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    水質用語集

    pH(ピーエイチ:水素イオン濃度指数)

    水の酸性とアルカリ性の度合いを表す指標で、単位はありません。中性の水はpH7で、それより大きい値はアルカリ性、小さい値は酸性です。ただし、厳密には水温によって変化するので、pHの測定値には測定時の水温も 付記されます。pHは、水中の科学的作用や生物作用に大きな影響を与えます。強い酸性やアルカリ性の水の中では普通の微生物は活動できません。アルカリの度合いが高くなるにつれ、金属の水酸化物が生成して透明度が 下がったり底泥の堆積量が増えたりしやすくなります。また、酸性の度合いが高くなると、底質中の重金属類が溶出しやすくなります。生物の育成には河川では 通常pH6.8~8.5、海域ではpH7.8~8.4の範囲が適しているとされています。
    霞ヶ浦のpHの環境基準値は、利用目的の適用に沿って類型別に定められており、pH6.5~8.5となっています。

    類 型 項  目
    A 利用目的の適応性 基 準 値
    水素イオン濃度 化学的酸素要求量(COD) 溶存酸素量(DO)
    水道2,3級
    水産2種
    水浴
    6.5以上
    8.5以下
    3ミリグラムパーリットル以下 7.5ミリグラムパーリットル以上

    濁度(turbidity)

    水の濁りの程度を表す指標です。水1リットル中に、粘土鉱物であるカオリン 又はホルマジンが1ミリグラム含まれた水を1度としています。濁りの原因となっている 物質には、粘土性物質(ケイ酸塩が主体)、プランクトン微生物、有機物質等があります。

    T-N(total nitrogen:総窒素)全窒素ともいう

    T-N(総窒素)は、水中に含まれる全ての窒素化合物のことです。窒素は大別すると有機態窒素と無機態窒素に分けられます。有機態窒素は有機物の中に含まれている窒素で、人間や動植物の生活に起因するタンパク質、アミノ酸、尿素、核酸等の他にも、製薬、食品、石油、化学工業等の工場排水に含まれる無数の含窒素有機化合物があります。無機態窒素は植物の栄養素として直接的に利用されます。富栄養化の指標としてはT-Nがもっともよく使われます。富栄養と貧栄養の限界値はT-Nで0.15~0.2程ミリグラムパーリットル度とされています。霞ヶ浦の環境基準は以下に示すとおりです。

    類 型 項  目
    III 利用目的の適応性 基 準 値
    T-N(総窒素) T-P(総リン)
    水道水 0.4ミリグラムパーリットル以下 0.03ミリグラムパーリットル以下

    T-P(total phosphorus:総リン)全リンともいう

    T-P(総リン)はリン化合物全体のことをいいます。リンは大別すると有機態リンと無機態リンにわけられます。どちらも溶解性と粒子性に区別されます。溶解性のものは、栄養塩として藻類に吸収利用されるため、富栄養化現象の直接的な原因物質になります。粒子性のものは、カルシウム、鉄、アルミニウムなどの金属とリン酸イオンが結合した不溶性の塩で、藻類に利用されることなく沈殿していきますが、ある程度富栄養化が進んで底層水が嫌気化すると、溶出してきて富栄養化を促進します。霞ヶ浦の環境基準は以下に示す通りです。

    類 型 項  目
    III 利用目的の適応性 基 準 値
    T-N(総窒素) T-P(総リン)
    水道水 0.4ミリグラムパーリットル以下 0.03ミリグラムパーリットル以下

    Cl-(塩素イオン又は塩化物イオン)

    塩素イオンは自然水中で分解されたり沈殿したりすることなく水中にとどまります。塩素イオンは、汚染されていない河川、湖沼、地下水でも一般 に10~20ミリグラムパーリットル程度含まれています。この量を調べることによって、廃水の混入や希釈度の指標となります。例えば、淡水域で50~100ミリグラムパーリットル以上の塩素イオンが検出された場合は、何らかの汚染があると考えられます。汚染源としては、し尿(約5000ミリグラムパーリットル)、下水(50~200ミリグラムパーリットル)、工場排水(業種によって様々)等があり、海岸地帯では海水(約1万9000ミリグラムパーリットル)の混入が考えられます。塩素イオンは、それ自体は人体に特に有害なものではなく、水道水質基準(200ミリグラムパーリットル)も主に味覚の点から定められたものです。

    DO(dissolved oxygen:溶存酸素)

    DOとは、水中に溶けている酸素(O2)量のことをいいます。このDOは、 河川や海域での自浄作用や、魚類をはじめとする水生生物の生活に欠くことのできないものです。
    酸素の溶解度は水温、気圧、塩分等に影響されますが、きれいな水ほど飽和量に近い量が含まれます。一般に、魚介類が生存する為には DO3ミリグラムパーリットル以上が必要であり、良好な状態を保つためには5ミリグラムパーリットル以上必要であることが望ましいとされています。また好気性微生物が活発に活動するためには2ミリグラムパーリットル以上が必要で、それ以下では嫌気性分解がおこり、 硫化水素やメルカプタン等の悪臭物質が発生したりします。

    類 型 項  目
    A 利用目的の適応性 基 準 値
    水素イオン濃度 化学的酸素要求量(COD) 溶存酸素量(DO)
    水道2,3級
    水産2種
    水浴
    6.5以上
    8.5以下
    3ミリグラムパーリットル以下 7.5ミリグラムパーリットル以上

    COD(chemical oxygen demand:化学的酸素要求量)

    水中の有機物等を酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したものです。この値が高ければ湖沼等の富栄養化が進んでいるということになり、水質汚濁の指標として用いられます。霞ヶ浦での環境基準値は、水道用水源としては3ミリグラムパーリットル以下、水産用水としてはサケ、マス等には3ミリグラムパーリットル以下、コイ、フナ等には5ミリグラムパーリットル以下、農業用水としては溶存酸素の不足による根ぐされ病の防止の点から6ミリグラムパーリットル以下が望ましいとされています。

    類 型 項  目
    A 利用目的の適応性 基 準 値
    水素イオン濃度 化学的酸素要求量(COD) 溶存酸素量(DO)
    水道2,3級
    水産2種
    水浴
    6.5以上
    8.5以下
    3ミリグラムパーリットル以下 7.5ミリグラムパーリットル以上

    chl-a(chlorophyll a:クロロフィルエー)

    クロロフィル(葉緑素)は、クロロフィルa、b、c及びバクテリオクロロフィルに分類されます。このうちクロロフィルaは、光合成細菌を除くすべての緑色植物に含まれるもので、水中の藻類の存在量 を量る指標となります。単位はμg/l(マイクログラムパーリットル)を使います。(1マイクログラムパーリットルは百万分の1グラム)

    EC(electric conductivity:導電率)電気伝導率、電気伝導度ともいう

    水が電気を通す能力をいいます。 単位はμS/cm(マイクロジーメンスパーセンチメートル)を使用します。 水中の電解質濃度(イオンになって溶ける塩類濃度)を一括して推定する指標で、 海水の影響や混合状態等を推定したりするのに用いられます。わが国の平均的な河川の EC値は110マイクロジーメンスパーセンチメートル、海水では4万5000マイクロジーメンスパーセンチメートルとされています。

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