国土交通省 関東地方整備局 品木ダム水質管理所
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中和事業とは

  • 石灰について

    石灰について

    石灰は、酸性のものを中和する目的をはじめ様々な用途に使用されています。
    また、石灰は日本で自給できる数少ない鉱物の一種であり、新潟県から佐賀県に至る「三群帯」と呼ばれる長い地質構造帯が最も純度の高い石灰石を産出する地域として有名です。

    「石灰について」では、石灰の成立ちやその用途などを紹介します。

    石灰ができるまで


     石灰石は石灰岩を鉱物として採掘したものの俗称で、天然に産出するCaCO3(炭酸カルシウム)のことをいいます。海中で二酸化炭素と結合した古代生物の遺骸(マグネシウムやカルシウム)の堆積物であり、長い年月を経てできあがったのです。また、サンゴ虫が海水中のカルシウムと二酸化炭素で体を作ったことも大きく寄与しています。サンゴ礁はこうして出来上がったものです。  また、鍾乳洞はこの石灰岩が地殻変動などのために地表に押し上げられ、亀裂ができたり、雨水の酸によって溶かされたものです。

    日本国内の産出地


     石灰石は日本国内で全国的に採掘ができる鉱物であり、自給できる数少ない鉱物です。山口県、栃木県、岐阜県はその産出量が大きな県ですが、新潟県から佐賀県に至る「三群帯」と呼ばれる長い地質構造帯は純度の高い石灰石を産出する地域として有名です。この構造体には鍾乳洞で有名な山口県秋吉台のカルスト台地なども含まれています。  日本では年間生石灰で約750万トン、消石灰で約250万トンが使用されています。

    3種類の石灰

     石灰とは、生石灰(きせっかい)や消石灰の総称です。これに石灰石も含めることもあります。また、その加工によって呼び名はもちろん、形状も性質も異なります。その性質を活かして、様々な分野で使用されています。
    品木ダム水質管理所が使用している石灰は加工していない石灰岩を粉にした石灰石粉です。

    ●石灰の種類とその特徴

    【石灰石】 CaCO3(炭酸カルシウム「タンカル」)を主成分とする鉱物で、石灰岩を採掘したものです。成分に炭酸マグネシウム(MgCO3)を含む物はドロマイトと呼ばれる鉱物です。
    【生石灰】 石灰石を粉砕したものです。CaO(酸化カルシウム)を主成分とし、白色の塊または粉状です。石灰石を900度~1,000度の高温で焼いて作ります。水と反応して高熱を発するという特性があります。
    【消石灰】 Ca(OH)2(水酸化カルシウム)が主成分で、白色の粉末状です。生石灰に水を反応させて作ります。
    消石灰を水に溶かしたものに息を吹き込むと、呼気に含まれる二酸化炭素に反応して白くなります。また、運動場でライン引きに使用されるもの消石灰です。また、消石灰を水に分散させた石灰乳に二酸化炭素を反応させたものは軽質炭酸カルシウムという微細な粉末で、歯磨き粉の基材などに使われています。

    いろんな場所で活躍中

     石灰はその特性を活かして、人々の生活や自然の中の様々な分野で活躍しています。

    【生石灰】
    ・鋼(鉄)から不純物を取り除く 鉄に含まれるシリコンや硫黄、リンなどの不純物と反応してとり除くのに用いられます。生石灰の約半分は鉄鋼用に使用されています。
    ・温める 水と反応して発熱する性質を利用して、酒・コーヒー、スープや弁当、おでんなどを温める容器に使用されています。


    【消石灰】
    ・水をきれいにする その1(上水処理) pHの調整をしたり、浄化を早めるのに使用したり、鉄管の錆による赤水の発生を防止します。また汚泥処理には脱水して運搬し易くするために用いられます。
    ・水をきれいにする その2 (下水処理) 汚泥の凝集、沈殿、脱水をし易くするために使用されます。また、脱臭作用、殺菌作用もあります。
    ・化学工業に利用する ガラスや薬品の原料となるソーダ灰(炭酸ソーダ)を作る工程で、アンモニアを回収するために使用します。
    ・酸性排水の中和 製鉄、化学工業、鉱山などで排出される酸性排水の中和に用いられます。
    ・食品への使用 砂糖の精製の際、不純物を取り除いたり、コンニャクの凝固材として、また、カリカリウメではクエン酸を中和して、柔らかくなるのを防いでいます。


    【その他】
    ・海の浄化
      富栄養化が進んだ海などに散布することで、赤潮や青潮の発生を防ぐ効果があります。
    ・大気汚染の防止
      火力発電などの排煙の脱硫装置に使用されており、日本の技術は世界一の水準と言われています。
    ・土壌改良
      日本に多い酸性土壌の農地の中和にも利用されます。肥料として、ドロマイトのほうが重宝されています。
    ・土質を安定させる
      道路や宅地造成、埋め立て地などで土壌を力の強い土に改良するために使用されます。

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