自然の石や竹を使ったものが多い。
近年では、こうした伝統的な河川工法が見直されておるのじゃ。
弁慶枠(べんけいわく)
江戸中期、羽村堰に使われた工法のひとつ。木の枠内に石を詰めて沈めておく不透過水制となっており、激流にも動じない構造が特徴。ワシが独自に考案したものじゃ。エヘン。
菱 牛(ひしうし)
江戸中期、拝島の堤防改修や府中是政の堤防改修に使われた工法。堤防の前面に設置する透過水制の工法で、武田信玄の考案と言われておる。聖牛より傾倒が少なく、河川変動の大きい河川に適し、長野県から静岡県を流れる天竜川などでも多用された。
三 角 枠(さんかくわく)
ワシの弟子がその著書に書いているから、これもワシが考案したと言われておる。武田信玄考案の「胴木牛」を改良した不透過水制で、享保年間(1716〜1735)、宝暦年間(1751〜1763)に多摩川、酒匂川で施工したものとされておる。
大籠出(おおかごだ)し
羽村堰に設けられた工法。「土出し」や「蛇籠出し」などを組み合わせた、強固な不透過水制工法じゃ。多摩川中流部の起点である羽村取水堰は河床勾配が急で、堰がななめになっているため、玉川上水への水をスムーズに流し、堰を守るためにこの工法で施工されたのじゃ。
久地(くじ)の横堤(よこてい)
横堤とは、川幅が広い川で、本堤から川に向かって直角に設けられた堤防のこと。洪水流を減速させ、河川敷の水田などを守る。多摩川下流の久地に設けられている2本の横堤の場合は、多摩川最大の水田地帯を守る要として機能しておった。
かつてはコンクリートで固める工事が多かったが、今はほとんどが「多自然型川づくり」。
むかしの工法を参考にしたものもあるし、むしろ元に戻っているようじゃな。
かごマット工法
多摩川の伝統工法である玉石をかごに詰めた「蛇かご工法」の特微を継承したもので、メッキ技術でかごの耐久性を向上させ、機械施工を容易にしたもの。地下水を遮断せず、すきまや植生の基盤も確保されるので、河岸の緑を回復させる工法として採用が増えておる。
田園調布護岸(大田区)
府中護岸(府中市)
巨石空積み護岸(きょせきからづごがん)
コンクリートにより河岸を直線、単調化することなく、石の重量とかみ合わせて河岸を守る、巨石を使った護岸じゃ。水際部をできるだけ複雑化し、護岸そのものにすきまを持たせることで、植生の回復を図り、水生生物の生息環境を守ることが期待されておる。
法枠緑化護岸(ほうわくりょくかごがん)
堤防(土手)の洗掘を防止するために、コンクリートの上を表土でおおい、緑化を図るとともに、水際部は松丸太を組み合わせてすきまを確保した高水護岸。緑のある景観を守るとともに、治水上の強度も兼ね備えた護岸として整備されておる。
南平堤防護岸(日野市)
和泉水制(狛江市)
水制工法(すいせいこうほう)
洪水時に流水が河岸や護岸への激突したり、決壊するのを防止するための構造物。コンクリート柱を組み合わせ、表面は空石ですきまを確保、水中もすきまの多い沈床工を採用。複雑な水際を形成し、自然環境の保全にも好ましいことから、見直されておるのじゃ。
覆土式高水護岸
(ふくどしきこうすいごがん)
一見自然な土手に見えるが、実はコンクリートを張った上に土をかぶせ、芝を植えておる。少し前まではコンクリートむき出しの護岸が主流じゃったが、今では、このように護岸としても強度があり、かつ環境に配慮した工法が主流となっておる。
青々として、自然な土手と変わりない
かつてはこのようなコンクリートむき出しが多く見られた
兵庫島(世田谷区)
親水護岸(しんすいごがん)
昭和50年代末より施工されるようになった。ブロック一辺倒ではなく、親水利用や自然の景観に配慮した護岸。環境護岸とも呼ばれておる。