霞ヶ浦導水事業の背景
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水質浄化
水質浄化のための取り組みが進められている霞ヶ浦と桜川。さらなる対策が望まれています。
霞ヶ浦の水質の状況
霞ヶ浦では、昭和40年代後半からの流域における人口増加、生活様式の多様化、産業活動の進展などにともない汚濁が進行し、昭和54年にはCOD※が11.3mg/Lという高い値を示すに至りました。水質浄化対策として、7期35年にわたる「霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画」を通して、国、県及び流域市町村による様々な対策が進められてきました。平成21年度に、昭和54年度以来の高い値である9.5mg/Lに上昇しましたが、その後、低下傾向となり、平成25年度には6.8mg/Lまで低下しました。しかし、霞ヶ浦は水深が浅いことなどの特徴により、短期的には水質浄化効果が表れにくい状況であるため、近年は7mg/L程度で推移しています。
※COD(化学的酸素要求量): 水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、湖沼等の水質の汚濁状況を測る代表的な指標です
● COD(全水域平均)の推移● 霞ヶ浦における令和2年度排出負荷量(COD、全窒素、全リン)
● 霞ヶ浦における水質浄化の対策
霞ヶ浦の水質浄化のために、茨城県は「霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画」を策定し、関係機関とともに様々な水質浄化対策を行っています。令和3年度から令和7年度までは第8期の計画期間となっており、流域での負荷削減対策(生活排水対策、農地・畜産対策等)や、湖内での対策が進められています。湖内での対策としては、生態系の持つ自然浄化機能を活用した浄化対策などとともに、霞ヶ浦導水事業を促進し、浄化用水を導入することとしています。桜川の水質の状況
桜川では、流域の都市化の進展とともに汚濁が進行し、昭和40年代後半には、BOD※の年平均値が80~100mg/lにまで達しました。昭和63年10月から始まった渡里用水を用いた暫定的な浄化用水の導入や、下水道整備の進捗等により、BOD年平均値は大幅に改善されました。しかし、桜川の水量が少なくなる夏季などに水質が悪化してアオコが発生することもあり、年間を通じた環境基準の達成には至っていません。
※BOD(生物化学的酸素要求量): 溶存酸素量が十分ある中で、水中の有機物が好気性微生物により分解されるときに消費される酸素の量のことで、有機物汚染の指標となります。● 桜川における水質浄化の対策
桜川では、平成19年2月に国土交通省・茨城県・水戸市の三者が構成する地域協議会により「第二期水環境改善緊急行動計画 桜川清流ルネッサンスII」が策定され、河川事業、下水道事業およびその他の施策(生活及び工業排水対策、農業集落排水対策等)が進められています。
本計画では、平成22年時点のBODを5.5mg/Lに、令和15年時点でのBODを環境基準値の5mg/L以下にまで低減させることを目標にしています。アオコの発生
アオコは、悪臭の発生、景観の悪化、魚類の死滅等の問題を生じさせるのみならず、水道水の利用にも支障をきたします。