利根川の紹介
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暮らしを支える川です(利水)
不安定な首都圏の水事情
首都圏の水道水は約29%が不安定取水
ダム等の水源手当がなく、河川の水量の多いときしか取水できない不安定取水は、利根川・江戸川における水道用水の合計取水量・毎秒約88立方メートルのうち約29パーセントにあたる毎秒約26立方メートルを占めています。
生活に支障をきたす度々の渇水
利根川における主要渇水は下表のとおりですが、昭和30年以降の水需要急増に伴って、昭和33年から現在まで、2年~3年に一度の割合で深刻な渇水に見舞われています。
特に、昭和33年は暖冬で春型渇水に見舞われ、5~7月にかけての異常渇水時には利根川下流部において干塩害が発生し、水稲に多大な被害を与えました。また、オリンピックが開催された昭和39年にも大渇水に見舞われ、関東地方では給水制限が1年にもおよび、住民の生活や社会活動に大きな支障をきたしました。昭和62年には降雪量、降雨量とも極端に少なく、ダムの貯水量が底をつくことが危惧されたため、7月に利根川では初めての30%取水制限が実施されました。
近年では、平成6年、夏期に猛暑と少雨の影響により、利根川では30%の取水制限となり、水道用水では高台で水の出が悪くなったり、赤水が出るなどの被害が起き、給水活動が行われました。
平成8年は、冬期・夏期の2度の渇水にみまわれ、利根川では初となった冬季渇水では、取水制限が76日にも及び、社会的に大きな影響を与えました。また、夏期の渇水では30%取水制限を実施しました。利根川における主要渇水一覧 渇水年 渇水期間 尾瀬沼累加降雪量(cm) 降水量 摘要 S33 5月~7月 1,170cm 4月~6月
239mm干塩害、取水不能 S36 5月~6月 1,165cm 4月~5月
154mm
S39 5月~7月 996cm 5月~6月
211mmオリンピック渇水 S42 5月~6月 939cm 5月~6月
271mm
S47 6月~7月 1,086cm 5月~6月
163mmmax 15%取水制限 S48 8月~9月 1,664cm 7月~8月
179mmmax 20%取水制限 S53 8月~10月 1,843cm 5月 66mm
8月 60mmmax 20%取水制限 S54 6月~7月 1,065cm 6月 99mm
max 10%取水制限 S55 6月~7月 1,324cm 6月 77mm
max 10%取水制限 S57 6月~7月 1,219cm 5月 95mm
8月 125mmmax 10%取水制限 S59 8月~9月 1,964cm 8月 77mm
9月 70mm
S60 8月~9月 1,083cm 8月 93mm
S62 6月~8月 1,338cm 4月 14mm
5月 89mmmax 30%取水制限 H5 5月~8月 1,540cm 5月 58mm
6月 74mm
7月 118mmmax 20%取水制限 H6 7月~9月 1,418cm 6月 157mm
7月 104mm
8月 158mmmax 30%取水制限 H8 1月~3月
(冬渇水)
8月 126mm
9月 144mm
10月 64mm
11月 29mm
12月 32mm
1月 26mm
2月 35mm
3月 68mmmax 10%取水制限 8月~9月 2,256cm 4月 47mm
5月 144mm
6月 117mm
7月 135mm
8月 78mm
9月 217mmmax 30%取水制限
(渡良瀬川では
max農業用水60%、
水道用水40%取水制限)H9 2月~3月
(冬渇水)
10月 80mm
11月 55mm
12月 53mm
1月 33mm
2月 33mm
3月 58mmmax 10%取水制限 H13 8月 1,448cm 4月 23mm
5月 136mm
6月 176mm
7月 116mm
8月 366mmmax 10%取水制限 H24 9月~10月 1,693cm 4月 98mm
5月 206mm
6月 192mm
7月 190mm
8月 87mm
9月 221mmmax 10%取水制限 H25 8月~9月 1,833cm 4月 134mm
5月 46mm
6月 168mm
7月 152mm
8月 153mm
9月 244mmmax 10%取水制限 平年値 (S38~H24速報値)
1,398cm(S23~H24)
4月 90mm
5月 121mm
6月 175mm
7月 200mm
8月 206mm
9月 212mm早期完成が望まれる水資源開発施設
このように、首都圏の水道用水の約29パーセントが不安定取水となっている中、利根川流域でも、近年渇水が発生しており、生活用水や農業用水に影響を与えています。首都圏の水利用に対処するため、現在建設中の水資源開発施設(ダム等)の完成を見込んだ不安定な水利権量に依存している状況にあります。これら水資源開発施設が完成することによって、河川における必要流量を確保するなど流水機能を安定させ、私たちの水利用の安定に大きく貢献するものと期待されています。