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かわづくり

  • 伝統的治水施設の保全と整備

    伝統河川工法

    広大な林が土石流を防ぐ

    赤松を主とした水害防災林

     万力林を初めとする一連の治水施設の効果 について山梨大学の工学部が模型実験で検証した結果が図一7です。実験は計画高水流量 の1600m3/sと、計画高水流量以上の洪水があった場合を想定した2300m3/sについて行われました。洪水が氾濫した場合に赤松を主とした樹木でどれだけの土砂をシャットアウト出来るか、そして何処へ堆積をするか、霞堤防の効果 はあるのか、さらに万力林及び堤防をこの地先に計画した地理的な配慮と全体の形状にどんな意味が秘められているのか、そんな観点で図一7を見て頂くと実に巧みな治水の陣形が一目瞭然だと思います。蛇足にならぬ よう若干の説明をしますと、土砂は林の中に満遍なく堆積します。これは樹木の植栽と広さが15haにも及ぶ平坦な林地の効果 です。また氾濫した洪水の半分が霞堤の開口部へ向かっていますが氾濫の被害を軽減させる効果 が十分に期待できます。注目したいのは西側の自然の丘陵地である塔の山と差出の懸崖及び万力山の獅子岩の存在です。計画高水流量 を超過するような大洪水の場合には濁流は塔の山の前面を直流し獅子岩の山腹に当たり霞堤の開口部から河道に戻るのです。多分この配置は天正11年の大洪水の経験も参考にして計画されたのではないでしょうか。

    治水効果の検証図(図-7)

    万力林は、とにかく広い林です。赤松を主とした大木と多種の広葉樹が植栽され繁茂しています。鳥が営巣し、虫が生息し、用水路が近くを流れ、林の中にも水の音が聞こえます。こんな緑と水と生態系が豊かなところが山梨市の市街地に隣接しています。多くの人に川に親しんでもらうには絶好の場所であります。また、近傍にある河原の巨石を岸に寄せて石組みをし、低水護岸を、「寄石護岸」と名付けられました。この護岸は全国に先駆けて整備した多自然型護岸です。
     万力林は気軽に行って、治水の歴史を学び老松の木陰に憩い、川と水に親しむことの出来る、新しい時代の大切な場所です。

    万力林
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