河川の環境
-
京浜河川事務所管内における水質調査データについて
水質評価の課題
水質ランキングについて
「平成16年(2004)全国一級河川の水質現況調査」による水質ランキングにおいて、鶴見川は水質ワースト4位となっていますが、この水質ランキングについては、以下の条件での比較となっていることに留意する必要があります。
(1) 全国の一級河川数は、13,987(H14年4月時点)あるが、直轄(国)管理区間の中で水質調査を2地点以上で実施している166の一級河川のみが水質ランキングの対象となっている。
(2) 特定の区間(直轄管理区間)についての比較である。 * 鶴見川については幹川流路延長が42.5kmであるのに対し、直轄管理区間は17.4kmと短く、比較的汚濁程度の高い下流域の4地点(亀の子橋、大綱橋、末吉橋、臨港鶴見川橋)の水質データを用いている。鶴見川におけるBODについて
亀の子橋地点の低水流量の約6割は下水処理水であり、BODの約7割がN-BODである(平成12年度[2000年度]平均BOD 11.0mg/Lのうち、約73%がN-BODである)ことから、鶴見川の水質評価をBODだけで行うのは難しいのです。
鶴見川にはアユ、マルタウグイなど、“一般的にきれいな河川に生息する生きもの”も多くみられることから、生態系からみる水質は、単にBODだけではなく、DO(溶存酸素)など、他の水質指標も含めて総合的に評価することが重要であると考えます。各測定地点におけるBOD(75%値)(平成19年度)
各測定地点におけるBOD(75%値)の推移
(単位:mg/l)水域 測定地点 5~14年度
平均15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 鶴見川 千代橋 8.2 7.4 6.6 8.4 5.7 5.5 亀の子橋 12 11 8.3 9.4 8.2 7.6 大綱橋 11 8.2 5.8 8.2 7.2 5.6 末吉橋 4.1 2.6 2.5 2.4 2.1 2.6 臨港鶴見川橋 2.2 1.9 2.2 2.5 1.5 1.6 ※ 75%水質値とは、公共用水域における、通常の状態(低水流量以上の状態)に相当する水質レベルとして、年間の日間平均値の全データをその値の小さいものから順に並べた時の0.75×n番目(nは日間平均値のデータ数)のデータ値をいう。
※ 75%水質値とは、公共用水域における、通常の状態(低水流量以上の状態)に相当する水質レベルとして、年間の日間平均値の全データをその値の小さいものから順に並べた時の0.75×n番目(nは日間平均値のデータ数)のデータ値をいう。
鶴見川流域における独自の河川水質の評価方針
これまでの河川水質の評価における問題点として以下のことが挙げられます。
(1) 水質データは、あくまで化学的手法で求められた値であり、川を利用する人の感覚と連動した評価がなされていない。
(2) 水質の評価は、個々の試験データについて行うのが一般的であり、複数の試験データを複合的に結びつけた評価を行うことが困難である。
(3) 水質を測定した地点における生物生息状況と水質データの関連についての評価が不足している。
京浜河川事務所では、これらの諸課題を踏まえ、平成11年度(1999年度)より市民団体・学識経験者・関係行政機関による「鶴見川の新しい水質環境保全のための技術検討会」を設置し、一般の方にもわかりやすく、人の感覚と連動した新しい水質指標を定めるとともに、効果的な水質改善のあり方について、提案を行っています。
本手法は、都市河川における初めての新しい水質指標として評価でき、全国的に適用可能な手法として今後の全国都市河川への展開が期待されます。