国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所
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地域との連携

  • 地域と一体となった外来種対策

    鬼怒川れき河原の自然を守る

    -地域の力で、カワラノギクの咲く河原を目指そう-

    河原の写真

    鬼怒川のれき河原でみられる生きもの

     河川には、河川特有の環境に応じて、さまざまな生物が生息・生育しています。 特に、砂礫の堆積する中流域の河原は、そうした河原に特有な生物の生息・生育場としての機能を果たしています。  鬼怒川中流域のれき河原には、左のような河原生物をはじめ、さまざまな在来種がみられるいっぽう、シナダレスズメガヤなどの外来植物も侵入しています。

    カワラケツメイの写真
    カワラケツメイ

    本州~九州の日当たりのよい河原・草地でみられます。

    カワラヨモギの写真
    カワラヨモギ

    本州以南の日当たりのよい、河川中流域の砂質やれき質の河原に見られます。

    ミヤコグサの写真
    ミヤコグサ

    道端、海岸、河原などでみられます。茎は地面を這うように生え、日当たりのよい明るい環境を好みます。

    カワラノギクの写真
    カワラノギク

    日当たりがよく、貧栄養なれき質の河原に固有な植物で、関東の一部の河川のみに見られます。

    カワラハハコの写真
    カワラハハコ

    北海道から九州の日当たりのよい、砂質やれき質の河原で見られます。

    カワラニガナの写真
    カワラニガナ

    本州の中部地方以北に生育する植物で、れき質の河原でみられます。

    みなさんも参加してみませんか?

     れき河原生物の保全活動など、鬼怒川流域の環境保全に関する取り組みについては、以下のホームページ などで参加を呼びかけています。ぜひ、みなさんもいっしょに活動しませんか?

    下館河川事務所
    うじいえ自然に親しむ会 [外部サイト]
    押上水神会
    さくら市ガールスカウト第20団
    東京大学保全生態学研究室[外部サイト]
    東京大学保全生態学研究室
    栃木県[外部サイト]
    さくら市[外部サイト]

    鬼怒川らしさはどこへ…?

    氏家大橋~新幹線橋(1947)の写真 ▲かつては、河原の大部分は、植物の生えていない「れき河原(黄色)」でした。氏家大橋~新幹線橋(2000)の写真 ▲河原を植物(緑色)が覆うようになり、水の流れは川幅いっぱいに流れなくなりました。

     鬼怒川は、栃木・群馬県境の鬼怒沼を水源とし、帝釈山・高原山・日光連山からの水流を合わせて、利根川へと流れる一級河川です。さくら市付近を流れる、中流域の広い河原には、カワラノギク、カワラニガナ、カワラバッタなどのれき河原に固有な動植物がみられます。
     しかしながら、近年では、植生の繁茂などにより、れき河原が減少し、こうした生物の生息・生育場所が失われています。

    シナダレスズメガヤの写真 鬼怒川中流域に繁茂するシナダレスズメガヤ
    れき河原と河原生物の減少

     鬼怒川の中流域には、玉石がごろごろとした「れき河原」が広がり、そうした河原に固有なカワラノギクやカワラニガナ、カワラバッタなどの生物が生息・生育しています。
     しかし、治水対策によって洪水が減少したことや、昭和30~50年代に実施された砂利採取などの要因により、河床の低下、河原と流路の比高差の拡大が生じており、近年では、冠水(水に浸かること)しにくい場所が増えました。
     これに伴い、河原には植物が繁茂しやすくなり、れき河原の環境は、著しく減少しています(上航空写真を参照)。
     れき河原の減少は、そこに生息・生育する生物のすみ場所の減少につながります。

    シナダレスズメガヤと河原植物のイラスト
    外来植物の侵入

     鬼怒川中流域のある地域では、カワラノギクが著しく減少した1996年から2004年の間に、外来植物シナダレスズメガヤの生育面積が年2.5倍程度の速度で増加しています(図1参照)。
     シナダレスズメガヤは、光を遮ることによって、河原植物の成長に悪影響を与えます。また、洪水時に水の流れを妨げ、砂を堆積させることにより、河原環境を変質させることもわかっています。

    れき河原の自然を守るために…。

    ブルドーザーで表土ごと剥いでいる写真 シナダレスズメガヤを表土ごと剥いで除去しました放水している写真 細砂を放水によって除去し、れき河原を造成しました

     鬼怒川のれき河原に生育するカワラノギクは、一部の河川でしかみられない希少な植物です。また、シルビアシジミは、日本では限られた地域にしかみられず、さくら市付近が分布の北限となっています。

     こうした河原に固有な生物の多くは、絶滅の危機に瀕しています。これらを守るために、私たちにもできることが、きっとあります。



    れき河原の再生

     2002年には、絶滅の危機が明らかになったカワラノギクの系統保全を目的とした緊急対策が、氏家大橋付近で実施されました。この対策では、河原の一部で、表土ごとシナダレスズメガヤを機械的に除去し、さらにポンプ車からの放水によって細砂を除去したのち、カワラノギクの播種を実施しました。

     この対策により、カワラノギクの株数は増加し、当面の絶滅の危機を回避することができました(図1参照)。


    河原生物の保全活動

     保護区とその周辺では、その後も市民、研究者、行政が協働でシナダレスズメガヤを抜き取る植生管理を進めており、カワラノギクなどの河原にすむ生物たちの生息・生育環境が保たれています。


    鬼怒川中流域におけるカワラノギクの株数とシナダレスズメガヤ占有面積(104km付近4.0ha)の年変化のグラフ 鬼怒川中流域におけるカワラノギクの株数とシナダレスズメガヤ占有面積(104km付近4.0ha)の年変化 *村中孝司(2005)より作成
    保護地区におけるカワラノギクの開花状況の写真 保護地区におけるカワラノギクの開花状況
    • カワラノギクの種を播いている写真 緊急保全措置としてカワラノギクの種を播きました。
    • シナダレスズメガヤを抜き取っている写真 鬼怒川の河原にすむ生物を守るため、みんなでシナダレスズメガヤを抜き取っています。
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