国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所
江戸川河川事務所ホーム > 事務所の取り組み > 1. 高規格堤防と江戸川整備基本構想

事務所の取り組み

  • 1. 高規格堤防と江戸川整備基本構想

    1. 高規格堤防の整備

    国土交通省では、一定規模の大雨による洪水を安全に流下させることができるよう、堤防の整備、河道の掘削等を行っている。
    しかしながら、河川整備の状況が改修途上にある現状においては、計画規模以下の洪水においても堤防を越水するような事態が予想されるとともに、洪水は自然現象であることから計画を上回る洪水(超過洪水)が発生する可能性は常に存在しており、超過洪水により越水した場合、通常の堤防は破堤する可能性が極めて高い。
    大都市地域を流れる江戸川のような大河川では、ひとたび破堤すれば沿川地域に甚大な被害が生じることから、東京・大阪などの5水系6河川で、計画規模を超える洪水に伴う越水等にも耐えられる高規格堤防を整備している。(図1)

    【図1 越水等にも耐えられる高規格堤防】 【図1 越水等にも耐えられる高規格堤防】

    この高規格堤防は、地域づくり等と一体となって進められる事業である。大河川では、堤内地と堤外地が堤防で隔てられており、これまで堤外地が沿川地域の整備に有効に活かされることは少なかったが、高規格堤防と沿川地域を一体的に整備することにより、河川と一体となった新しい空間が形成され、うるおいのあるアメニティ豊かな地域づくりを進めることが可能となる。(図2)
    また、高規格堤防整備は大量の土砂を必要とすることから、首都圏で発生する建設発生土を盛土材として有効利用することが可能となるとともに、公共事業全体としてのコストの縮減が期待できる。

    【図2 高規格堤防整備イメージ図】 【図2 高規格堤防整備イメージ図】

    2. 江戸川における高規格堤防整備

    江戸川は、利根川から分かれ東京湾に注ぐ延長約60kmの首都圏を代表する河川である。流域面積は約200km2と、川の規模の割には大きくないが、利根川の洪水の分派と首都圏の水源河川、広大な自然とレクリエーション空間として大きな役割を担っている。左岸側は下流部を除いてほぼ沿川地域まで台地が接近しているのに対し、右岸側は全川にわたり低地が広がっている。(図3)

    【図3 江戸川沿川地域の地形断面図】 【図3 江戸川沿川地域の地形断面図】

    また、沿川地域は、両側ともに市街地が多く、特に下流部は人口、資産が高度に集中している。
    このため、江戸川が計画規模を上回る洪水などにより破堤した場合の洪水氾濫危険区域(図4)は全体で約500km2、危険区域内の世帯数は約80万世帯、人口は約250万人と想定されている。

    図4は、現在の江戸川で、各沿川市区町で堤防が壊れた場合のシミュレーション結果を包括したもの。
    (概ね200年に一回程度起こる大雨で、3日間の総雨量が318mmの場合)

    【図4 洪水氾濫危険区域図】資料:江戸川工事事務所 【図4 洪水氾濫危険区域図】資料:江戸川工事事務所

    この氾濫危険区域図が示すように、ひとたび江戸川の堤防が破堤した場合、その氾濫区域は広範囲に及び、特に右岸地域でその被害が甚大になると予想されている。これは、左岸側に比べ右岸側は平坦な低地が多く、破堤箇所にかかわらず氾濫による被害が広範囲に及ぶこととなるからである。
    このような計画規模を上回る洪水による壊滅的な被害を回避するため、江戸川では利根川と分流する茨城県五霞町及び千葉県関宿町から河口部の市川市までを高規格堤防整備区間(利根運河を含む)として、昭和63年度から高規格堤防の整備を推進しているところである。

    3. 江戸川沿川整備基本構想とは

    高規格堤防の整備は、沿川の土地の大きな改変を伴い、かつ、高規格堤防の区域内の土地の大部分は通常の利用に供されるものであるため、沿川地域の土地利用との整合を図りつつ、高規格堤防と市街地等の一体的かつ計画的な整備に努めることが必要である。
    このため、国土交通省では都市計画担当部局と河川管理者が共同して、長期的かつ広域的観点から沿川市街地整備のマスタープランである「沿川整備基本構想」を作成することとしており、今般、国土交通省関東地方整備局、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都及び沿川の市区町は、「江戸川沿川整備基本構想策定委員会」を設置し、「江戸川沿川整備基本構想」を策定することとしたものである。
    本構想は、江戸川での高規格堤防整備と市街地整備の指針となるもので、今後、河川法に基づく河川整備計画及び各地方公共団体の長期構想並びに都市計画のマスタープランに反映されるものである。

    4. 江戸川沿川整備基本構想の対象地域及び対象期間

    1)対象地域(図5)

    江戸川高規格堤防整備区間は、利根川から分流する地点から河口部まで及び利根運河の全川である。
    江戸川沿川整備基本構想の対象地域は、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都の江戸川沿川地域15市区町で、高規格堤防整備と一体的に土地利用を考慮する江戸川沿川の地域(以下、沿川地域という)とする。

    【図5 江戸川沿川整備基本構想対象区域図】 【図5 江戸川沿川整備基本構想対象区域図】

    2)対象期間

    江戸川沿川整備基本構想は、長期的な視点に立った沿川地域の整備構想を策定するとともに、概ね20年間を対象期間として、整備・検討を進める地区について選定したものである。なお、沿川整備基本構想は、流域の社会情勢の変化や地域の意向等を適切に反映できるよう、適宜その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものとする。

国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所
〒278-0005 千葉県野田市宮崎134 電話:04(7125)7311