都市公園は、多様なレクリエーションや自然とのふれあいの場となるほか、うるおいのある生活環境の形成、都市や地域の防災性の向上、野生生物の生息・生育環境の確保、豊かな地域づくりに資する交流の場の提供等の多様な機能や効用を有する都市の「みどり」の根幹的な施設です。そのため都市公園は、都市樹木が健全に生育できる環境の整備・保全を行う施設として、重要な役割を担っております。
国土交通省が令和6年12月に公表した「都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針」(緑の基本方針)では、「我が国の社会資本は、特に高度経済成長期に整備が進んだため、都市公園内の樹木や街路樹等の公的空間における多くの樹木は、老齢化・大径木化が進行し、倒伏や落枝による重大な事故等の安全確保上のリスクが高まっており、また管理が不十分な緑地では利活用が困難となり、景観上支障が生じて Well-being が実感できなくなっているなど各種課題が顕在化しております。このため、除草や病害虫防除等の維持管理を適切に行うとともに、安全確保や Well-being の向上のための必要に応じた剪定・伐採・更新、緑地の機能の維持・増進に必要な大規模な樹林更新について、生物多様性の確保や景観・歴史文化の形成等に資する樹木にも考慮し、計画的に行うことで、都市の緑地の質を維持・向上させることが必要である。」と記載されております。
このため、樹木の持つ機能や効用の増進と樹木の安全性の確保を、継続的に両立させていく必要があり、都市公園の安全対策として樹木の点検・診断を適切かつ確実に行うことにより更なる安全性の向上を図ることが求められています。
令和7年4月には、同省都市局公園緑地・景観課において全国の都市公園を対象として実施した倒木等の調査結果を公表しております。また、同課において「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)」が令和8年3月に改訂され、点検の実施の促進に資する内容が追加されました。この指針(案)における点検・診断の各種作業の相互関係を示したフローに基づき、公園管理者において必要な安全措置が講じられ、良好な樹木の生育が進み、都市公園の安全性がより一層高まることが期待されます。
一方で、現場では人員や予算の制約があり、いかにして効率的かつ適切な樹木の管理を実施していくかが課題となっております。限られたリソースの中で事故を未然に防ぐためには、従来の基本的な管理手法に加え、効率的・効果的な点検や、リスクに応じたメリハリのある対策・計画、新たな知見の導入が有効です。
こうした背景を踏まえ、本事例集は、関東地方整備局管内の地方公共団体等が管理する都市公園における樹木の安全管理に係る工夫や取組事例をご紹介するものです。みどり豊かな都市公園の「安心・安全」の確保に向けて、日々の維持管理業務に携わる皆様のご参考になれば幸いです。