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利根運河
(社)土木学会認定「選奨土木遺産」 認定 平成18年度 授賞理由 オランダ人技師ムルデルの計画に基づき、民間会社によって建設された。地形に沿って建設された当初の形態や線形が残る歴史的に貴重な運河。 所在地 千葉県流山市・柏市・野田市 竣工年 明治23年 経済産業省認定「近代化産業遺産」 認定 平成19年11月30日公表 ストーリー (16)激しい産地間競争等を通じ近代産業へと発展した利根川流域等の醸造業の歩みを物語る近代化産業遺産群 利根運河
利根運河は、千葉県の流山市・柏市・野田市の3市に接し、利根川と江戸川を結ぶ全長8.5kmの運河です。
江戸末期、北海道や東北の生産物を大量に早く江戸へと届けるため、利根川と江戸川を使った舟運航路が利用されました。しかし利根川と江戸川が分かれる部分である江戸川流頭部(現・野田市関宿地区)には、利根川の洪水時に江戸川への流入量を制限する棒出しが設置されており、水面幅が狭く航行最大の難所でした。
利根運河は、その難所を避けるため、江戸川~利根川間を結ぶバイパスの水運ルートとして、明治23年(1890)に完成しました。運河の完成により、流頭部を通る航路よりも、距離にして約40キロ、時間にして3日から1日に短縮できるようになり、時間・費用が大きく軽減したことで、多くの船が運河を往来しました。鉄道の進出により舟運が衰退し、航路としての役目を終える昭和16年(1941)までの約50年間で、利根運河には約100万隻、年平均2万隻もの船が利用し栄えました。
本来の地形を最大限に活用して開削され、今もなお、建設当初の運河の形態や自然があります。現在は、利根運河水辺公園をはじめとし、人々の憩いの場として親しまれています。