事務所の取り組み
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もし、利根川や江戸川で水害が起きると…
もし、利根川や江戸川で水害が起きると、首都圏約230万人が被害を受けます。
昭和22年(1947年)9月、カスリーン台風が関東地方に戦後最大の被害をもたらしました。もし今、カスリーン台風規模の台風に襲われ、利根川堤防が決壊すれば、首都圏では甚大な被害が発生すると想定されます。
1.利根川・江戸川と都市
利根川沿川地域の地形断面図
江戸川沿川地域の地形断面図
首都圏の平野部の土地は、大部分が大きな川の水位より低い位置にあります。近年では、地下鉄網や情報ネットワークが発達し、コンピュータの制御機器や発電施設はオフィスビルの地下にあることが多いため、万一、堤防が決壊すると都市機能が麻痺すると想定されます。
(各都・県の市街化区域資料より作成)
2.水害の事例
カスリーン台風による記録的な豪雨によって、現在の利根川の右岸堤防(埼玉県・大利根町【現 加須市】)が決壊。その濁流は、江戸川・中川沿いに広がり、埼玉県東部および、下流は葛飾区、江戸川区にまで達しました。
この台風による被害は東京、千葉、埼玉、群馬、茨城、栃木において、死者1,100人、負傷者2,420人、流失した家屋23,736戸、浸水した家屋は303,160戸にもおよび、壊滅的な被害となりました。
写真は、昭和22年カスリーン台風による被災状況(葛飾区)です。
利根川上流河川事務所より
3.被害想定
昭和22年にカスリーン台風によって利根が氾濫し、旧河道に沿うように低平地を中心とする地域が襲われました。
広域地盤沈下により土地がさらに低くなりました。その上、人口、資産が首都圏に集中し、カスリーン台風規模の台風で利根川堤防が決壊すれば、氾濫面積も広がり過去の実績を上回る被害が予想されます。