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利根川を楽しむ

  • 飯沼水準原標石

    利根川や江戸川の河川整備に必要となる水位表記の基となった水準原標です。

    飯沼観音境内の柵に囲まれた水準原標石 飯沼観音境内の柵に囲まれた水準原標石保護コンクリート中央の13cm角が水準原標石 保護コンクリート中央の13cm角が水準原標石

    飯沼水準原標石は、明治5年(1872)に明治政府の招聘(しょうへい)により来日したドールン(C.J.Van Doorn)を代表とするオランダ人技師団の一人、リンド(Isaac Anne Lindo)により設置されました。

    (水準原標とは、水準測量(高さを測る測量)行う時の原点となる点のことです。利根川、江戸川の水準測量を開始するときにリンドは、千葉県銚子市にある飯沼観音内に設置し、これを基準に飯沼水位尺(量水標)の基本水平面を(J.P.)日本水位尺と名付けました。、ここから、利根川、江戸川の基本水平面(Y.P. 0.0m)の高さや荒川の基本水平面(A.P. 0.0m)の高さが決まり、現在のそれらの河川における河川計画の基準高となっています。)

    この当時、明治政府は、利根川、江戸川、荒川や信濃川や淀川等の河川を治水(河川の氾濫から町を守ること)や利水(舟運のための運河の建設や農業・工業用水や上水の確保)等の河川改修のためにデレーケやムルデルに代表されるたくさんのオランダ人技師を招きました。

    場所:千葉県銚子市馬場町1-1  飯沼観音 場所:千葉県銚子市馬場町1-1  飯沼観音

    I.A.LINDO (イ・ア・リンド)

    リンド経歴 リンド経歴

    水準原標石設置の経緯と意義

    来日したリンドは、明治5年5月4日(1872.6.9)、利根川の境町を皮切りに飯沼・中田・布川・石納・賀村、江戸川の堀江・今上・湊新田・中島、新利根川の上須田等11箇所に水位尺(量水標)を設置し、水位観測を行いました。1872年末、リンドは、銚子の飯沼(銚子市馬場町1-1)に水準原標石を設置し、水準測量の原点と定め、これを基準に飯沼水位尺(量水標)の零位を「日本水位尺 Japan Paile」略してJ.P.と名付けました。

    次に、銚子から堀江への測量を行い、堀江水準原標石(浦安市堀江4-1 清滝神社)を設置し、堀江水位尺(量水標)の零位を「Yedokawa Peil」略して、Y.P.と名付けました。

    さらに、明治6年(1873)6月10日隅田川河口の霊岸島に水位尺(量水標)を設置し、水位観測を行い、その零位を「Arakawa Peil」略してA.P.と名付けました。

    その後、明治9年9月には、内務省がリンドの設置した霊岸島の量水標を用い水位観測を行い東京湾中汐を決定し、その7年後、陸軍参謀本部測量課により、霊岸島量水標の水位観測結果から東京湾中等潮位(T.P.)を決定しました。これが、標高の零点で、現在も使われおり、T.P.から「日本水準原点」(東京都千代田区永田町1-1-1)が定められました。

    また、利根川、江戸川の水位を示すY.P.や荒川の水位示すA.P.は、現在でも河川の水位を表記するときに使われており、河川計画(河に流れる水の量や堤防の高さや大きさを計画する)を定める上で非常に重要な役割を果たしています。

    リンドの残した、飯沼水準原標石は「日本における「河川測量の原点」や「日本水準原点設置の原点」であり、その功績は、デレーケやムルデルの功績に勝るとも劣らないものと言えます。

    リンドの水位と標高

    リンドの水位 リンドの水位標高 標高
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