水防法の一部を改正する法律について
●水災による被害の軽減を図るため、国土交通大臣に加え、新たに都道府県知事が洪水予報を行うこと、国土交通大臣及び都道府県知事による浸水想定区域の公表、浸水想定区域における円滑かつ迅速な避難の確保等の措置を講ずる。

1. 国の機関が行う洪水予報 (第10条)

1. 気象庁長官は、気象等の状況により洪水又は高潮のおそれがあると認められるときは、その状況を国土交通大臣及び関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(以下「報道機関」という。)の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

2. 国土交通大臣は、二以上の都府県の区域にわたる河川その他の流域面積が大きい河川で洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、気象庁長官と共同して、洪水のおそれがあると認められるときは水位又は流量を、はん濫した後においては水位若しくは流量又ははん濫により浸水する区域及びその水深を示して当該河川の状況を関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

3. 都道府県知事は、前二項の規定による通知を受けた場合においては、直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者(量水標等の管理者をいう。以下同じ。)に、その受けた通知に係る事項を通知しなければならない。


2. 国土交通大臣又は都道府県知事が行う水位情報の通知及び周知 (第13条)

1. 国土交通大臣は、第十条第二項の規定により指定した河川以外の河川のうち、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第九条第二項に規定する指定区間外の一級河川(同法第四条第一項に規定する一級河川をいう。次項において同じ。)で洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、特別警戒水位(警戒水位を越える水位であつて洪水による災害の発生を特に警戒すべき水位をいう。次項において同じ。)を定め、当該河川の水位がこれに達したときは、その旨を当該河川の水位又は流量を示して関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

2. 都道府県知事は、第十条第二項又は第十一条第一項の規定により国土交通大臣又は自らが指定した河川以外の河川のうち、河川法第九条第二項に規定する指定区間内の一級河川又は同法第五条第一項に規定する二級河川で洪水により相当な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、特別警戒水位を定め、当該河川の水位がこれに達したときは、その旨を当該河川の水位又は流量を示して直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

3. 都道府県知事は、第一項の規定による通知を受けた場合においては、直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者に、その受けた通知に係る事項を通知しなければならない。


3. 浸水想定区域 (第14条)

1. 国土交通大臣は、第十条第二項又は前条第一項の規定により指定した河川について、都道府県知事は、第十一条第一項又は前条第二項の規定により指定した河川について、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、水災による被害の軽減を図るため、国土交通省令で定めるところにより、当該河川の洪水防御に関する計画の基本となる降雨により当該河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域を浸水想定区域として指定するものとする。

2. 前項の規定による指定は、指定の区域及び浸水した場合に想定される水深を明らかにしてするものとする。

3.国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定による指定をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、指定の区域及び浸水した場合に想定される水深を公表するとともに、関係市町村の長に通知しなければならない。

4.前二項の規定は、第一項の規定による指定の変更について準用する。