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かわづくり

  • 伝統的治水施設の保全と整備

    甲州舟運

    難所と水難事故

    山峡の急流を下る

    山梨県の西郡(*1)から河内(*2)にかけての悲しい童歌(わらべうた)に、

    わらべうた

    ところ甲州荊沢宿よ 音に聞こえし湊屋さんの 二人娘のあるその中で
    酉の鳴く頃 家ぶんだして(*3) お目のさす頃鰍沢宿よ

    〜中略〜

    一里半ばをそろそろ(*4)行って ここはどこよと船頭さんに聞けば
    ここは危ない天神が滝よ いうと間もなくお舟は割れて
    姉は流れる妹は沈む

    天神の滝工事絵馬(富士川町明神町七面堂) 天神の滝工事絵馬(富士川町明神町七面堂)天神の滝の現状(富士川町羽鹿島) 天神の滝の現状(富士川町羽鹿島)銚子の口の現状(富士宮市瀬戸島) 銚子の口の現状(富士宮市瀬戸島)

    という語りがある。
     この歌は鰍沢河岸を出ると、間もなく難所の一つ「天神の滝」にさしかかる。ここで、西郡でも名の通 った資産家の姉妹が舟と共に沈んでしまった悲しい出来事を伝えている。流れが速く、川底には大きな岩石や転石が散在する富士川は、航路として恵まれた川ではなかった。舟が航行するうえで危険な個所を「難所」と言うが、富士川の場合、岩渕河岸から甲州三河岸にかけて全区間が難所と言えるぐらい危険な川である。その中にあって、「天神の滝」・「屏風岩」・「銚子の口」と呼ばれる三箇所では事故が頻発し、船頭達の間では「三大難所」と言われ恐れられていた。天神の滝は鰍沢河岸のすぐ下流にあり、巨岩が川底から水面 に突き出て、その下流は滝のようになっていた。屏風岩は中流域の支川早川が合流する地点にそびえる懸崖で、流れはここに激突していた。銚子の口は静岡県の芝川町にあり、川の中に流れ込んだ富士山の溶岩流を浸食し、流れが二分されて中之島を形成している所で、銚子(とっくり)の口のごとく川幅が狭く、また、大変流れの速い箇所である。舟運が開始された後も、難所の改善努力は継続的に行われたものの、事故は絶えることがなかった。今日においても、遭難した人のために建てられた慰霊碑には花が添えられ、お盆には各所で亡くなった人々の霊を慰める行事が行われている。

    *1西郡:山梨県中巨摩郡の富士川右岸
    *2河内:山梨県南巨摩郡と西八代郡の山間
    *3ぷんだして:出発して *4そろそろ:ゆっくり

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