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    これまでの協議会の様子

    第1回首都圏大深度地下使用協議会議事録


    日 時 : 平成13年6月5日(火) 15:00~
    場 所 : ラフレさいたま 5階桃の間

    1) 開会

    ○猪股都市地域調整官 時間もまいりましたので、まだお見えになってない方がございますけれども、始めたいと思います。
     ただいまから、第1回首都圏大深度地下使用協議会を開催させていただきます。
     私、進行を務めさせていただきます国土交通省都市・地域整備局企画課の猪股でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    2)国土交通省挨拶

    ○猪股都市地域調整官 開会に先立ちまして、国土交通省を代表しまして、政策統括官の舩橋からごあいさつさせていただきます。

    ○舩橋政策統括官 ただいま御紹介をいただきました国土交通省の舩橋でございます。
     きょう首都圏大深度地下使用協議会に大勢の関係の皆様方にお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。関係省庁の代表の方あるいは自治体の代表の方、これからいろいろとお世話になると思いますが、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
     初めに、簡単にごあいさつだけさせていただきたいと思います。御承知のように、昨年の5月に、いわゆる大深度法が成立いたしました。そして、この4月から施行になったわけでございます。それに基づきましてきょう、こういう形で協議会を開かせていただいているわけでございます。法令の中身や具体的な大深度地下利用の実態につきましては、後ほど私どもの方から詳しく御報告をさせていただきたいと思っております。
     いずれにいたしましても、法律ができ、その法律をこれから使っていくわけでございますが、それに当たりまして、きょうお集まりの皆様方のいろいろなお知恵をお借りし、国土交通省としては、ぜひともこの法律を有効に使って、その本来の目的とするところの大深度地下の有効な活用を図っていきたいと思っております。
     私自身も二、三の大深度利用の実態を見せていただきましたけれども、やはり技術的な大深度利用のコストの問題が非常に大きな問題になろうかと思います。そういう技術をどうやって開発していくか。きょうは公的機関と申しますか、国と自治体の集まりでございますけれども、いずれ民間の方々のそういう分野におけるいろいろな知恵、努力といったものも、大いにこの協議会で吸収をしていきたいというふうにも思っているわけでございます。
     以上、簡単でございますけれども、そういう趣旨で今回開かせていただきましたことを申し上げさせていただき、また今後の関係の皆様方との一層の連携、協調ということをお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。
     どうもありがとうございました。

    3)出 席 者 紹 介

    ○猪股都市地域調整官 続きまして、本日の御出席者でございますが、お手元の出席者名簿と配席図によりまして御紹介にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
     これから議事に入りますが、取材の方におかれましては、申しわけございませんが、ここで退出していただくようお願いいたします。

    4)運営要領承認

    ○猪股都市地域調整官 続きまして、本協議会の運営要領の承認に入りたいと思います。
     本件につきましては、国土交通省から説明させていただきます。

    ○鈴木大深度地下利用企画官 当協議会の役割と運営要領の説明をあわせていたします。 初めに、大深度地下使用協議会の役割について御説明申し上げます。お手元の資料1をごらんください。
     協議会は公共の利益となる事業が円滑に遂行されること、そして大深度地下が適正で合理的に利用されることを目的に必要な協議を行うものです。協議会には関係する行政機関や都道府県から参画いただきながら、事業の共同化や事業区域の調整などを進めてまいります。
     協議会は、通常の場合は定期的に開催いたします。おおよそ年に1回のペースで予定しておりますが、大深度地下の利用に関する情報の収集や交換をしてまいります。なお、具体的な事業の案件が生じた場合であるとか、事前の事業間の調整の申し出が事業者からあった場合には、その都度、協議会を開催することになります。
     協議会において協議が整った事項につきましては、その結果について国の行政機関や関係都道府県はこれを尊重するということになっております。
     引き続き、当協議会の運営要領の説明に移ります。資料2をごらんください。「首都圏大深度地下使用協議会運営要領(案)」と記載してある資料です。
     第1条では協議会の設置目的などを定めてあります。第3条では協議会の会議の委員を定めております。具体的な委員の構成につきましては別紙1に掲載がございます。第4条では協議会の会議の議長を定めております。当協議会におきましては関東地方整備局長をもって議長とするということとしております。第6条は幹事会の定めです。幹事会のメンバーにつきましては同じ資料の別紙2に記載があります。ここでは代表幹事として関東地方整備局の建政部長をもって当てるとされております。第8条は協議会の庶務の規定でありまして、関東地方整備局の建政部計画管理課において処理する旨の定めがございます。
     以上で要領(案)の説明を終わります。

    ○猪股都市地域調整官 それでは、本要領につきまして、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。――よろしゅうございますか。
     それでは、本協議会運営要領を承認とさせていただきます。どうもありがとうございました。

    5)情報公開について

    ○猪股都市地域調整官 議事に入ります前に、ここで事務局から皆様に御確認をいただきたいことがございます。

    ○鈴木大深度地下利用企画官 当協議会の情報公開に関する対応についてご説明申し上げます。この協議会は、情報公開法にもとづく情報公開の対象となります。したがって、会議の議事録や配布された資料に対する情報の開示請求などに対しては、情報公開法に基づいた対応をすることになります。

    6)意 見 交 換

    ○猪股都市地域調整官 次の議事に移りたいと思います。これからの議事につきましては、運営要領に基づきまして、議長である奥野関東地方整備局長に進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

    ○奥野議長 関東地方整備局長の奥野でございます。運営要領に従いまして議長を務めさせていただきます。
     また、先ほどの運営要領にもございましたとおり、首都圏首都圏大深度地下使用協議会の運営につきましても、私ども関東地方整備局が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

    7)資 料 説 明

    ○奥野議長 それでは、議事を進めたいと思います。お手元の議事次第では4番まで終了いたしました。5番の意見交換ということになるわけでございます。
     皆様方にいろいろ御発言をいただきたいと思っておりますけれども、その前に大深度地下使用法あるいは大深度地下を使用している事業例などにつきまして、国土交通省から説明をお願いいたします。

    ○鈴木大深度地下利用企画官 それでは、大深度地下使用法とその制度つきまして御説明をいたします。
     まず、カラー刷りのパンフレットをごらんください。パンフレットの背表紙は、見開きにいたしますと、大深度だけでなくて、さまざまな深度の地下空間を高度に利用している様子が描かれております。それと同時に、それによって地上部分においては緑地空間や親水空間があったりと、都市空間として非常に質の高いものが実現されているというイメージ図が描かれているところであります。
     2ページには大深度地下利用の最近の状況について説明があります。既に都市部においては浅い深度の地下につきましてはさまざまな利用がされていて混雑を来しているということは御存じでありますけれども、大都市においては地下40メートルを超える深さにおいても、上下水道のトンネルであるとか、地下鉄であるとか、地中送電線のトンネルなど、かなり利用が進んでいるという説明がされています。
     3ページにうつります。補償に伴う問題もありまして、地下を利用した事業の中で、特に線的な地下利用の場合は主に既存の道路下で事業が進められていることが多くなっています。都内の国道の地下では、道路1キロ当たり延べ33キロものさまざまな管路が埋設されています。新しく設置されるさまざまな施設については、既にある管路を避けるために、だんだん深いところに建設されていかざるを得ないという状況があります。
     4ページです。ここで、この特別措置法における大深度の定義が説明されております。(1)では通常の地下利用が行われない深さである地下40メートルよりも深い地下、(2)は建築物の基礎の設置のために利用が通常行われない深さである支持地盤の上面から10メートルよりも深い地下という図がありまして、(1)(2)のどちらかより深い方を大深度地下としているというものです。
     下に大深度地下マップの絵がありますが、同じものが皆様のお手元に大きな判で配付されております。これは、昨年末に国土庁が首都圏、中部、近畿の三大都市圏を対象に非常に大まかな大深度地下の深さを調査しまして、これを色分けしてマップにしたものです。そのうち、お手元のものは東京圏のものです。
     パンフレットには特段の記載をしてありませんけれども、今回の特別措置法の対象となる事業についての説明を申し上げます。特に三大都市圏においてかなり深い地下ですでに実施されている事業ということから、鉄道、道路、河川、電気、ガス、通信、上下水道が特別措置法の第4条において対象となります。これらの事業を行う事業主体は、国や地方公共団体に限定されるというものではなく、4条の対象事業を行うものであれば、民間事業者においても使用の認可が得られるということになっております。
     パンフレットの5ページですけれども、ここで特別措置法における大深度地下の使用権と補償についての基本的な考え方の記載があります。大深度地下は、通常は利用されない空間であるということで、公共の利益となる事業のために大深度地下の使用権を設定しても、補償すべき損失が発生しないという考えに立っております。このため、この法律では事前に補償を行うことなく、大深度地下における使用権を設定することができることになっています。なお、例外的に補償の必要がある場合は、使用権を設定した後に補償が必要と考えられる土地所有者などからの請求をもって補償を行うという仕組みになっています。
     次に、大深度地下の使用認可の手続の説明にうつります。5ページの図をご覧ください。事業者は使用認可を受けようとする場合、正式な申請に先立ち、事業概要書を作成し事業所管大臣あるいは都道府県知事に送付します。また、事業概要書を作成した旨など、公告・縦覧が行われることになります。
     事業概要書には事業の名称、種類、区域の概要、大深度地下を使用する期間などの記載がなされます。事業概要書は、先ほど申しました公告・縦覧を通じて周知されますほかに、当協議会の構成員に対しましては、事業所管大臣等から、その写しが送付されます。
     縦覧期間内に事業の共同化や事業区域の調整などの申し出があった場合は、事業者はそれらについて調整に努めなければならないことになっておりまして、まさに、その調整はこの協議会の場で行われるというものであります。
     次に、使用認可の申請の段階です。事業者は使用認可を受けようとするときは使用認可申請書と、そのほか必要な添付書類を事業所管大臣を経由して、国土交通大臣に対して、または都道府県知事に対して提出することになっております。使用認可申請書などの提出先は、事業者、事業区域の範囲、事業の性質であるとか、事業の影響の及ぶ範囲によって国土交通大臣あるいは都道府県知事に分かれて決められております。
     国土交通大臣が使用の認可にかかわるものとしては国や都道府県が事業者である場合、事業区域が複数の都道府県の区域にわたる事業である場合、道路公団であるとか、地域振興整備公団などの公団である場合などが大臣が使用認可にかかわるものとされております。使用認可申請書には事業者の名称、事業の種類であるとか、事業区域、設置する施設の耐力、使用期間などが記載されることになっております。添付書類は使用認可を申請する理由、事業計画書、事業区域、事業計画を表示する図面、事業区域が大深度地下に当たるということを証明する書類などになっております。
     申請を受けた国土交通大臣あるいは都道府県知事は事業区域が所在する市町村長にこの申請書などの写しを送付いたします。申請書の写しを受けた市町村長は、事業者の名称などを公告し、使用認可申請書などを縦覧いたします。
     この認可に利害関係を有するものは縦覧期間内に意見書を提出することができます。なお、利害関係者というのは、ここでは事業区域にかかる土地の所有者に限定されるものではなくて、そのほか社会的あるいは経済的利害関係を有するものも含まれると解されております。
     国土交通大臣あるいは都道府県知事は、必要があると認める場合には、公共公益施設の管理者であるとか、または当該事業の施工について関係を持つ行政機関に意見を求めることになっております。さらに、事業者に対しまして、事業区域の住民などに対する説明会の開催を求めるほか、公聴会を開催して学識経験者の意見等を求めることができます。
     このような手続を経た上で申請内容を審査しまして、法の第16条に定める使用認可の要件をすべて満たしているというときに認可が行われます。
     お手元に「大深度地下使用法について(概要)」というのがついているかと思います。この2ページをごらんください。ここに、先ほど申しました使用認可の際の要件の記載があろうかと思います。
     まず、要件としましては、そもそも事業が先ほどの第4条の定められた事業に該当しているということ、事業が対象地域の大深度地下で施工されるということ、その他に事業の円滑な推進のため大深度地下を使用する公益上の必要があるということ、後から説明しますが、事業計画が大深度地下の使用に関する基本方針に適合するものであること、設置される施設や工作物の耐力が政令で定める基準を満足していること、事業区域にある井戸その他の物件の移転や除去が必要となるときは、それが困難でないことです。
     認可となったときは、直ちに認可事業者に書面をもって通知されるとともに、官報によって告知されます。なお、使用認可処分に対しましては審査請求あるいは異議申立てができるということになっています。
     パンフレットに戻りまして5ページです。下の赤いくくりに特別措置法のメリットがまとめられております。一つ目は権利調整にかかる期間が短縮されるということから、電気、ガスなどのライフラインとか地下鉄などの公共の利益となる事業を円滑に行えるようになる。
     それから、これまで道路に沿ってルートを設定せざるを得ない場合が多かったのですが、この法の活用によりまして、合理的なルート設定が可能になり、その結果、事業の施工期間の短縮が可能になりまして、結果的にコスト縮減にも寄与するというものです。
     それから、大深度地下使用の基本方針や協議会などによって、地下空間の利用について事業間の調整が行われますことから、無秩序な地下空間の開発、利用を防ぐということもできます。
     大深度地下は地表に比べて地震に対する安全性が高いと言われておりまして、そのほか地上にある工作物が地下に埋設されますことから、地上部分の景観の保護に役立ちまして、結果的に都市の景観の向上に役立つということになります。
     パンフレットの7ページ、8ページをご覧下さい。4月に閣議決定されました大深度地下の公共的使用に関する基本方針の説明をいたします。詳しいものは別に資料がありますので、後ほどごらんください。
     Iでは、大深度地下を使用する公共性のある事業とは何であるか、そして、その事業を円滑に遂行するために講ずるべき事業は何かについての定めがあります。
     ここで公共の利益の事業というのは、大深度地下を使用することによって地権者などとの権利調整期間が短縮されるというもの、道路環境の整備などにおいて合理的なルート選択が可能になるもの、社会資本の効率的、効果的な整備に資するものです。また、地上の施設を地下に持っていくことにより、都市空間の質の向上に寄与するということが必要であるとされています。
     事業の円滑な遂行のための方策につきましては、先ほども説明してありますけれども、事業構想の段階から事業者はさまざまな形で情報の公開を行います。具体化した段階では、地域住民に対する周知説明に努めるということになっています。
     同じページのIIには、大深度地下の利用のあり方の定めでありまして、大深度地下空間の利用調整では施設ごとに利用の深度を定めて空間を整序すること、人が使う施設、有人施設などについては可能な限り上部に配置するということが定められております。
     次のページ、IIIでは、大深度地下の使用に際しまして、事業者が配慮すべき事項の定めがあります。具体的には火災、爆発の事故、地震、浸水などに対する安全性の確保、地下水位・地盤などの環境の保全、バリアフリー化の推進、アメニティーの向上などが挙げられております。
     8ページの最後、IVでは今後の国の取り組みが示されております。民間の大深度地下に関する技術開発の促進を図るために、技術開発ビジョンの取りまとめを行う。地盤や地下に設置された施設などに関する情報システムの整備を推進することが定められております。現在、国土交通省の都市・地域整備局においては、これらの事業に着手をしているというところであります。
     パンフレットの9ページ、10ページは特別措置法対象地域の地図、11ページは対象地域を構成する市町村の一覧が列挙されています。
     12ページは、大深度地下を利用することの特性として、建設コストの削減に対する寄与と、地震に対する揺れについての安全性についての説明がございます。
     コスト面につきましては、大深度は地上で工事を行う場合や浅いところで事業を行う場合に比べまして、立坑の掘削やトンネルの構築などの面で、コスト面については増大する部分がありますけれども、ルート面の制約がなくなることから、この点ではコストダウンが可能になると試算されております。
     それから、権利調整の期間が短縮されることで、事業効果が早期に発現されるということになりまして、社会的な、あるいは公益的なメリットがその分大きくなるということが考えられます。
     また、地震に対しましては、地表に比べて地下部分については揺れが数分の1になるということが説明されているところであります。
     以上でパンフレットについての説明を終わります。
     引き続き、資料3以下についての説明を行います。資料3と資料4は大深度地下に相当する部位で行われている事業の事例で、資料3は国内事例で、資料4は海外の事例です。
     資料3から申しますと、1は超高圧の地中送電線の例です。図は東京都内の地下に設置されている27万ボルトの超高圧の地中送電線のネットワーク図です。 23区内の超高圧の変電所はほとんどが地下化されております。送電線では日比谷の洞道の例があります。内幸町と銀座の間では土かぶりで42メートルの区間があります。それから、変電所では、港区高輪の寺院の敷地内の地下で約36メートルという位置に変電所が設置されているというものがあります。
     資料3の2ページには、液化天然ガスの地下タンクと地下トンネルの事例があります。これは扇島の事例ですけれども、世界初の地下埋設式の液化天然ガスタンクが、基盤面のレベルで地下70メートルの位置に設置されているというものの紹介です。このタンクとタンカーの桟橋とはトンネルで結ばれておりまして、一番深いところで約60メートルというものであります。
     同じページの3は鉄道の事例のうち、大江戸線です。中でも飯田橋駅と春日駅の間では路盤面の最深部で40メートルを超える深さになっている部分もあります。
     3ページの4には上水道の事例が紹介されています。上水道につきましても、大規模な管路についてはかなり深く設置されるようになってきておりまして、この絵は神戸市の東灘区にあります、土かぶりが43メートルで建設中の大容量の送水管の図であります。
     下水は処理場まで落差を使って汚水を送水する必要がありますので、管に勾配をつける必要があります。横浜の南部方面の送泥管では、土かぶりで100メートルの位置に建設中の事例であります。
     4ページは、地下河川の事例です。これは建設中の首都圏の外郭放水路の事業です。最深部でかぶりで50メートル、それで利根川と江戸川を結んでいる図であります。
     同じ4ページの7番は電気通信回線の例です。浅い部分については既にさまざまな埋設物があるものですから、都心部ではかなり深い深度まで利用されております。NTT東日本の砂土原の洞道では土かぶり47メートルで、九段下と新宿区の細工が結ばれているということの紹介です。
     資料3の最後は道路の事例です。道路については事例があまりありません。資料は建設中の首都高速道路の都心環状新宿線ですが、青葉台と板橋区の熊野の間で、路盤面で地下40メートルとなっています。この一部では、後からも紹介ありますが、地下鉄の駅と高速道路が共同で設置されている部分もあります。
     以上、資料3が国内の利用事例ということです。資料4は海外の事例です。
     最初は通称BIG DIGというアメリカのボストンの事例です。これは国土交通大臣が大深度の海外事例として折に触れて紹介しているものです。都心部にある高架式の高速道路を地下化するというものです。左側と右側にそれぞれ同じ場所の図がありますが、左側が現状で、右側が2004年完成の地下化された後のものです。地上部は緑が豊かになって、都市としても高い質の空間が実現されるというものであります。
     ページをめくってもらいますと、フランスのパリ郊外のラ・デファンスの事例です。パリ市内の過密化解消のために新しいビジネスゾーンをつくるというプロジェクトです。ここには、高速道路、高速鉄道、駐車場などを地下に埋設しています。その結果、左の方の写真の地上部のように、歩行者の専用空間が整備されているというものであります。
     その他にフィンランド、ロンドン、ロシアの事例が紹介されていますが、説明は割愛させていただきます。
     資料5に移ります。今回の協議会の役割の一つとして、大深度地下を利用した事業の共同化、事業区域の調整を行う場であるというものがあります。それに関連して、資料5では地下空間を活用したさまざまな事業を共同で実施している事例をまとめています。
     (1)は鉄道事業と河川の導水管の整備事業の共同化の事例です。国土交通省の関東地方整備局の綾瀬川と芝川の導水事業では、鉄道路線の一部の12キロの区間で、路盤の下に河川の導水路が建設されているというものです。
     同じページの(2)は電気事業と通信事業の共同化の事例です。都内の大田区の1.9キロの区間で、東電とNTTの洞道の築造が一緒に行われているという図です。
     次のページの(3)は通信事業とガス事業の共同化です。NTTの通信ケーブルと東京ガスの導管が横浜市内のシールドトンネルの2.9キロにおいて、共同で設置されているという図です。
     (4)は電気事業と水道事業の共同化の例で、これは大阪です。関西電力のシールドトンネルと市の水道局の水道のシールドトンネルが、淀川の下の部分で接合されて、共同化されているというふうな絵であります。
     最後の(5)は、先ほどちょっと説明しましたが、鉄道事業と道路の共同化の事例で、大江戸線の一部で首都高の環状線と駅が一体で整備されているというものです。以上で資料の説明は終わりたいと思います。

    ○奥野議長 どうもありがとうございました。
     続きまして、大深度地下の使用を視野に置いた民間でのプロジェクト構想を御紹介いただきたいと思います。本日は日本プロジェクト産業協議会から藤村様と内野様がお見えでございますので、お二人に、こうした民間でのプロジェクト構想について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

    ○内野係長(JAPIC) JAPICの内野でございます。
     資料といたしましては、資料番号は打ってないんですが、「大深度地下を利用した大都市新生プロジェクトの実現に向けての調査・研究」という、こちらのペーパーと、報告書といたしましては「大都市新生プロジェクトの実現に向けて」、ちょっと分厚いので、お持ち帰りのとき大変だと思うんですが、この二つでございます。
     まず、こちらの資料につきましては、日付が平成12年12月ということで、昨年、取りまとめたものでございまして、現在はA4のペーパーのような形でいろいろと調査・研究を進めているわけなんですが、こちらの報告書につきましては、中身を見ていただきますと、27個のプロジェクトがありまして、この場で全部説明するわけにはいきませんので、代表的なのを若干説明させていただきながら、民間の方ではどんな研究をしているのかというのを中心に御紹介させていただきたいと思います。
     こちら27のプロジェクトを取りまとめた経緯でございますが、先ほど御説明ありましたように、昨年、大深度に関する法案ができたということを受けまして、民間でも何かいい提言ができないだろうかということに端を発しまして、実は9月ぐらいから11月の中旬ぐらいまでということで、約2カ月ちょっとで募集をしたということでございます。
     その前に、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の組織の概要については、きょうは御省略させていただきます。一応御承知だということで説明させていただきます。社団法人でございまして、会員が200社ぐらいあるということで、昔ですと4省庁共管であって、今は2省庁になったんですが、そういうことだけちょっと御理解いただきたいと思います。
     そんなことで、2カ月ぐらいの間で取りまとめたものですから、かなりいろんなバリエーションに富んでいるのと、10年ぐらい前に大深度がはやったときと同じような少しバブル的なものも入っております。ただ、こちらを全部見ていただきますと、大深度の使い方というのは、こんなのもあるんだと、例えばこういうアイデアも出るなということで、これを見ていただくことによって、大深度に関するアイデアが脹らむようにはつくったつもりでございますので、後ほど、時間がありましたら詳しく見ていただきたいと思います。
     現在、JAPICの方ではどんな活動をしてまいっているかと申しますと、こちらのA4の資料に移らせていただきますと、大都市新生プロジェクト研究会というのを、この日付どおり4月5日に立ち上げてございます。
     経緯としましては、こちらの報告書を受けた形で、なるべくこちらのプロジェクトをもとに、本当に必要なプロジェクトは何だろうかというのを探るために研究をしてみようということで調査を始めたわけでございます。
     最初の背景のところは若干省略させていただきますが、1の背景と目的の最後から、このプロジェクト自体は、27の提案プロジェクトは大深度地下利用に関するアウトラインを提示したものだということで、先ほど見たような形でいろいろアイデアが脹らむというようなことでございます。
     それをもとに基本理念あるいはケーススタディを通じた諸課題、これは技術的な課題も当然含まれると思います。あとは、どういうふうに機運を盛り上げていけばいいんだろうかというようなことも若干、こちらに触れておりますので、その辺について方向性の指針となるものではないかというふうに認識しております。
     現在、4月5日からなんですが、始めましたのが大深度という切り口から何かを使おうと思うと、限界というか、かなり無理があるだろうということで、今は首都圏を対象に置きまして、首都圏の今後の都市のあり方、そういうビジョンを――ここではグランドデザインという言葉を使っているんですが、都市構造と読んでもらっても構いません――、そういったものを少し見ながら、その中でどういうプロジェクトをやるべきであろうかと、その中で必要なプロジェクト、それをある意味では早期にやるために大深度の地下利用をやるべきではないかと、あるいは、本当に環境をよくするために圏央施設を地下に入れるべきではないかというふうなことで調査をしております。
     1枚めくっていただきますと、2ページでございますが、今、四つのワーキングに分かれておりまして、一つ目が首都圏における幹線ネットワークのワーキングということでございます。こちらは道路と鉄道について検討しております。後ほど、こちらのプロジェクトについては簡単に御紹介いたしますので、それを見ていただければと思います。
     また、新たな都市基盤整備のワーキングということで、こちらは物流機能あるいは廃棄物。例えば廃棄物ですと、圏央施設ということで地下化が可能ではないかということも考えておりますし、物流については、例えば港湾と鉄道あるいは高速道路を今後は結んでいく必要がある場合、例えば地下を使った場合の方が容易にできるのだろうかと、そんなようなことを少し中心に検討したいと思っております。
     新たなまちづくりの検討ワーキングというところでございます。こちらは、後で御説明申しますが、先ほどの例でありました都心地区のまちづくりに関しまして、高速道路等を地下に入れたらどうかというところが対象になります。
     最後、環境・防災・エネルギーの方は、いろいろな形のものが考えられるんですが、一つは都市河川の2層化とか、あるいは首都圏のダムがかなりありますけれども、それらを導水で結ぶというようなときに、地下で結んで相互融通を図れないだろうかと、そのようなことも検討の対象に入れております。
     それでは、こちらの調査状況について簡単に御説明しますが、調査・検討項目については後で見ていただくといたしまして、時間もありませんので、2枚めくっていただいて、3ページの次ですね。
     こちら、皆様からはかなり議論が出るところかとは思います、現在、グランドビジョン的なイメージとしましては、JAPICとしましては今、こんなことを実は考えているんだと。最近、都市再生ということもいろいろと言われておりますので、そういうところの提言ということも含めまして、いろいろとこういう形について検討しているんですが、一つ目といたしましては、四角の中だけを読み上げさせていただきます。
     まず、東京圏に欠けている文化・観光、商業、並びにビジネスの中心地としての役割を強化するために、都心部に日本の顔となるような都心軸をつくろうと。このペーパーですと、都心ルネッサンスというイメージになっていますが、都心の軸をつくろうということになっています。具体的には、先ほど言いました日本橋ですね、それから東京駅、あるいは銀座、汐留。汐留からはゆりかもめが出ていますので、リゾート系につなぐというようなところを一つの軸として強化していくことが都市の再生になるのではないかと考えております。
     特に日本橋については、報告書の243ページに、その事例が簡単に書いております。45ページぐらいからですね。こちらも後でゆっくり見ていただきたいと思うんですが、やはり日本橋は文化発祥の地であるということもありまして、ここら辺の首都高を何とか地下化したいというのが地元の方のかなりの熱意でございます。
     ただ、ここだけ地下化するといってもかなり無理な話がございますので、我々としては今、175ページに八重洲の話とかいろいろなものも出ているんですが、例えば日本橋の地下化をする、首都高を地下化する場合であれば、中央環状道路あるいは品川線がちゃんとできて、こちらの方に道路の負荷がかからないようなところで着手するとか、そのために今から検討して空間を取っておくとか、そういうようなことが望まれるんではないかと。
     東京駅との連担としましては、そうなりますと、都営浅草線等の連結の話なんかもございますので、そういうのとあわせて道路を下に持ってくるようなことも実は考えられないんだろうかというようなことを発想しています。具体的にやっている方がいらっしゃいますと、これは無理だろうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これはあくまでもアイデアでございますので、その辺、御了解いただきたいと思います。
     銀座につきましては商業・文化ということでございますので、以前からJAPICとしては、そこに地下ネットワークの構想をしております。特に日本橋については高速道路を地下化しまして、この報告書では、東京シティエアターミナルをそこの地下に持ってこようとか、そういう話にもなっています。あるいは、もう一歩進めれば、都心のここに高速道路が本当に必要なのだろうかと、全部下でつないじゃえという話になるかもしれません。その辺を実は検討していきたいなというところも考えております。
     次に、2のところなんですが、これは副都心と言われるところの魅力づけをさらにしていきましょうということでございます。特に池袋につきましてはグリーン大通りというかなり大きな通りがありまして、かなり広いですね。そうしますと、例えばシャンゼリゼ通りのように改造することが可能であるというようなこともありまして、その中で営団13号線の話があって、時期的にちょっと遅くなったかもしれませんが、こういうのと一緒に地下空間を使ったらどうだろうかと。
     新宿に行きますと新宿3丁目ですので、新宿のサブナードの延伸、あるいは渋谷ですと、あそこの文化会館のところですね、その辺の一体化につながっていくというようなことでございます。
     ただ、こちらを全部眺めますと、こちらの本を読んでいただきますと、一層のこと明治通りを池袋から渋谷まで全部、環5の位置から大深度にしてしまって、明治通り自体を例えばトランジット化して、公共交通あるいは簡単な自動車だけにするということも実は考えられるというようなことでアイデアが出てくるということでございます。
     次は、それを支えるということで臨海部のことについて書いているんですが、これは直接大深度とは関係ありません。特に臨海部においては防災拠点というようなことで、ある程度の地下を使ったりしたいというようなことを実は考えております。
     1枚めくっていただきまして、当然のことながら、4としましては、都心部への交通負荷を軽減するというようなことと、環境の負荷を軽減するというようなことで、環状系というか、循環系の交通ネットワークをどのように改造していくかという中で、実は大深度地下利用ができないだろうかということを考えております。
     (1)の(2)につきましては、弾丸道路はなかなかきついかなというところもあるんですが、環状道路については早期にやっていただきたいというのと、特に航空へのアクセスですね、こちらはかなり大事な話ですので、大深度を使うかどうかというのもありますけども、いろいろなところで地下あるいは上空を利用して都市区間を高度利用して、どんどん進めていったらどうかということを実はグランドビジョンとしては考えております。
     その中で実際に地下を使ってどんなプロジェクトが将来にとって一番いいんだろうかというようなことを先ほどの四つのワーキングで検討をしていきたいと思っております。調査期間としては大体2年間かけてやるということで、こちらのグランドビジョンについては多分、ことしの秋ぐらいにできまして、その後、その中にあったようなプロジェクトを当てはめていくという形になると思います。
     特に交通系につきまして、きょうリーダーをやっていただいております藤村さんに来ていただいていますので、若干御説明をさせていただきたいと思います。

    ○藤村副主査(JAPIC) JAPICの研究会のリーダー役をさせていただいております藤村でございます。
     あと5分ぐらいお時間をちょうだいいたしまして、もうちょっと具体的な研究事例を御紹介させていただきたいと思います。
     お手元の小冊子の15ページ、16ページとA3で折り込んである一覧表でございます。このページは裏表になっておりますが、これは今御紹介いたしました昨年秋のJAPIC内で検討した提案総数27件が全部つづってございます、タイトルではありますけども。今御紹介しようと思っておりますのは、これの1番と2番、この表の最初でございますが、ジオ・スーパークロスハイウェー構想と、首都圏ジオエクスプレス構想。これは道路系あるいは鉄道系というところを御紹介させていただきたいと思います。
     同じ資料の21ページでございますが、お開けいただきますと、今御案内申し上げましたジオ・スーパークロスハイウェー構想という道路系の一つの例ということで御紹介させていただきます。このページの上の2行目に書いてございますように、交通インフラの再構築と大都市の再生を目指してというサブキャッチがついております。何を申し上げたいかと申しますと、パースの下に枠がございますけれども、基本コンセプトと書いてあります。
     これは大都市ということで大深度の例を東京ということに考えた場合ということでまとめた資料でありますが、東京圏の幹線高速道路網の再構築というのが (1)で書いてございまして、その下に書いてございますように、御承知のように、首都高が大分渋滞している中で、どうも東京ばっかりじゃなくて、東京を越えて地方に行きたいのに、わざわざ東京の中へ入ってきて込んでおるという車が約60%近くあるというところに着目した例でございます。
     後ほど御紹介いたしますが、日本の高速道路の代表幹線網でございます東名と東北道、あるいは関越道と湾岸道路を十字でつなぐと、大深度でつなぐというところでクロスハイウェーという名前にしております。
     それから、今の枠の中の(3)に外部経済へのトレンドということが書いてございます。この高速がもしこのような形でできれば、渋滞解消はもちろんでございますけれども、一般の都内の混雑に伴う経済的な効果、高付加価値化もさらに増すんではないかということで、右に書いてございますように、新しい時代のインフラの創出に向けてということで、ITS等の高速道路網を完備したらどうなんだろうということを考えたものでございます。
     23ページをお開けいただきますと、今申し上げましたとおり、この高速道路、御承知の東名と東北道、きょうの埼玉のすぐそばの東北道のインターチャンジ、料金所もございますけれども、この東北道とのつながり、もう一つは関越道と湾岸の道路というもの2本を地下で結んではどうかということでございます。それぞれ35キロあるいは30キロぐらいの延長でございますが、延べ60キロあるいは65キロぐらいをつなぐ、それぞれ十文字でクロスした高速道路であります。
     この考え方がもし実現すればということで、一番下に基本的な効果というのが黒マークで四つばかり書いてありますけれども、下から二つ目の横断ラインと縦貫ラインというのが二つございますけれども、横断ラインの方はちょっと古い言葉で太平洋ベルト地帯と日本海ベルト地帯をつなぐ幹線道路ということになるかと思いますが、今風で申し上げれば西日本の国土軸あるいは日本海の国土軸を結ぶものというような全総的な発想の言葉で申し上げれば、このようなことが実現できるのかなと思います。
     次の24ページ目でございますが、これがこの高速道路、上下線3車線ずつ2段で使っておりまして、そのほか社会ライフライン、インフラ施設も併設したような形で、大きな断面をかいてございますが、これは使い方、考え方、何にでも使えるぞというような発想でございます。これはたまたま3車線ずつ上下でやった例でございます。
     26ページをごらんいただきますと、この効果というところで簡単に御紹介申し上げます。26ページの左に書いてありますように、現状、いろいろ混雑する、それに伴う経済的な停滞ももしかしたらあるんじゃないかということで、スーパークロスハイウェー構想ができればという右側の実施後の展開でありますけれども、上の四つぐらいの白菱形マークでございますが、これは交通運輸系のメリットがいろいろ出てくるんではないかというところを書いてございます。黒菱形マーク、この辺は都市の生活がより向上して付加価値が出てくるんじゃないかというところのマークを書いておりますが、こんなようなことで社会インフラの道路整備の一つのアイデアということをお示ししたということでございます。
     そのときの背景でございますが、一番下に、26ページに書いてございますように、御承知のように、自動車は、左に燃料系といたしましては、御承知の燃料電池とかハイブリッドの自動車とかいろいろございますが、この案は30年後ぐらいに供用しているぞというようなアイデアでございまして、その時代にはこういうような排気ガスが非常にない、高効率の自動車が当然あるだろうと、あるいは右にございますような道路の交通システム、ITS等のスマートウェイのこういう新しいシステムが、既にでき上がりつつございますけども、完全なる自動化が大分進んであるだろうという背景で考えた代物でございます。
     以上が道路系でございますが、もう一つ鉄道系の考え方を示したものを御案内いたしますと、35ページをお開きいただきたいと思います。ページ数は書いてございませんで、36ページの手前にパースがございます。この絵のとおり、こちらはリニア鉄道を地下に入れた例でございます。次の36ページぐらいにも書いてございますが、横浜と東京、東京と横浜、東京と埼玉をそれぞれ地下幹線で結びまして、一大業務都市、大きな業務都市をそれぞれこのリニア鉄道で結ぼうというアイデアでございます。
     これによりまして経済の活性化も、あるいは都市の活性化も高高度な付加価値がつくんじゃないかということでございまして、将来的には、37ページにありますように、東京から、さらに千葉、成田というつなぎ方もできるんではないかという事例を示したものでございます。
     これは鉄道を主体としたもの、先ほど御説明したのは道路を主体としたものでございますが、これを複合した形で、あるいは社会インフラとのドッキングとか、いろんな要素が考えられるかと思いますが、それぞれのエリアあるいはそれぞれの使い方を条件とした場合には、いろんな選定度合いが広がるように考えております。
     鉄道系と道路系の御案内、御紹介を二つさせていただきました。以上でございます。

    ○内野係長(JAPIC) JAPICは社団法人ということで、変な言い方しますと、勝手連で勝手に言っていますので、皆様の方でいろいろとここは変じゃないかとか、こういうところをもっとやった方がいいというのがあれば、ぜひ意見を寄せていただければ我々の研究の糧にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これで御報告は以上でございます。

    ○奥野議長 どうもありがとうございました。

    8)意 見 交 換

    ○奥野議長 資料等の説明あるいはプロジェクト構想の説明は以上でございますので、皆様方から御質問あるいは御意見をちょうだいしたいと思います。どんなことでも結構ですから、よろしくお願いをいたします。

    ○石井局長(横浜防衛施設局) レアなケースなのかもしれませんけれども、米軍基地の下を横切った方が好都合だといったような場合、先ほど事業計画から認可までの手続あったんですが、ここでどのように位置づけられるのか。それから、近傍で何かやる場合に、在日米軍は利害関係者として何か意見を申し述べることできるのか。この二つ、ちょっとお聞きしたいんです。

    ○奥野議長 米軍施設に関連する場合はどうかということです。坂巻さん、お願いします。

    ○坂巻課長補佐 米軍基地の下を通る場合、かなりレアケースなのかもしれませんけども、この法律の手続によりますと、実際の事業を行う前に事業の概要書を事業の所管省庁、認可庁に出すことになっています。そういう手続になっています。
     そこで事前にある程度地下利用の調整をやろうということになっておりまして、そのタイミングでこの協議会も開かれるということになっております。その中でいろいろとルートの調整をさせていただくような形になります。そういった観点から、防衛施設局さんの方にも御参加いただいて調整を具体的にはしていくということでございます。
     それで、在日米軍は利害関係者に当たるかどうかということでございますけども、ケース・バイ・ケースではあるんですが、いきなり排除されるということではないのかなと。何らかの影響があるということであれば、そういった意見を聞くという形になるかと思います。

    ○奥野議長 よろしいですか。

    ○高田審議官(総務省消防庁) 消防庁でございます。
     前に近畿でも中部の協議会でも同じことを申し上げておりますが、大深度地下の使用に関しまして、関係市町村との連携についてお願いしたいと思っております。
     大深度地下の使用に関しましては、私どもの関係では安全の確保ということでございますが、現実にこのような地下の中で火災や事故が発生した場合、消火、救急・救助といった面で地元の消防機関の果たす役割は非常に大きいものがあると考えております。
     そういう中で、協議会としては必要があると認めたときは関係市町村に必要な協力を求めることができることになっておりますが、是非消防機関と十分連携を持っていただきたいと思います。
     特に消防機関の場合は、御存知のように、個々の市町村の単位と異なり、広域化が進んでいるという状況がございますので、それらの行政事情を踏まえまして、具体的な事業計画が出てきた際には、是非関係消防機関に直接参加をしていただき、十分意見を反映させていただければと思っている次第でございます。
     どうぞよろしくお願い致します。

    ○奥野議長 消防機関との連携を密にという御意見でございました。何かコメントありますか。

    ○坂巻課長補佐 具体的な事業が出てきた場合には、その事業区域が存在するところの消防機関等との連携は必要と思っております。そういった具体的な案件をやっている場合の協議会を開く前に一度、消防庁さんですか、その方と、参加メンバーというんですか、このメンバー以外にどなたに参加していただくかという話を相談させていただいて、それで協議会に地元の消防機関が参加していただくと、そういった手続になるのかと思います。

    ○奥野議長 御指摘の点、十分踏まえまして対応していく必要があると思います。
     ほかに何でも結構ですから、どうぞお願いいたします。

    ○小松局長(関東農政局) 関東農政局でございます。
     農業関係では、特に今回の首都圏の地域におきましては現在のところ、この法律を使った具体的な計画や構想はございません。ただ、中部圏で40メートル以上の深いところを農業用水が通っているという事例がございまして、これから、我々もこういう可能性を排除せずに、むしろ使う可能性があるというふうに考えている次第でございます。
     さらに、もう一点だけ申し上げたいのは、首都圏、特に北関東地域でありますけれども、御承知のように、地下水低下、地盤沈下の非常にデリケートな地域でありまして、埼玉県や栃木県では、日ごろから地下水位の観測等を行っております。一方、農業用水関係は、相当程度のポンプを使いまして、かなり深いところからも汲み上げをやっております。したがって、大深度の地下使用に際しては、その辺について十分配慮する必要があると考えております。基本方針の中でも、既に環境の面、環境に対する配慮ということで触れられておりますけれども、具体的にこの地域は地下水低下や地盤沈下の面でかなりデリケートでありますので、その点を申し上げておきたいと思います。
     あわせて、地下水の汚染の問題につきましても、農業用水の場合には極めてデリケートであるといった点を御配慮、お願いしたいと思います。
     以上であります。

    ○奥野議長 地盤沈下あるいは地下水の問題を十分検討する必要があるという御指摘でありました。御指摘のとおりだと思いますので、またいろいろ情報交換等をやっていく必要があるんではないかというふうに思っております。
     ほかにお願いいたします。
     先ほどJAPICの方から、民間でのプロジェクト構想について紹介いただきましたけれども、きょう御出席のメンバーのところで、こんなようなことがあるかもしれないということがあれば、情報交換という意味でも御紹介いただければと思いますが、いかがなものでしょうか。

    ○岡部部長(関東運輸局) 関東運輸局の企画部長でございます。
     こんなことが可能性としてあればということで御紹介ということでございますので、申し上げます。鉄道に関しまして、若干コメントをさせていただきます。
     現在でも土かぶり40メートル以上のトンネルが首都圏に、全社合計で計算してみたんですが、16.8キロの延長がございます。あくまで御参考ということで申し上げますけど、最大のものがJR武蔵野線にございます。
     武蔵野線は、東側から回ってきますと、旅客扱いは府中本町が終点なんですが、貨物線として使っております区間が府中本町から梶ヶ谷貨物ターミナルまでございまして、その間11.9キロが40メートル以上の土かぶりがある延長区間がございます。
     それから、皆様よく御承知の横須賀線が東京~新橋間は地下を走っているわけですが、この間、40メートル以上の土かぶりが3.7キロ。こんな事例がございます。
     現在、川崎市の交通局が整備に着手しようとしている鉄道路線として、新百合ヶ丘と元住吉の15.5キロぐらいの区間ですか、この間、川崎縦貫高速鉄道の整備という課題がございます。
     これも全線地下鉄道の計画で、川崎市交通局の話によれば、40メートル以上の土かぶりがある区間は延長で約620メートルあるという話を聞いております。ただ、実際に形状を勘案しまして大深度法のスキームを使うことが適当なのかどうかということについては今、交通局が少し勉強を始めたという段階でございます。また、特に大きく関係します神奈川県とか、もし関連の事業ということで大きな関係が出てくる関係者の方がありましたら、こうした場を通じていろんな情報をいただければと思いましてお願い申し上げます。

    ○奥野議長 どうもありがとうございました。
     現在の鉄道の既に深いところの状況と、川崎の方でも今後いろいろ検討される予定であるので、いろいろな情報の提供もあわせてお願いをしたいと、そういうふうなお話でありました。よろしいですか、特に……。
     ほかに何でも結構です。――ございませんでしょうか。
     今、運輸局さんから川崎の事例の紹介があったんですけども、これはほかの地域の協議会の場でも御提案があったように聞いておりますけど、協議会の構成員としては都県までということになっておりますが、今後、千葉、川崎、横浜の政令指定市の皆様もオブザーバーという形でこの会に出席いただいてはどうかというふうなお話もあろうかと思いますが、いかがでございましょうか。

    ○寶積次長(神奈川県) 神奈川県でございます。
     私どもの大深度地下の事例等も見ますと、実は既設のものもございます。その中に横浜、川崎の事例もございますし、今、関東運輸局の部長さんのお話にありましたような将来計画の部分も実はございます。
     そういうふうな観点から申しますと、2市のオブザーバー参加はぜひお願いできればというふうに考えます。

    ○奥野議長 今、神奈川県からそういうお話がございました。そういった方向で御異存ございませんでしょうか。――それでは、次回以降、オブザーバーとして御参加いただけるようにお声をかけるということにしたいと思います。
     まだ若干時間がございますが、御質問、御意見ないようでしたら、最後に後藤審議官、お願いをいたします。

    ○後藤審議官 国土交通省の官房審議官の後藤です。よろしくお願いします。
     いろいろと知見ですとか御意見、きょうはどうもありがとうございました。
     この大深度地下使用法でございますけども、ことしの4月に施行となりまして、基本方針ができたばかりでございますが、都市再生の有効なツールとして期待しているところでございます。社会資本の効率的な整備、それから安全かつ災害に強い都市、社会資本の整備ということにも役に立つものだと期待しておるわけでございます。
     きょうお集まりの皆様方も事業所管の方ということもございますし、こういった観点で大深度地下の活用についても、日ごろ視野に入れていただきたいというふうに思うわけでございます。
     特に都市再生という観点では、国土交通大臣も大深度地下の活用ということにつきまして非常に熱心でございまして、私どもにも、海外の事例ですとか、既に大深度地下を使っている国内事例を自治体の方にも十分紹介をするようにということでございます。そういった意味で、大深度地下のことは、ぜひ視野に入れていただきたいと思います。
     この協議会も、先ほど説明ございましたけれども、事業構想の段階に早いうちからいろいろと連携、調整を行って事業がスムーズに行くようにということでできているわけでございます。いろんな環境面、安全面についての知見ですとかそういったこともございましょうし、この協議会の場を通じて事業の関係に連携がうまくいくように、そして事業がうまく進むようにということが私どもの願いでございます。
     私ども、先ほど紹介ありましたけども、技術開発ビジョンというのを策定中でございますし、大深度の地下に関する情報の整備ということで、この整備のあり方についても検討しております。でき上がりましたら、こういった場でも御紹介させていただくということになろうか思います。
     いずれにしても、この協議会のメンバーで連携をしていって事業がうまく、事業が出てくることが先決でございますけれども、その方向に向かうようにというふうに思っております。
     それから、きょうはJAPICの方から、いろんなアイデア、構想について御紹介をしていただいたわけでございますが、この点についてもあわせて御礼申し上げたいと思います。
     これから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

    9)そ  の  他

    ○奥野議長 これで予定されております議事の方は最後の6番、その他ということになります。事務局の方では、その他の中身は何かありますでしょうか。

    ○瀧澤課長 事務局を務めております関東地方整備局の建政部から若干御連絡がございます。
     本日の議事の公開につきましては、冒頭、鈴木企画官から御説明がございましたとおり、その内容に沿いまして行わせていただきたいと考えております。会議終了後に、資料の配付とあわせまして、記者へのブリーフィングを行いたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

    ○奥野議長 ほかに、特に何かございますでしょうか。よろしいですか。
     それでは、以上をもちまして、第1回の首都圏大深度地下使用協議会を閉会させていただきます。
     皆様、本日はお忙しい中を御出席いただきまして、本当にありがとうございました。

    8) 閉会

国土交通省 関東地方整備局 所在地 〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 さいたま新都心合同庁舎2号館電話:048(601)3151〔受付時間:8時30分から12時00分、13時00分から18時00分〕 FAX:048(600)1369