇所、水衝部における河岸の局所洗掘が発生する箇所及び堤防付近で高速流が発生する箇所において、堤防の安全性が脅かされるおそれがあることから、状況を監視し、必要に応じて高水敷造成や護岸整備等の対策を実施します。内水対策
内水による浸水が発生する地区の河川は、内水被害の発生要因等について調査を行い、関係機関と調整した上で、必要に応じて内水被害の軽減対策を実施します。
危機管理対策
被害の最小化を図る観点から、災害時において河川管理施設保全活動、緊急復旧活動、水防活動等を円滑に行う拠点及びこれにアクセスする管理用通路等について、関係機関との調整の上、洪水時等に周辺地域が浸水した場合にもこれらの活動が円滑かつ効果的に実施できるよう整備を行います。
雨量、水位等の観測データ、レーダ雨量計を活用した面的な雨量情報やCCTVカメラによる映像情報を収集・把握し、適切な河川管理を行うとともに、その情報を光ファイバー網等を通じて関係機関へ伝達し、円滑な水防活動や避難誘導等を支援するため、これらの施設を整備するとともに、観測機器、電源、通信経路等の二重化等を図ります。