事務所の取組み
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環境
荒川エコロジカル・ネットワーク(基本方針等)
エコロジカルネットワークの考え方
多くの生き物は、エサを捕ったり、休息、繁殖などの目的にあわせて、1日、1年、あるいは一生のライフサイクルに応じた生息空間を必要とします。こうした生き物の生息空間を“ビオトープ”と言い、それらの間を自由に行き来できる川や樹林などの自然の帯が必要となります。
荒川に残されたさまざまなタイプのビオトープを、自然の帯でつなげることで、生き物のライフサイクルに応じた多様な環境を生み出すことができます。この自然の帯は異なるタイプのビオトープだけでなく、同じタイプのビオトープにも必要です。生き物は同じ集団だけで交配(遺伝子の交換)を続けていると、環境の変化に耐えられない弱い個体が増え、種を維持することは一般にできないからです。
同種の自然・異なる自然をネットワークさせることで、生き物たちが暮らしやすい自然環境が生まれます。
自然をつなぐネットワークの考え方
1. まとまりのある重要な自然を守る
ネットワークの第一歩は、生態系が健全に機能し、ある程度まとまりをもった「核」となる自然を守り、その自然をさらに回復させることです。
2. 中つぎとなる自然をつくる
次に、飛び飛びに存在するネットワークの「核」となる自然をつなげやすいように、それらの自然の間に、「中つぎとなる緑地や湿地」などを復元します。
3. それらをつなぎネットワーク化
そうした自然を大小の川、自然堤防上の屋敷林、谷地などに連続して見られる湿地、台地の緑の斜面林などでつなぎ、ネットワーク化します。荒川における自然の回復へ向けた取組み
荒川流域全体の自然のつながりを強化するためには、上図で示したように、第一段階として生態系が健全に機能し、ある程度まとまった「核」となる自然の拠点を守り、その自然を回復させることが重要です。また、さらにそれらを川、谷地、傾斜林などを軸として互いに結び、市街地の自然とつなげていくことで、荒川流域全体の自然を豊かにしていくものです。現在、荒川での取組みは、荒川を自然の大きな柱と考え、荒川の河川敷にあるネットワークの「核」となる自然の拠点を保全・回復する整備を行うことにより、ビオトープのネットワーク化の実現を目指しています。下図に荒川における自然の拠点、代表的な現在までの取組みについて紹介します。
荒川に分布する自然の拠点
【熊谷 大麻生】
熊谷市広瀬の河川敷は、砂れき地を代表する貴重な植物が数多く見られます。
この地域の周辺は、埼玉県内で最大のカワラナデシコの群生地として有名です。
【熊谷 久下橋上流】
荒川中流部の砂れき地は、コアジサシが巣づくりするための貴重な場所です。
コアジサシは夏に日本にやってきて、本州やそれ以南にある砂浜や埋め立て地、砂や小石の多い中州などで卵を産み、子育てをします。
【糠田橋上流】
糠田橋上流付近の自然の回復は、サシバが子育てできる環境を守ることにつながります。
ミドリシジミの生活を支えるハンノキ林