(1)省令・告示で、5年に1回、近接目線を基本とする点検を規定、健全性の診断結果を4つに区分。(トンネル、橋などの構造物に共通)
(2)点検方法を具体的に示す定期点検基準を策定。(トンネル、橋などの構造物毎)
(3)市町村における円滑な点検の実施のため、主な変状の着目箇所、判定事例写真等を加えたものを定期点検要領としてとりまとめ。(トンネル、橋などの構造物毎)
(1)道路法(平成25年9月2日施行)
(2)政令(平成25年9月2日施行)
・維持、点検、措置を講ずることを規定
(3)省令・告示(トンネル、橋などの構造物に共通の規定)
・トンネル、橋及び、損傷、腐食、その他の劣化その他の異常が生じた場合に道路の構造又は交通に大きな支障を及ぼすおそれのあるものについて定期点検を規定
・5年に1回、近接目視を基本として実施
・健全性の診断結果を、4段階に区分
(4)定期点検基準・定期点検要領(トンネル、橋などの各構造物毎に策定)
・構造物の特性に応じ省令・告示に沿った具体的な点検方法
・主な変状の着目箇所、判定事例写真等
平成26年4月14日、社会資本整備審議会道路分科会第46回基本政策部会において、「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」がとりまとめられ、家田道路分科会長(道路分科会道路メンテナンス技術小委員会 三木委員長が同席)より、太田大臣に対して提言が手交されました。
(1)道路インフラの現状
・全橋梁約70万橋のうち約50万橋が市町村道
・一部の構造物で老朽化による変状が顕在化
・地方公共団体管理橋梁では、最近5年間で通行規制等が2倍以上に増加
(2)老朽化対策の課題
・直轄維持修繕予算は最近10年間で2割減少
・町の約5割、村の約7割で橋梁保全業務に携わっている土木技術者が存在しない
・地方公共団体では、遠望目視による点検も多く点検の質に課題
(3)現状の総括(2つの根本的課題)
1. 最低限のルール・基準が確立していない
2. メンテナンスサイクルを回す仕組みがない
(1)メンテナンス元年の取組み
本格的にメンテナンスサイクルを回すための取組みに着手
1. 道路法改正(H25.6)
・点検基準の法定化
・国による修繕等代行制度創設
2. インフラ長寿化基本計画の策定(H25.11)
「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」
→インフラ長寿化計画(行動計画)の策定へ
(2)目指すべき方向性
1. メンテナンスサイクルを確定
2. メンテナンスサイクルを回す仕組みを構築
(1)点検
各道路管理者の責任で以下のメンテナンスサイクルを実施
・橋梁(約72万橋)・トンネル(約1万本)等は、国が定める統一的な基準により、5年に1度、近接目視による全数監視を実施
・舗装、照明柱等は適切な更新年数を設定し点検・更新を実施
(2)診断
統一的な尺度で健全度の判定区分を設定し、診断を実施
区分 | 状態 | |
---|---|---|
1 | 健全 | 構造物の機能に支障が生じていない状態 |
2 | 予防保全段階 | 構造物の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態 |
3 | 早期措置段階 | 構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態 |
4 | 緊急措置段階 | 構造物の機能に支障が生じている、又は生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態 |
(3)措置
・点検・診断の結果に基づき計画的に修繕を実施し、必要な修繕ができない場合は、通行規制・通行止め
・利用状況を踏まえ橋梁等を集約化・撤去
・適切な措置を講じない地方公共団体には国が勧告・指示
・重大事故等の原因究明、再発防止策を検討する「道路インフラ安全委員会」を設置
(4)記録
・点検・診断・措置の結果をとりまとめ、評価・公表(見える化)
(1)予算
・(高速)高速道路更新事業の財源確保(通常国会に法改正案提出)
・(直轄)点検、修繕予算は最優先で確保
・(地方)複数年にわたり集中的に実施する大規模修繕・更新に対して支援する補助制度
(2)体制
・都道府県ごと「道路メンテナンス会議」を設置
・メンテナンス業務の地域一括発注や複数年契約を実施
・社会的に影響の大きな路線の施設等について、国の職員等から構成される「道路メンテナンス技術集団」による「直轄診断」を実施
・重要性、緊急性の高い橋梁等は、必要に応じて、国や高速会社等が点検や修繕等を代行(跨道橋等)
・地方公共団体の職員・民間企業の社員も対象とした研修の充実
(3)技術
・点検業務・修繕工事の適正な積算基準を設定
・点検・診断の知識・技能・実務経験を有する技術者確保のための資格制度
・産学官によるメンテナンス技術の戦略的な技術開発を推進
(4)国民の理解・協働
・老朽化の現状や対策について、国民の理解と協働の取組みを推進