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かわづくり

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    伝統河川工法

    甲斐の三大難所と万力林

     笛吹川は山梨市差出に至って山間部から甲府盆地に出ます。ここ差出は平安時代の昔から都の人も「差出の磯」と和歌に詠むほど世に知られた景勝の地で、古今集の中に「しほのやま さしでの磯にすむ千鳥 きみがみよをば やちよとぞなく」の和歌が有ることからも分かります。

     万力林は、この差出の直ぐ下流にあります。ここは笛吹川が造る扇状地の扇頂部ですから川が乱流し昔から甲斐の三大水難所の一つと言われた所です。現在でも甲府盆地東部の治水の上で重要な所である事には変わりがありません。万力林の下流には山梨市正徳寺・笛吹市春日居町・笛吹市石和町・甲府市川田町があり計画高水流量 は1600m3/s、河床勾配は1/60の極めて急流です。万力林は松を主とした水害防備林と霞堤の組み合せから成っている治水施設です。
     笛吹川の流域は奈良時代、平安時代には甲斐国の国庁が置かれ行政の中心地であった所です。笛吹市春日居町には国府(こう)、寺本という地名が現在もありますが、歴史の証拠と言えるでしょう。現在も笛吹川流域は山梨県において重要な地域です。農業においてはブドウや桃を中心とした果 実の生産は我が国においては第1位ですし、ワインの生産も日本一を誇り、山梨県の文化施設も多数がこの流域にあります。
     この「万力林」の役目は、もし洪水時に笛吹川が氾濫した場合は密生している松の大木によって流木や土砂を防除し、氾濫した洪水を霞堤の開口部から笛吹川の河道に戻すためであります。「万力」の地名は既に南北朝時代の記録にも見えますが、万人の力を合わせて堅固な堤防とする願いを込めて付けられたと伝えられています。万力林は河川公園としても整備され山梨県のシンボルともなっています。

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