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関東の富士見百景

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    浮世絵の詳しい情報

    関東の富士見百景
    浮世絵

    【5】権現山公園

    富嶽三十六景「常州 牛堀」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館) 富嶽三十六景「常州 牛堀」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館)

    権現山公園は常陸利根川に面した高台にあります。ここからは市街地や霞ヶ浦が一望でき、さらに天気の良い冬場には、富士山を眺めることができます。北斎の富嶽三十六景の浮世絵「常州牛堀」の眺めは、この権現山公園からの眺めではではないかと言われています。この一帯は、古くから利根川水運の中継地として発展した港町で、富士山と筑波山を同時に眺めることのできる景勝地でもありました。なお、この「常州牛堀」(じょうしゅううしぼり)は『富嶽三十六景』の中でも、最も東から富士山を眺めている場所です。
    (参考:『北斎・広重の富嶽三十六景筆くらべ』(人文社 2005)P.55)

    【50】房総半島(鋸南町)からの富士 元名海岸(もとな)・鱚ヶ浦海岸(きすがうら)

    富士三十六景「房州保田海岸」(提供:千葉県立上総博物館) 富士三十六景「房州保田海岸」(提供:千葉県立上総博物館)

    元名海岸・鱚ヶ浦海岸は、房総半島の内側に位置し、夏には海水浴客で賑わいます。房総半島を旅行していた安藤(歌川)広重はこの地の風景に魅せられ、『富士三十六景』の一枚でもある浮世絵「房州保田海岸」(ぼうしゅうほたかいがん)を描きました。浮世絵はここ元名海岸から富士山を眺めた構図となっており、絵中にいる三人の人物も、海を隔てた富士山を仰ぎ見ています。この場所が古くから景勝地であったことが伝わってきます。
    (参考:鋸南町ホームページ)

    https://www.town.kyonan.chiba.jp/soshiki/19/1312.html[外部サイト]

    【53】東京富士見坂 日暮里富士見坂

    日暮里は、上野の山から飛鳥山まで西北にのびた上野台地の、谷中と道灌山との間にあります。台地であるために遠方まで見渡すことのできる景色が美しく、景勝地として賑わいをみせていたようです。さらにこのあたりは、多くの寺が台地や崖の地形をうまく利用して、林泉を構え、花木を植えるなど、庭に工夫を凝らしていました。浮世絵「日暮里寺院の林泉」においても、このお寺の庭の林泉と花木による風景が、名所江戸百景の一つとして描かれました。図中右側には、珍しい形の帆掛船の形の木が顔をのぞかせています。
    (参考:『広重の大江戸名所百景散歩』(人文社 1996)P.131)

    【75】三浦半島(横須賀市)からの富士 立石海岸

    「相州三浦秋屋の里」(提供:金沢美術工芸大学附属図書館) 「相州三浦秋屋の里」(提供:金沢美術工芸大学附属図書館)

    今も昔と変わらぬ風景を伝える立石海岸は、波打ち際の立石(大岩)と松並木によって構成され、海を挟んで富士山を眺めることができます。浮世絵「相州三浦秋屋の里」(そうしゅうみうらあきやのさと)は、安藤(歌川)広重によってこの地で描かれました。浮世絵には、白帆がちらほら浮かぶ相模の海が広がり、左に富士山、右に立石公園の「ぼんでんヶ鼻」と呼ばれる松の美しい岬と立石が描かれています。
    (参考:横須賀景観ニュースWEB版2005年12月10日版)

    【80】茅ヶ崎市からの富士 茅ヶ崎南湖の左富士

    五十三次名所図絵「南湖の松原左不二」(提供:藤沢市教育委員会[みゆネットふじさわ]) 五十三次名所図絵「南湖の松原左不二」(提供:藤沢市教育委員会[みゆネットふじさわ])

    茅ヶ崎南湖は、東海道を日本橋から上方に向かう際、富士山が街道の左側に見えるという珍しい場所でした。この辺りから見える富士を、南湖の左富士といい、古くから茅ヶ崎名所の一つとして知られていました。安藤(歌川)広重の『東海道五十三次』の一枚である浮世絵「南湖の松原左不二」(なんごのまつばらひだりふじ)からは、その当時の左富士の様子が伺えます。なお、東海道にはもう一ヵ所左富士が見える地点があり、広重は『東海道五十三次』の「吉原」という作品の中でその地点を描いています。
    (参考:毎日新聞マイエリアネットページ)

    【110】犬目地区内(遠見)

    富嶽三十六景「甲州 犬目峠」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館) 富嶽三十六景「甲州 犬目峠」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館)

    犬目峠は、山に囲まれた甲斐四郡のうちの一つ、都留(つる)郡にあり、江戸と甲府を結ぶ甲州街道の野田尻宿と犬目宿の間に位置します。甲州街道は、海に沿った東海道とは違い、山が続く険しい道です。北斎の富嶽三十六景の浮世絵「甲州犬目峠」でも、旅人が険しい道を登る姿が描かれています。旅人たちは、にわかに眺望の開ける峠で、富士の秀麗な姿を目にし、その風景に心落ち着かされたことでしょう。
    『甲駿道中記』(こうすんどうちゅうき)(文政十三年)にも、「犬目駅 此地は狗目峠(いぬめとうげ)とて一郡の内にて極て高き所なり。房総の海まで見え、坤位(けんい)(西南)には、富士山聳して霄漢(しょうかん)(空)を衝き、其眺望奇絶たる所なり」と記されています。
    (参考:『北斎・広重の富嶽三十六景筆くらべ』(人文社 2005)P.80)

    【122】御坂・鎌倉往還・三つ峠

    御坂峠は、富士五湖の一つ河口湖の湖面が広がるのが見え、その向こうに富士山の美しい姿を大きく望めることから、富士見三景の一つに数えられています。北斎の富嶽三十六景の浮世絵「甲州三坂水面」(こうしゅうみさかすいめん)の河口湖に写る富士山は、この御坂峠から見た図です。この「甲州三坂水面」では、富士山のごつごつとした岩肌などの細部まで克明に描かれており、北斎が実際に富士山を間近に見て受けた印象を描いた可能性があると考えられています。
    また、この図では鏡に映したように湖面に映らなくてはならないはずの「逆さ富士」が左にずれてしまっています。さらに、ごつごつした岩肌まで描かれている実物の富士山に対し、湖面に映った富士山は、冠雪のある滑らかな山肌の美しい富士山になっており、矛盾した絵になっています。これらの点については、実像と虚像の対比という意図があったとも考えられます。
    (参考:『北斎・広重の富嶽三十六景筆くらべ』(人文社 2005)P.84)

    【124】塩嶺御野立公園 展望台

    「木曽街道六十九次 塩尻」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館) 「木曽街道六十九次 塩尻」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館)

    塩尻峠は旧中仙道の要所にあたります。現在は都市公園となっており、展望台からは諏訪湖とその奥の富士山、右に南アルプス、左に八ヶ岳連峰を見ることができます。渓斎英泉の木曽街道の浮世絵「塩尻峠 諏訪乃湖水眺望」(しおじりとうげ すわのこすいちょうぼう)の図は、この塩尻峠から描かれています。
    左側の湖畔にそびえる高島城からの、湖面に映る富士山の景色は、古くから有名なものでありました。また、浮世絵のなかの塩尻峠に向かう坂道では、馬に乗った旅人と馬子が、素晴らしい景色に見とれています。
    (参考:『広重・英泉の木曾街道六拾九次旅景色』(人文社 2001)P.44)

    【127】下諏訪町 湖浜

    富嶽三十六景「信州諏訪湖」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館) 富嶽三十六景「信州諏訪湖」(提供:山口県立萩美術館・浦上記念館)

    下諏訪町は、諏訪大社の門前町、また中山道・甲州道中の温泉宿場として古くから栄えたところです。北斎は富嶽三十六景の浮世絵「信州諏訪湖」において、この下諏訪から見た富士山を描きました。手前に小さな祠(ほこら)を、湖の左に「諏訪の浮城」と称される高島城を描き、諏訪湖を挟んで遠景に、富士山が描かれています。湖面には、わずかに一艘の舟があるのみで、静かな情景が描かれています。
    (参考:『北斎・広重の富嶽三十六景筆くらべ』(人文社 2005)P.110)

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