1-1 首都圏を支える利根川・荒川
利根川、荒川は、首都圏の1都5県の水源として水道用水を始めとして多くの
水利用がなされています。半世紀にわたる利根川・荒川の水資源開発の取り組みは、
日本の経済発展を根底から支えてきました。
1.関東の1都5県に潤いを与える利根川・荒川[PDF:409KB]
2.日本の社会・経済活動の中枢にある利根川、荒川流域(1都5県)[PDF:39KB]
2-1 上水、工水は戦前まで地下水に依存
利根川流域の水利用は、明治半ばまでは農業用水、舟運等が中心で、その後、発電等の利用が始まりました。第二次世界大戦以前、水道用水、工業用水の多くは地下水に依存していました。
2-2 戦後復興の柱としての水資源開発
利根川の水資源開発は、治水、農水の安定、発電といった戦後復興の柱の1つとして整備され、社会・経済の発展に大きく貢献しました。
1.戦争と相次ぐ台風被害により、国土は荒廃[PDF:52KB]
2.水不足、電力不足が経済復興の大きな足かせに[PDF:22KB]
3.復興期のダム建設[PDF:21KB]
2-3 地下水の過剰揚水と地盤沈下
高度経済成長は都市への過密な人口集中をもたらせ、都市用水の需要を著しく増大させるとともに、地下水のくみ上げによる地盤沈下が社会問題となり、河川水への転換が迫られたため、河川水の取水に対する多量の需要が発生し、安定的な供給が緊急的な課題となりました。
2-4 計画的な水資源開発
逼迫する水需要に対し、水資源開発基本計画 ( フルプラン ) を策定し、計画的に施設を整備しています。しかし、多量の水需要とその緊急性から、利根川はやむなく5年に1回程度の渇水に耐えうるのみの施設で計画されています。
これは国内の他の河川や諸外国と比較しても極端に低い水準となっています。
1.計画的な水資源開発[PDF:13KB]
2.東京の水源、多摩川から利根川へ[PDF:30KB]
3.利根川に新たな水源を求めた東京都[PDF:81KB]
4.水資源開発基本計画~度重なる水需要の見直し[PDF:130KB]
5.計画の利水安全度が極端に低い利根川[PDF:14KB]
3-1 低い利水安全度と渇水の多発
利根川は1/5と極端に低い利水安全度で計画されていることに加え、急増する水需要に対して供給する施設の建設が遅れているためやむなく多量の暫定水利を許可しています。このため、2~3年に1回程度渇水が発生し、社会、経済活動に影響を与えています。また、近年は降水量の変化が激化する傾向にあり、雨の多い年の降水量はより多く、少ない年はより少なくなる傾向がみられ、今後の水資源の不安定化が懸念されます。
1.頻発する渇水[PDF:19KB]
2.水道用水の約1/4が不安定取水[PDF:29KB]
3.渇水による被害[PDF:34KB]
4.渇水時に地下水の汲み上げが多くなり、地盤沈下が進行[PDF:95KB]
5.降水量は変化が激化する傾向[PDF:16KB]
3-2 利根川の広域低水管理
利根川における水の管理は、上流ダムによる貯留、中流調節池による流量調整及び江戸川流域と利根川下流域の流量を広域的な流量調節を行なう導水路並びに河口堰の大きく4つの機能から成り立っています。
3-3 日々の水の管理
河川の流量が少なくなってきた時は、これらの施設を効率的、効果的に使用し、関係した取水が行なえるよう流量の調整を行ないます。特に利根川上流ダムでは、常時下流の河川流量と取水量を監視しながら、貯留・補給の操作を1年をとおして、日々きめ細かく実施しています。
3-4 渇水対策
河川の流量が少なくなり、通常の水利用を継続すると、ダムの貯水量だけでは不足してしまうことが予測される場合は、事前に渇水対策連絡協議会を開催し利水者等と協調して渇水調整を行い、被害の軽減を図っています。
4-1 平成16年の記録的な酷暑・少雨
平成16年の夏の関東平野は、記録的な酷暑・少雨に見舞われました。7月の東京、千葉、熊谷は平年の10~20%程度の降雨でしたが、水源地域の藤原、日光では平年以上の降雨がありました。
1.平成16年の夏は記録的な酷暑[PDF:33KB]
2.東京では連続真夏日の記録更新[PDF:17KB]
3.利根川流域の各地でも過去10年で一番暑い夏[PDF:49KB]
4.H16年夏の降雨特性[PDF:36KB]
4-2 平成16年夏渇水の回避 ~大いに役立った水資源開発施設~
平野部の記録的な酷暑・少雨の影響を受け、利根川の水運用も厳しい状態でしたが、ダム流域の降雨をダムに有効に貯蓄するとともに、中・下流の施設を効率的・効果的に運用したため、取水制限を行う事態には至らずに済みました。
5-1 常に渇水の危険と隣り合わせ
利根川の水利用はもとより1/5と極端に低い安全度で計画されていることに加え、ダムが未完成のまま取水している暫定水利が現在も多量にあります。
さらに、近年の降雨変動の影響も受けて、近年は2年から3年に1回程度渇水が発生し、首都圏の社会経済活動に影響を与えています。
今、利根川の水利用は常に渇水の危険と隣り合わせの状態にあります。現在整備中の水資源開発施設の1日でも早い完成を目指し、今後も積極的に取り組んでいく方針です。
詳細については、関係事務所のホームページをご覧下さい。
1.八ッ場ダムについて(LINK)
2.霞ヶ浦導水について(LINK)
3.水機構 思川開発について(LINK)[外部サイト]