我が国は21世紀に入り本格的な人口減少に転じ、今後、一貫して減少基調となることが見込まれている。このような社会情勢において、低密度な市街地が拡大する拡散型の都市構造を放置した場合、以下のような問題が顕著になります。
・本格化する超高齢社会において、自動車の運転ができなくなり不自由な生活を強いられる高齢者が増大
・広域的な都市機能の無秩序な拡散・立地は、中心市街地をすいたいさせ、「まち」の質が低下
・都市機能が拡散、散在することで、移動距離の増大、過度の自動車依存などによるCO2排出量の増加
・都市施設の維持管理、福祉施策等の行政コストの増大を招く恐れ
各都市における市街地は公共交通沿線に形成されてきたが、高度経済成長期以降の急激なモータリゼーションの進展とともに、郊外に市街地が拡散し市街地密度が低下しています。 今後は、少子・超高齢社会に対応した「歩いて暮らせるコンパクトな集約型都市構造」への再編が不可欠です。
都市交通の課題へ適切に対応するには、環状道路の整備、公共交通の導入、歩行者・自転車の環境改善といった交通施策と「まちづくり」が一体となって、総合的に展開されることが不可欠です。関係する主体が共通の目標のもと連携・連動し、必要な施策・事業を適切に組み合わせ、ハード・ソフト一体で推進するパッケージアプローチ型へ。
■総合的な交通連携の施策・事業の展開イメージ
●基幹的な公共交通を導入し、中心市街地や集約拠点相互を連絡
●交通結節点からアクセスするフィーダーバス、コミュニティバス等のバス網を整備
●各交通モード間の連携を促進するため、P&R、C&R等の駐車場や駐輪施設を整備
国土交通本省都市局HP(http://www.mlit.go.jp/toshi/gairo/index.html)
公共交通は都市において本来備わるべき「都市の装置」であり、集約型都市構造の実現にとって必要不可欠です。このため、地方公共団体が地域住民や交通事業者等と協働し、必要な路線、サービス水準等に関する目標を設定。この際、地域活性化等の外部経済効果は市場で評価されることがないため、「市場への働きかけ(適切な公的関与)」を行い、公共交通機関の利用促進を支援することが重要です。
■ 公共交通の整備と集約型都市構造の実現のシナリオ
茨城県石岡市・小美玉市では、県、市、道路管理者、警察、交通事業者、学識経験者、国などの様々な主体が一丸となって、廃線となった鉄道跡地をバス専用道として再整備を行っています。専用道化した走行空間にバスを運行することで、既存道路の混雑緩和に大きな効果を発揮するとともに、移動の定時性・速達性を確保することにより公共交通の利便性向上が期待されています。
少子・超高齢社会を向かえる中で、誰にでも使える地域の公共交通確保に関する検討は、他の都市においても進められています。