事業概要
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Q&A
一般
・水防団の歴史と活動体制は?
・氾濫原とは?
・遊水池と遊水地の違いは?
・利根川中流部に「島」のつく地名が多い理由は?
・沿川に同名の神社が多いのは?
・「領」の形成と役割は?
・何日で水源から河口に行くのか?
事業関連
・T.P.とは?
・計画・測量に関する基礎用語は?
・多自然型川づくりの特徴は?
・渡良瀬遊水地のヨシ焼きとは?
河川現況関連
・計画高水位とはん濫注意水位との関係は?
・K杭とは?
・いまも残る渡しは?
・不法係留とは?
・河川水辺の国勢調査とは?水防団の歴史と活動体制は?
地縁的な自治による活動が母体で、都県の水防本部のもとに活動しています。
水防には、国家行政としての水防とともに、昔から自治の観念に基づいて地縁的な水防活動が行われてきました。明治43年(1910)の洪水時には、水害予防組合などの水防団体のほか、県や村役場の職員、警察官の指揮の下で大勢の地元住民や消防夫が水防活動に従事し、破堤を回避できた箇所も数多くありました。その後、昭和22年(1947)のカスリーン台風を契機として水防対策に注力し、昭和24年(1949)水防法が成立しました。これに則って、現在の水防活動が行われています。
利根川の水防に関しては、流域の1都5県の知事が水防本部を設置して、組織的に種々の水防事務を処理しています。事態が重要な場合には自衛隊の出動を要請し、危険が切迫した場合には、住民に避難・立ち退きを指示します。都県では水防の万全を期するため、水防管理団体と毎年出水前に水防協議会を開催し、綿密な水防計画を定め、建設大臣の承認を得て水防活動を行っています。現在、水防団では、台風の時などは堤防に危険がないか見回ったり、日頃から水防訓練をして万一の洪水に備えています。
利根川沿川の水防管理団体は52団体になっています。氾濫原とは?
洪水時に氾濫水に覆われる区域です。
利根川上流管内で計画対象規模(カスリーン台風相当)の洪水が発生したとき、堤防が決壊した場合に氾濫が想定される範囲を示す意味で使っています。遊水池と遊水地の違いは?
現在は原則として「地」を使用しています。
「渡良瀬遊水地」の表記については、河川法第6条の河川区域を定める条文で「政令で定める遊水地」との表記があり、その表記上で「地」を使用していることから、遊水地全体については「地」を使用し、調節池、貯水池については「池」を使用することを原則としています。
また、渡良瀬遊水池出張所につきましては、「渡良瀬遊水池総合開発事業」により整備した渡良瀬貯水池(谷中湖)を管理しているため、「池」を使用しています。利根川中流部に「島」のつく地名が多い理由は?
洪水時でもあまり水をかぶらない中州があり、これが「島」と呼ばれていました。
利根川が早川と合流する辺りには、矢島、内ヶ島、高島、尾島、小島など「島」の字がつく地名が多くあります。これは、かつては洪水の常襲地帯だったこの地域に「島」と呼ばれた中州がたくさんあったのが、地名の由来になっています。水田よりも一段高い位置にある「島」は畑に利用され、現在も野菜の供給基地になっています。沿川に同名の神社が多いのは?
氷川神社、香取神社など、古代の神社は川の区切りによって地域的に分布しました。
古代は各河川の区切りによって宗教圏が異なり、神社も地域的にまとまって分布したのが、同じ名前が多い由縁となっています。古隅田川は、古代の利根川主流で、香取神社が広く分布し、綾瀬川は、荒川の主流で氷川神社が多く分布しました。
氷川神社…出雲国のひかわ簸川が語源。埼玉県・東京都に約230社。大宮市には5社。考昭天皇の代に出雲大社から勧請され、荒川水系を中心に元荒川流域を東限とし、西は多摩川を限界として、武蔵国の古い集落の氏神・鎮守として広く祀られています。
久伊豆神社…本社不明。埼玉県加須市(旧騎西町騎西)の玉敷神社。文武天皇の大宝3年(703)に多治比真人宅磨が創建。久伊豆神社は、氷川神社と香取神社の間で、元荒川と古利根の間に分布しています。
鷲宮神社…本社は埼玉県久喜市(旧鷲宮町鷲宮)。地域の統一的な守護神の性格を有す。埼玉県加須市(旧大利根町)周辺の利根川流域に分布しています。
香取神社…本社は千葉県香取市(旧佐原市香取)の香取神宮。氷川神社より新しい開拓の歴史をもつ低地帯の村々の氏神・鎮守。鎌倉時代から武家の信仰が厚く、軍神として崇敬されました。
雷電神社…本社は群馬県板倉町板倉。ヒョウ除けや雷除、カンバツの雨乞いとして祀られました。「領」の形成と役割は?
地域の地形から形成され、水利共同体として組織された地域を「領」と呼んでいます。
埼玉平野東武の江戸川と荒川に挟まれた中川水系一体には、水利共同組織体として形成された「領」と呼ばれる地域があります。領の成立は古く、室町・戦国期の小田原北条氏の時代に名付けられたものといわれています。地域の地形から生まれた自然発生的な組織体で、地域の開発を進めていく上でも重要な単位でした。
江戸時代を通じて洪水防御・用排水管理など利害関係のもとに結束し、水利共同組織体として形成されていき、特に中川流域の低地帯には数多くの領がありました。中川水系で最も大きいのは忍領で、これに続いて岩槻領、羽生領、騎西領、幸手領などがありました。領はそれぞれ固有の水利組織を持ち、これらは現在においても農業水利、水防活動において、相互の共同体意識が残っています。何日で水源から河口に行くのか?
約4日間かけてゆっくり流れていきます。
群馬県にある大水上山を出発した利根川は、千葉県の銚子に流れていきます。その長さは322kmで、上越新幹線の東京駅から新潟駅までとほぼ同じ長さです。新幹線は約2時間ほどの距離ですが、利根川の速度はその約48分の1の速度で、家庭用水や農業・工業用水などに利用されながらゆっくり流れていきます。T.P.とは?
Tokyo Peilの略で、東京湾の平均潮位を基準として地表面の標高を表わします。
T.P.はTokyo Peilの略で、地表面の標高のことです。地表面の海面の高さを示す場合、基準になる水準面が東京湾中等潮位で、記号として用いてます。ほかにY.P.、A.P.等があり、これらはそれぞれの河川にあわせた基準を示しています。Y.P.はYedogawa Peilの略で、江戸川・利根川などの水位を測るときの基準となる水面の高さのことで、旧江戸川河口の堀江量水標の零位を基準としました。A.P.はArakawa Peilの略で、隅田川河口の霊岸島量水標の零位を指し、荒川水系の水準基準になっています。計画・測量に関する基礎用語は?
基礎用語を調べる時は、『土木現場実用語辞典』『一般土木用語辞典』が便利です。
計画・測量に関する用語はたくさんあります。専門分野から少し外れると知らない用語も多く、内容を正確に把握していない場合もあります。
『土木現場実用語辞典』(井上書院)は、測量・計画・調査など現場別25テーマに分類し、土木現場における慣用語を中心に最新5,300余語と理解に役立つ写真・図版約500点を収録しています。『一般土木用語辞典』(山海堂)は、現場の施工など実務に役立つよう、見開き左ページに用語解説、右ページに図等を対応させて、実用本位に分かりやすく編集されています。同書は、事務所の担当課にも常備していますので、ご活用ください。多自然型川づくりの特徴は?
水と緑を守り、本来の自然の姿を生かす川づくりを推進しています。
利根川のように川幅が何百mもあるような大きな川では、通常、水は低水路といわれる部分を流れます。この低水路を安定させ、高水敷、堤防を守るのが低水護岸です。低水護岸は水際に造ることになるため、ふだん川と接する場所となります。
これまでの低水護岸は、高水敷、堤防をしっかりと守るためコンクリートブロック張りで施工してきました。このタイプの場合、水際に植物はほとんど生えることができないため、緑が失われてしまいます。このため、今後は、直接ブロックやかごマットで法面を安定させ、土による間詰め、被覆などを行うことで、強度をもたせながら植生を期待する工法をとっていきます。また、高水敷の利用状況により、階段護岸などを採用して、私たちが水辺に接することができるようにします。渡良瀬遊水地のヨシ焼きとは?
ヨシはヨシズの原料に使われています。ヨシズにはまっすぐで良質なヨシが必要で、毎年ヨシ焼きが行われています。
ヨシ焼きは渡良瀬遊水地全域を対象にして、毎年採取が終了した3月20日前後に行われ、春を告げる行事としても知られています。またヨシ焼きは多様な生態系の基盤にもなっており、樹木の進入を防ぐなど生態系の保全にも重要な役割を担っています。しかし近年では、高齢化と原料輸入の価格の低廉化による採取者の減少と、降灰の問題などでヨシ焼きの存続が難しくなっています。渡良瀬遊水地の豊かな自然環境保全にはヨシ焼きは不可欠で、今後の問題にもなっています。計画高水位とはん濫注意水位との関係は?
計画高水位は河川の計画を立てるときの基本となる水位。はん濫注意水位とは洪水時に水防活動の目安となる水位です。
計画高水位はH.W.Lの記号で表わし、利根川の場合、年超過確率1/200の確率で降る雨の量で、カスリ-ン台風規模を想定した大雨が流域に降った時に、雨がその流域を介して河川に流れ込むことで起こる洪水時の最高の水位を仮定して定めています。はん濫注意水位は水防団による河川周辺の十分な警戒を強める意味で設定されています。K杭とは?
海からの距離を表すもので、堤防等の位置や高さを明確に示すために設置されています。
151.0K等の表示の杭は、距離標とか、キロ杭といわれており、海からの距離を表すものです。151.0K-1、151.0K-2等の杭は距離標の間に設置し、約500mごとに設置された距離標の補助的な役割を果たす杭です。距離標の主な役割は、堤防の位置を明確に表すとともに、堤防の高さおよび河川の構造物の位置を把握するために設置されています。また、工事等に必要な高さを求めるためにも使用されています。これらの目的のため、距離標間に必要に応じて補助杭を設置し、河川管理を行っています。いまも残る渡しは?
現在、利根川上流河川事務所管内では、群馬県千代田町と埼玉県熊谷市を結ぶ赤岩(葛和田)の渡しが残っており、かつての利根川の面影をいまに伝える渡し船に乗ることができます。昔を偲んで見学や観光に来る方が、数多く訪れる場でもあります。そのほか、利根川・江戸川には、小堀渡船、矢切の渡しがあります。
赤岩(葛和田)の渡し(群馬県千代田町赤岩~埼玉県熊谷市葛和田間:県道熊谷館林線)
[名称]赤岩渡船
[交通]JR高崎線熊谷駅よりバス25分
東武伊勢崎線館林駅よりバス35分
[料金]無料
[運行日]毎日(天候、川の状態により欠航)
[運行時間]4/1~9/30(8:30~17:00) 10/1~3/31(8:30~16:30)
[問合せ]千代田町役場 建設水道課 TEL.0276-86-2111
[メモ]赤岩渡船の歴史は古く、既に永禄年間(1558~1569年)の上杉輝虎(謙信)の案内状によれば、船橋を架けて軍が渡河していたと伝えられています。この河岸は、江戸時代の年貢米、参勤交代の荷物、生活物資等の集積地であり、上下流の物資の中継地点としてにぎわい、赤岩の地は宿場町として栄えました。不法係留とは?
河川管理者の許可を得ずに河川内に桟橋や杭を設置して、船舶を係留している状態を言います。
洪水による船の流出で河川管理施設に損害を与えたり、閘門などの操作、都市河川では水上交通にも支障をきたすなど、社会問題化している箇所も多くあります。管内では、漁船やプレジャーボート等の船舶が約250隻(平成8年調査)不法に係留されています。国土交通省では、計画的な不法係留対策を促進するため、平成10年6月の通達により、問題の生じている河川において、「不法係留対策に係る計画」を河川管理者・地方公共団体、警察機関、学識経験者等で構成された協議会で検討し、重点的撤去区域の設定や、暫定係留施設の許可等を行っており、地域の実情に即した対応・方針を示しています。河川水辺の国勢調査とは?
河川水辺の国勢調査は、河川では、「魚類調査」「底生動物調査」「植物調査」「鳥類調査」「両生類・爬虫類・哺乳類調査」「陸上昆虫類等調査」の 6項目の生物調査と、植生図と瀬・淵や水際部の状況等、河川構造物を調査する「河川環境基図作成調査」、河川空間の利用者数などを調査する「河川空間利用実態調査」の計8項目の調査が行われています。 ダム湖では、生物6項目の生物に加えて「動植物プランクトン調査」を実施し、「ダム湖環境基図作成調査」「ダム湖利用実態調査」と合わせて計9項目の調査が行われています。