三次元河川管内図を活用した堤防除草のDX化に向けた取り組み

実施概要

災害等で発生する堤防の変状は、河川の治水機能に対して大きな影響を及ぼす可能性があります。
堤防の変状を適時的確に把握するための堤防除草は年に2回~3回程度実施されており、今後も永久に必要とされる維持管理作業ですが、堤防除草は出来形の把握に対して多くの現地計測と内業のまとめ作業が多いことが課題です。
そこで、三次元河川管内図を活用し、自律走行型草刈機に盛土工事の締固管理システムを搭載し堤防除草を行うことで、出来形管理の省力化と維持管理作業の生産性向上を図ります。

担当
江戸川河川事務所、金杉建設株式会社
実施期間
2023年4月1日~2024年3月31日
  • 課題

    • 測量作業
      江戸川河川事務所の1つの維持工事の除草区間は20km程度となっており、除草面積の算出における現地での巻尺計測は多くの人員と時間を要する。
    • 施工計画
      除草作業前に現地で除草範囲の確認作業や、既設構造物位置の確認作業が発生し、全て徒歩での確認作業となる。
    • 除草作業
      除草作業は夏場の炎天下に実施される事が多く、作業従事者の体調に留意しながら、除草範囲と既設構造物位置を把握する管理業務が発生する。
    • 立会確認
      除草完了後の現地立会確認は除草した草が伸びる前に実施しなくてはならず、多くの人数で巻尺を用いて除草範囲を計測、写真の撮影となる。
  • DX活用後

    • 測量作業
      現地計測は無くなり、三次元河川管内図を用いてパソコン上での数量算出が実施可能。
    • 施工計画
      三次元河川管内図上に除草範囲や既設構造物を明示、現地での確認作業は最小化される。
    • 除草作業
      除草機のDX化により、作業従事者は炎天下ではない場所で現場の確認が可能。除草範囲や既設構造物の位置データが入力されているので除草作業中は気にせず作業が可能。
    • 立会確認
      除草機械の走行履歴データによる除草確認、ドローンによる全景撮影で現地立会確認は計測をせずに外観確認のみとなる。

活用内容

三次元河川管内図、自律走行型草刈機、盛土の締固管理システムを搭載した除草機械を活用して、以下の様に施工管理を行いました。

①測量作業

  • 測量作業
  • <実施内容>
    • 三次元河川管内図を用いてパソコン上での数量算出が実施可能。
    • GNSSを用いて三次元河川管内図と現地での座標の相違確認。
    (実施効果)
    • 現地の計測および展開図作成が不要。事前に除草箇所の把握が可能。

②施工計画

  • 施工計画
  • <実施内容>
    • 三次元河川管内図から設計データの作成。
    • 除草範囲や既設構造物を明示。
    (実施効果)
    • 事前に除草範囲や既設構造物の明示がデータ上で行える。
    • 現地での確認作業は最小化。

③除草作業

  • 除草作業
  • <実施内容>
    • 盛土の締固管理システムを搭載した除草機械と自律走行型草刈機による除草。
    • 三次元設計データによる施工と走行履歴の保存。
    (実施効果)
    • 除草範囲・既設構造物を作業従事者がモニターを確認しながら施工 可能。
    • 施工中の除草範囲、既設構造物確認の管理業務が削減。

④立会確認

  • <実施内容>
    • 航空写真での出来形「草の刈残し等」の外観確認
    • 走行履歴による施工の出来形確認。
    (実施効果)
    • 現地での立ち合い頻度の減少。
    • 立合い時の人員削減。
    • 走行履歴による確実な除草管理。