あばれ多摩川発見紀行
ぷろろーぐ/治水と水防のちがい『本題に入る前に、ナゼ治水をするのか?』

まず「治水」とは、

洪水によって起こる災害から川の周辺に住む人々や土地を守ること。
きゅーさん
多摩川で、なぜ治水をするのか?

理由その1 流域に人がいっぱい住んでいて、資産や交通機関が集中しているから
  多摩川は江戸時代から周辺に多くの人が住むようになり、洪水の被害も大きくなっていった。今でも多摩川流域の人口密度()は1Km2あたり、約3,400人。全国平均は337人だから、多摩川の人口密集度はその約10倍じゃ。人がたくさん住んでいるから、鉄道網や道路などの重要な交通機関もたくさん多摩川を渡っておる。したがって水害が起きれば、多摩川流域のみならず、日本という国の経済にも大きな損失を生む可能性大なのじゃ。
(※)人口密度は平成7年度の国勢調査の結果より
理由その2 多摩川は本来「あばれ川」だから
 
年表でもわかるように、多摩川は本来「あばれ川」。左のグラフを見てみるとよくわかるが、多摩川は急勾配の川で、洪水時の流れが強く、その強い流れとともにたくさんの砂利が混ざって流れてくるから、河岸が削られやすいのじゃ。最近ではめったに大きな洪水は来ないからいいようなものの、もし来てしまったら、実際ひとたまりもないのじゃ。 グラフ
つまり治水とは、
こうした川の性質から、洪水によって起こる災害や被害をあらかじめ予測して、護岸工事や堤防整備などの整備を行い、流域に住む人に被害が及ぶのを少しでも抑えるために行うものなのじゃ。こうした整備は、おもに国(国土交通省)や都県などの公の機関が行っておる。

サテ、それでは治水は「水防」とどうちがうのじゃろう。
「水防」とは、例えば川が大雨で増水した時、堤防に危険なところが見つかれば、こわれないようにクイを打ったり土のうを積んだりして、被害を未然のうちに防ぐ、あるいは軽くすることじゃな。水防は各市町村の責任において行うこととなっておる。
多摩川浸水想定区域図も見よ!

治水も水防も目的は同じ。
川の管理者は一生懸命「治水」をしているのだが、これには長い時間がかかり、時としていざ洪水が来た時に整備が完成していないことも十分考えられる。
つまり

そうした治水整備の遅れなどをサポートするのが「水防」なのじゃ。
被害を予め想定して整備する治水と、現実に災害が起こった時、また起こりそうな時、人命と財産を災害から守り、被害を最小限におさえるための人的な活動−水防は、
水害へのそなえの両輪ともいえるものなのじゃ。

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