霞ヶ浦導水事業の取り組み状況
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事業で導入された先進工法
積極的に新技術を導入し、コスト縮減、安全性の向上に取り組んできました。
霞ヶ浦導水事業で導入された新たな技術と工法
霞ヶ浦導水事業においては、安全かつ効率的な施工を積極的に導入し、コストの縮減と安全性の向上に取り組んできました。こうした取り組みのなかで、立坑の施工における「自動化オープンケーソン工法」、トンネルの施工のコストを大幅に縮減した「長距離急速施工シールドマシン工法」、シールドトンネル掘削の発進と到達に必要なコストを大幅に縮減した「新素材コンクリートを用いたシールドの発進・到達防護工法」といった工法を導入しました。
1. 自動化オープンケーソン工法
SOCS:Super Open Caisson System
本工法は従来工法とは異なり、地盤の掘削、掘削土の搬出、ケーソン本体の圧入装置の制御が自動化されており、機械化によるコスト縮減が可能になったほか、大深度掘削が可能になりました。
平成10年度(社)日本建設機械化協会長賞受賞
施工箇所:茨城立坑・上飯沼立坑・堅倉立坑・美野里立坑・玉里立坑
2. 長距離急速施工シールドマシン工法
本工法では、耐久性の高い新素材のビット※の採用、新しいビットの配置方法により、従来よりも長距離の掘削が可能なシールドマシンを開発しました。また、セグメント※の高速運搬やセグメント組み立てと地盤掘削の同時進行を可能にしたため、通常の約2倍の日掘進長(20m/日)が可能になりました。
※ビット
掘削用の刃先。
※セグメント
トンネルの内壁を構成するコンクリートまたは鉄製の枠の部品。
平成10年度(社)土木学会技術開発賞受賞、建設省関東地方建設局技術開発推進功労者表彰
施工箇所:石岡トンネル第6工区(2.4km)3. NATM(ナトム)
New Austrian Tunneling Method
水戸トンネル区間のうち地盤が硬い区間では、山岳トンネル工法であるNATM(ナトム)を採用しました。この工法により、コストの縮減のみならず、振動を低減させることも可能になりました。
施工箇所:水戸トンネル(那珂機場-桜機場)4. NATM併用土圧シールド掘削機による施工
水戸トンネル区間の一部は、硬い地盤と軟弱地盤が混在する区間となっていました。そこで、この区間用に、硬い地盤の掘削に向いたNATM(ナトム)と、軟弱地盤の掘削に向いたシールドのいずれにも使用可能な掘削マシンを製作し、トンネルを掘進しました。
施工箇所:水戸トンネル(桜機場-水戸立坑)5. 地中でのビット交換が可能なシールドマシンによる施工
従来のシールドマシンは、地中にある状態でビットを交換することが困難であり、掘削能力を低下させないようにビットの交換を行うためには、短い間隔で立坑をつくる等の対策が必要でした。
石岡トンネル区間では、掘進中の地中でもビットの交換が可能なシールドマシンを採用し、効率化とコストの縮減を図りました。
施工箇所:石岡トンネル(上飯沼立坑-茨城立坑)6. 新素材コンクリートを用いたシールドの発進・到達防護工法
NOMST;Novel Material Shield-cuttable Tunnel-wall System
本工法は、新素材コンクリートで構築された立坑の壁をシールドマシンで直接削って発進・到達する工法です。機械で安全に施工することができることに加え、地盤改良等も省力化することができるため、工期短縮、コスト縮減にも寄与しました。
従来工法では立坑壁面が鉄筋コンクリート等で造られており、シールドマシンの発進・到達地点を人力で開削していました。その際、地山の崩落等を防ぐため大規模な地盤改良を行う必要がありました。
新工法(NOMST)では、立坑壁面に新素材コンクリートを用いることで、発進・到達地点をシールドマシンが直接掘削できるようになりました。これにより、地盤改良等を省力化することが可能となりました。
施工箇所:茨城立坑・上飯沼立坑・堅倉立坑・美野里立坑・玉里立坑・高浜機場立坑