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    信玄堤の「出し」の先端より高岩を望む 信玄堤の「出し」の先端より高岩を望む歴史を語る信玄堤の樫の大木 歴史を語る信玄堤の樫の大木

     山梨県内は言うに及ばず武田氏が支配の図版を広げた領域の中部地方、関東地方にも信玄堤と称している堤防があると聞いております。しかし、世に信玄堤として最も知られているのは旧竜王町にある信玄堤です。竜王地先の信玄堤は現在も治水の役目を担って洪水の氾濫から甲府盆地を譲ってくれています。竜王の鼻から続く丘陵が釜無川と接している部分は高さが20~30mの懸崖となっています。

    この懸崖は「高岩」と呼ばれていますが、実はこの自然の地物も信玄公の治水策の中に組み込まれて重要な役目を果 たしているのです。さて、現在の信玄堤は信玄公が築造した当時のままでは有りませんが、かなり甲州流河除の技法を踏襲していると思われます。現在、竜王の信玄堤を構成している治水構造物、自然の地物を分類して紹介しますと、堤防・出し・出し水制・縦列の水制・護岸・根固・堤防の狭間に植栽されている竹木・それから自然の地物である「高岩」等です。では、図一4を参照しながら説明しましょう。

    図-4

     (1)の堤防は河川の距離杭でK-186の左岸の狐招塚の辺りで山に取付き、下流に向かって築造されています。その前面 に堤防とほぼ平行して(2)「出し」が造られていて、一番上流の「出し」はK-187で山付きとなり下流へ400m延び、次の(3)「出し」はK-184で堤防に取付き下流へ400m延び、その次の(4)の「出し」はK-182付近でやはり堤防に取付き下流へ1,300mほど延びています。この区間は本堤と「出し」の二重構造となり、「出し」の下流端の(5)が開口しています。つまり、甲州流河除の「雁行」の築堤法が採用されているのです。

    現在は、コンクリート三基構とコンクリート練石張も施工されている ※1信玄堤は人々の憩の場にもなっている ※2

    堤防や出しの表側には(6)の玉石張りの護岸が施工され、堤防の表法先の前面 には、洪水時等に洗掘されないようにコンクリート製の「根固」が(7)に敷設してあります。しかし、普段は見えません。
     堤防の前面の水が流れる所の(8)には「聖牛(せいぎゅう・又はひじりうし)」等の縦列の水制が設置してあります。また堤防が山付となっているさらに上流の「高岩」に取付ける形で、(9)亀甲形の「出し水制」が造られています。「出し」や「聖牛」等の水制も甲州流河除の特徴とされるものです。現在も信玄公の知恵が生かされているのです。
     竜王の信玄堤を遠目からも燦然として見せているのは(10)の欅を主とする水防林です。幾百年かの星霜に耐え堤防を守り、流木や土砂の攻勢を防いでくれて来たのです。欅の林は春も夏も私も、そして冬も素晴らしい景観を呈してくれます。  堤防の狭間は河川環境整備事業で芝を植栽し、水辺もあり釜無川に親しみ、信玄堤を楽しむたくさんの人々が訪れます。

    ※1:現在は、コンクリート三基構とコンクリート練石張も施工されている
    ※2:信玄堤は人々の憩の場にもなっている

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