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    「利根川・荒川流域宣言2017」、「利根川・荒川流域宣言2017に基づく行動計画」

    利根川・荒川流域宣言2017

     茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都の一都五県、水資源機構、関東地方整備局は、「カスリーン台風70年実行委員会」を設置しました。シンポジウムでは、カスリーン台風の教訓を継承し、防災・減災の重要性を再認識すると共に、今後の治水対策などの方向性を示す『利根川・荒川流域宣言2017』を発表しました。

    利根川・荒川流域宣言2017
    ~安全で豊かな未来の川へ~

     今年で、カスリーン台風による大災害から70年が経過します。埼玉県内の利根川及び荒川の堤防を破り、流れ出た濁流は東京都内まで達し広範囲が浸水しました。
     茨城県や千葉県でも氾濫被害が発生しました。群馬県や栃木県では土砂災害により多数の方々が犠牲になりました。カスリーン台風は、戦後の荒廃した国土に追い打ちをかけるように、関東一円に甚大な被害をもたらしました。

     その後、度重なる治水計画の変遷を経ながら、継続的に河川改修やダム建設、砂防事業等が行われてきましたが、目標とする規模の洪水に対しては、未だ十分な施設が整備されたとは言えません。

     また、かつては、水害を「我がこと」として捉え、自ら対処しようとする意識が社会全体に根付いていましたが、最近は、自ら水害を経験したり、過去に災害を経験した世代との交流も少なくなってきたことから、洪水等から身を守る心構えが希薄になりつつあります。

     こうした中で、平成27年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊し甚大な被害が発生しました。近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しており、昨年は北海道や東北、今年は九州北部などと、各地で豪雨災害が頻発しています。また、地球温暖化に伴う気候変動の影響が顕在化しており、今後さらに水害の頻発化・激甚化が懸念されています。

     今後、河川の施設の能力を上回る洪水による被害は全国どこでも発生する可能性があります。私たちは、流域一体となって、より一層、水害に強い地域づくりについて考えていかなければなりません。更に、私たちの日々の暮らしは、利根川や荒川の流域がもたらす豊かで清らかな水や広大な河川空間が生み出す豊かな自然環境など、様々な恵みに支えられています。

     一方で、気候変動の影響による異常少雨の発生に伴う渇水の深刻化の懸念、都市化の進展に伴い重要性を増している貴重な水辺環境の保全・再生や魅力ある水辺空間の創出が課題となっています。

     利根川・荒川流域における治水、利水、環境の整備は極めて重要です。
     カスリーン台風から70年の節目に、利根川・荒川流域によって結ばれた運命共同体である私たちは、川の恵みを享受しながら、これからも安心して暮らしていける社会を築くため、「利根川・荒川流域宣言2017」を、次のとおり、宣言します。

    1.カスリーン台風の教訓を次世代に継承するとともに、洪水氾濫が発生し得ることも前提として、減災のために社会全体で洪水氾濫に備える「水防災意識社会」を再構築する取り組みを進めていきます。
    2.洪水等による被害を可能な限り防止するため、計画的・着実に治水施設の整備を行うとともに、計画を超える規模の洪水も視野に入れ、流域全体の水害リスクを軽減する施設の整備を進めていきます。
    3.利根川・荒川流域の水の恵みに感謝し、流域一体となってその有効活用に努め、気候変動にも対応する水資源の管理を行っていきます。
    4.地域を活かした魅力ある水辺空間や良好な自然環境の創出を進め、利根川・荒川流域の豊かな水と緑の空間を次世代に残していきます。

    2017年(平成29年)11月25日 

    茨城県知事 大井川 和彦
    栃木県知事 福田 富一
    群馬県知事 大澤 正明
    埼玉県知事 上田 清司
    千葉県知事 森田 健作
    東京都知事 小池 百合子
    独立行政法人水資源機構理事長 甲村 謙友
    国土交通省関東地方整備局長 泊 宏

    利根川・荒川流域宣言2017に基づく行動計画

    利根川・荒川流域宣言2017に基づく行動計画

    1.「水防災意識社会」再構築に向けた取組
    ○水防災意識の啓発のため、平常時から、水害リスクや防災等に関する広報を充実します。
    ○出水時には、的確な情報提供等により、市町村を支援するとともに、住民の的確な避難行動を促していきます。

    2.流域全体の水害リスク軽減のための治水施設整備に向けた取組
    ○計画的・着実に、堤防や洪水調節施設等の治水施設の整備を行っていきます。
    ○洪水調節施設の整備に当たっては、既存の施設や広い川幅等のストックを最大限に活用しながら進めていきます。
    ○計画を超える規模の洪水も視野に入れ、治水施設の整備のあり方を検討していきます。

    3.流域一体となった水資源の管理に向けた取組
    ○既存の水資源施設を有効に活用し、効果的・効率的な運用等による低水管理を行っていきます。
    ○渇水時には、水利使用者間の円滑な調整を行います。

    4.河川を活かした地域づくりに向けた取組
    ○地域活性化に資するまちと水辺が融合した水辺空間の創出を進めていきます。
    ○ダムを活かした水源地域の自立的、持続的な活性化に資する取り組みを進めていきます。
    ○河川が本来有している自然環境の保全・創出を図る「多自然川づくり」の取組に加え、多様な主体が連携し流域内の水辺環境の連続性を確保する等、河川を基軸とする生態系ネットワークの形成に取り組んでいきます。

国土交通省 関東地方整備局 所在地 〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 さいたま新都心合同庁舎2号館電話:048(601)3151〔受付時間:8時30分から12時00分、13時00分から18時00分〕 FAX:048(600)1369