道路の占用の概要
道路上に電柱を設置する場合など、道路に一定の施設を設置し、継続して道路を使用することを「道路の占用」といいます。この道路の占用は地上に施設を設置する場合だけでなく、電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する場合や、道路の上空に看板を突き出して設置する場合なども含まれます。
「道路の占用」をするためには、道路を管理している「道路管理者」の許可を受ける必要があります。(道路法第32条)国が管理している指定区間の国道については、当該国道を管理している国道事務所の「事務所若しくは出張所」から「道路占用許可申請書」の用紙を受けとり、必要事項を記入のうえ「出張所」に占用許可申請することになります。
「道路の占用」を行うことのできる物件は、道路法及び同法施行令で規定されています。(道路法第32条及び同法施行令第7条)
上下水道、鉄道、電気、電話、ガスなどのそれぞれの事業法に基づく施設を設置するために、公益企業者が行う道路の占用(道路法第36条)を、通常「企業占用(義務占用)」といい、それ以外の例えば看板などの道路の占用を、「一般占用」といいます。
「企業占用」「一般占用」とも、占用申請の提出から許可までの一連の手続きの流れは基本的に同じですが、「企業占用」がその性質から道路法で特例を設けている点等から、占用の期間や更新時の手続きが異なります。
道路管理者による道路の占用の許可のほかに、道路交通法の規定により所轄警察署長から「道路使用許可」を受ける必要があります。
道路使用許可の対象となる行為は以下のとおりです。(道路交通法第77条)
- 道路において工事若しくは作業をしようとする行為
- 道路の石碑、広告板、アーチ等の工作物を設置する行為
- 場所を移動しないで、道路に露天、屋台等を出そうとする行為
- 道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為
道路の占用に関して、上記の行為が生じる場合は「道路使用許可」の手続きも必要になります。なお、「道路占用許可」と「道路使用許可」の申請の提出はどちらか一方の窓口を経由して行うことができるとされています。(道路法第32条第4項、道路交通法第78条第2項)
占用許可までの標準的な処理期間は行政手続法に基づき、出張所受付から2~3週間以内と定められています。
ただし、次の期間は、標準処理期間に含まれません。
- 申請書類の不備等を補正するために要する期間。
- 申請の途中で、申請者が申請内容を変更するために必要とする期間。
また、次の場合には、適用しません。
- 申請内容が先例のない場合等であって、1ヶ月以内に承認又は、許可を行うことが困難な場合。
- 占用の許可にあたって国土交通省へ事前協議が必要な場合。
道路占用の期間について
占用の期間
道路占用の許可には、占用することのできる期間も含まれていますが、(道路法第32条第2項)必ずしも、申請者が希望する占用期間を許可の際に採用することとはなりません。 道路法では、占用物件毎に次のように占用期間の最高限度を定め、その範囲内で期間を決定することとしています。(道路法施行令第9条)
- 道路法第36条に規定する事業者が設ける占用物件(企業占用物件)は、10年以内としています。
- その他の物件(一般占用)については、5年以内としています。
占用料について
占用料について
道路の占用の許可は、一般公衆の自由な通行・使用を目的とする道路を、この一般用に著しい支障を与えない場合に限って、特定の者に排他独占的に使用する権利を与えるものです。
占用料の徴収については、道路法において規定されており、この占用料徴収権は、道路管理権に基づくものです。(道路法第39条)
占用料の額及び徴収方法
- 道路の占用料の額は、指定区間内の国道にあっては政令(道路法施行令)で定められています。
- 占用の期間が1箇月未満の場合にあっては、消費税法第6条の規定に基づき消費税を徴収します。(道路法施行令第19条の 2)
- 政令に基づき算出された占用料は、占用の許可をした日から1月以内に納入告知書により一括して徴収します。(同法施行令第19条の3)
- 占用の期間が翌年度以降にわたる場合には、翌年度以降の占用料は、毎年度、当該年度分を4月30日までに徴収することになります。(同上)
- 徴収した占用料は返還しません。(同法施行令第19条の3の第2項)ただし、道路法第71条第2項に規定により道路の占用の許可を取り消した場合においては、取消後の占用料を返還することとなります。
- 納入告知書により納入を命じても、占用者が占用料を納入しない場合には、督促状により納付すべき期限(発行の日から20 日)を指定して督促しなければなりません。
- 国等の行う占用や地方公共団体の行う占用等公共性の高いものの占用料金については、道路法第39条をはじめとして、道路局長通達や地方整備局長通達により減免されています。