【高等学校の部・総評】
今回高校生の入賞作品のレベルは例年よりも高く、意欲的なチャレンジ作品を見ていると、とても頼もしい気持ちになりました。そこにある川をただそのまま撮るのではなく、自分の見たい写真を目指して、イメージを一生懸命引き寄せようとしている写真撮影の姿勢が、結果的に一味も二味も違う写真を生み出すのです。「まだ誰も撮ったことのない川の写真を撮るんだ!」と思うだけで、気合いが入り、自然と川とじっくり向き合うようになりますね。一度でもお気に入り写真が撮れれば、そのコツがつかめます。その先には、「写真の天使」が手招きして待っているに違いありません。写真をたくさん撮って、出来上がった写真を良く見ることが大事です。来年も面白い写真をいっぱい送って下さいね。
審査員 大西 成明
受賞コメント
このたびは金賞という素晴らしい賞に選んで頂き、ありがとうございます。まさかこのような賞を頂けると思っていなかったのでとても驚きました。
この写真は、友達と放課後にシャボン玉で遊んでいたところをとっさに撮影した写真です。このような賞がとれてとてもうれしいです。また、来年も応募したいと考えているのでたくさん写真を撮っていきたいと思っています。
審査員(大西先生)コメント
大変インパクトのある、金賞に値する見事な写真です。青空も少しのぞく劇的な雲間から夕方の光が神秘的に差し込み、友達が膨らませたシャボン玉が、まるでクラゲやUFOにも似て、気持ち良さげに大空に漂っています。少ししゃがみこんだ目線が人物と川面とシャボン玉と空をまるごとドラマチックに包み込んでいて、ローアングルの勝利と言えるかもしれません。シャボン玉の液の入ったピンク色の容器と制服のブラウスの白が、効果的なアクセントになっています。作者のコメントに、「とっさに撮影した」とありますが、今だ !と思った時に、直感でシャッターを押すのは、とても大事なこと。迷ったり、考えたりしているうちに、チャンスは逃げてしまいます。一瞬の決定的瞬間は、写真において最高の御馳走です。仕上げのプリントも大変きれいでした。
受賞コメント
3年間川の写真コンクールに応募してきて、今年は今までで1番綺麗に川を撮影することができました。
神田川は学校のすぐそばに流れている川で思い入れがあるため、このような賞をいただき大変嬉しく思います。
この賞を糧に今後も写真をたくさん撮影して実力をつけていきます。改めましてこの度は銀賞という光栄な賞を誠にありがとうございました。
審査員(大西先生)コメント
学校のそばを流れる神田川の川面に太陽の光が反射して、キラキラと星の瞬きのように輝いている。なんとも幻想的で美しい写真が出現しましたね。作者自身もふだん見慣れている川がこんな風に写ることに驚いたのではないでしょうか。
おそらくカメラの露出のオート機能が働いて、光がまぶしすぎるのを感知して、
写真の調子が真っ白に飛ばないよう補正したので、このような写真が生まれたのでしょう。3年間この写真コンクールに挑戦してきた、ご褒美だと思って下さい。写真の魅力は、きっと、想定外のイメージを運んで来てくれるところにあるのでしょうね。
受賞コメント
この度は銀賞に選らんで頂き、誠にありがとうございます。
この写真は、学校の帰り道に川に霧がかかってる不思議な現象が起こっていたのでとっさに撮影しました。
このような賞がとれてとてもうれしいです。今回の賞を励みに、今後も写真を撮っていきたいと思います。
審査員(大西先生)コメント
夕刻川に垂れ込めた霧が、まるで映画のワンシーンのように幻想的な雰囲気を漂わせ、紫がかった色調が、どこか物悲しさを感じさせます。画面手前の雨に濡れた緑のしっとり感も、いいですね。そして何と言っても、パノラマサイズで気持ちよく大胆に切り取ったことがこの写真が成功しているポイントです。横長の視角が、左端を歩く青年の後ろ姿までとらえていて、どこへ行くんだろう?とか、いろんな物語を想像させて飽きさせません。
受賞コメント
この度は、銀賞に選んでいただき、ありがとうございました。
友人と川遊びをしている最中、水風船を膨らますと、緑の風船から
水が滴り落ちて、瑞水しいラ・フランスに見えたため、この写真を選びました。
今後も、ずっと楽しく遊べる川にするために、人間が川をまもっていくべきだな。と
思いました。
審査員(大西先生)コメント
よくぞまあ、こんなにきれいな水風船のラ・フランスができたものですね。空を映して、緑と水色のミックスした、水も滴る瑞々しさです。それを写真に撮ってみようという遊び心がステキだと思います。写真にすることで、まったく違ったイメージの世界を引き寄せることができます。手のひらにのせると、優しさが生まれます。水に浮かべたり、空中に放り投げたりして撮ると、またちがった表情が生まれことでしょう。「ららららふらんす。」というタイトル、可愛さがあり、高校生らしい発想で言葉のセンスもすばらしいですね
受賞コメント
今年は新型コロナウィルスの影響で思うように外出できなかったため,山や川に行って遊ぶことが夏休みの楽しみでした。
この写真はコロナを忘れたほんのひと時の一枚です。
審査員(大西先生)コメント
連写モードで撮影したのでしょうか、人の目には見えない水しぶきの形が、実にきれいな放物線を描いていて、最高の瞬間がものの見事に写し留められています。友達と夏休みに久しぶりに出かけた川で、コロナを忘れたひとときだったようですね。背景の緑色も鮮やかで、友達の表情も弾けていて、写真を見る人を気持ちよくさせてくれる力があります。
受賞コメント
この度は銅賞に選らんで頂き、誠にありがとうございます。
この写真は、新潟県にある清津峡の有名な撮影スポットで、少女を水鏡に映るように撮影した写真です。このような賞をいただき大変うれしく思います。また賞を頂けるよう今後も精進していきたいと思います。
審査員(大西先生)コメント
新潟県の清津峡は大変人気の写真スポットで、このコンクールでも何度か入賞者が出ています。でもこの写真は別格の味わいがありますね。水鏡の映り込みがきれいな円を描いて幻想的に揺らめいています。そこに少女がすーっと立って、遠くを見つめている。立ち位置が絶妙。相当試行錯誤しながらの撮影だったかと想像します。大きなプリントで見ると、俄然迫力が増します。ところで、少女はどこに行き着いたのでしょう、謎の多い不思議な写真です。
受賞コメント
夏の風物詩の長瀞ライン下り。
今年も沢山の人が集まりましたがコロナウイルスの影響もあり、乗客含め船頭さんもみんなマスク着用でした。
暑い夏にマスクをして楽しむ風景も今年ならではの光景だと思っています。
審査員(大西先生)コメント
長瀞の急流をダイナミックに下る様子が、迫力満点で実に豪快に撮れましたね。
後方の櫂(かい)と前方の竿(さお)を操る船頭さんの真剣な顔、水をかぶらないようにビニールシートをすっぽりかぶるお客さんの表情がグイグイと写真を見るものにも迫ってきます。皆マスクをしているので、これはまさに2020年の記録です。長瀞町の観光写真にも使えそうな、快心の出来映えです。
受賞コメント
この作品は群馬県高崎市内を流れる烏川で
撮影しました。2019年10月の記録的大雨の影響により烏川もかなり増水しました。そのため大量の流木が流れ出ていてポールに流木が引っかかっているところを主体にして撮影しました。丈夫な堤防のおかげで河川の氾濫はありませんでしたが、自然の驚異を感じさせられました。
審査員(大西先生)コメント
昨年10月の台風による豪雨災害の様子をスナップしたものですね。川の写真というと、ついきれいな川を被写体に選びがちですが、こうした川の生々しくも痛々しい光景に目を向けることも大事だと思います。そして、あえてモノクロの写真にしたところが、社会的テーマとしての視点が感じられ成功しています。金属のポールに、上流から流木やビニールなどが絡み付いて、これは人の力で何とかしないと元にもどりません。川辺のゴミ拾いなど一斉に行なう活動もありますので、機会があれば是非参加してまた写真に収めてください。
受賞コメント
水滴が川の水面に落ちる瞬間ってどんな景色が広がっているのだろうか。
そんな疑問を持ったのが、この写真を撮ったきっかけです。
いつも見ているただの水。フラッシュをたいてシャッターを切ってみたら、普段は見られない色、波紋、光を見ることが出来、感動しました。
審査員(大西先生)コメント
水滴が水面に落ちるまさにその瞬間はどうなっているのか ? ちょっと変わった写真を撮ってやろうという意欲が存分に発揮されています。フラッシュを使った撮影では、その種類により違いがありますが、2000分の1秒という早さで閃光するといわれ、人の目では認識不可能な真実の姿がピタッと止まって見えます。この撮影法をどうして思いついたかわかりませんが、出来上がった写真を見て作者自身驚きの連続だったのではと想像します。背景のピンク色が謎で、それもこの写真の大きな魅力となっています。科学(サイエンス)と芸術(アート)に祝福された写真です。