◇気象
平成10年8月25日9時、南大東島の南東海上で発生した台風4号は、発達しながら東へ進み、26日18時には中心気圧960ヘクトパスカルの中型で強い台風となりました。 台風は次第に進路を北向きに変え、30日15時には八丈島の南南東約350kmに達した後、北東に向きを変え、9月1日9時には八丈島の南東に去りました。そのような状態のなか、台風4号の影響により、南の海上から暖かく湿った空気が太平洋高気圧の西側の縁に沿うように北上し、ちょうど本州に突き当たる恰好となり、本州上の停滞前線を活性化させました。 さらに、栃木県北部は南側に斜面が開いているという地形条件も重なり、山にぶつかった空気が上昇、雷雲などを発生させ大雨となりました。台風の動きが遅かったこともあり、この状態は8月26日から31日まで続き、南の海上で生じた雲が次々と関東地方を襲い、記録的な大雨をもたらしました。
◇出水
台風4号に刺激された停滞前線により降り始めた雨は、8月26日から31日まで栃木県北部を中心に降り続き、流域平均総雨量は446mmに達し、上流部の大沢観測所では総雨量1,091mmと年間雨量の約4分の3に達する記録的な大雨となりました。特に大沢観測所では、1時間当たり最も多く降った雨量は103mmという猛烈な雨量を記録し、その他の各地でも50mm前後の雨が断続的に降り続きました。 この大雨により那珂川は急激に増水し、水府橋(水戸市)の水位は8月27日16時に警戒水位の4mを超える4.20mに達し、さらに28日10時30分には8mを超え、14時には最高水位8.43m(標高7.42m)を記録しました。 8月29日13時には一旦警戒水位を下回ったものの、上流域の強い雨による増水により30日20時30分には8.20mとなり、計画高水位を2度も上回る出水となりました。 |