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●東京環状道路有識者委員会

設立趣旨・委員会名簿 規約 記録 第一次提言 最終提言 最終提言(PDF)

東京環状道路有識者委員会 最終提言 (平成14年11月29日)

最終提言および参考資料 PDF版目次ページ

1.はじめに

 東京環状道路有識者委員会(以下、「本委員会」)は、東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)(以下、「外環」)の計画に関し、PIプロセスの時間管理を念頭に置きつつ、手続きの透明性、客観性、公正さを確保するため、公正中立な立場から、PIプロセスについて審議、評価、助言することを目的としている。
 本委員会は、平成13年12月から平成14年11月までの間、計13回開催された。本委員会では、これまで計画沿線の視察や、反対も含めた計画沿線の地元団体、道路利用者、環境の専門家など、計10団体からのヒアリング、PI外環沿線協議会をはじめとしたPIの実施状況の把握、行政が提出した情報の評価などに努め、PIの状況、外環計画の検討状況について審議、評価を行ってきた。本委員会設置後1年を経過し、第一次提言(平成14年4月参考資料1)に引き続き、議論の節目としてこれまでのPIの評価と今後の外環計画の進め方に関する提言を行い本委員会を終了するものとする。

2.外環におけるPIの経緯

・外環計画は昭和41年に都市計画決定されたものの、その前後から、地元住民及び地元自治体から激しい反対運動がおこった。
・その結果、昭和45年には根本建設大臣が国会において、「地元と話し得る条件の整うまでは強行すべきではない」旨の発言を行い、その後30余年に渡って、外環計画は「凍結」されてきた。
・平成11年10月には東京都知事が計画予定地を視察し、住民と行政の対話のきっかけとなった。
・平成11年12月には、東京都知事が「地域環境の保全やまちづくりの観点から、地下化を基本として、計画の具体化に取り組む」との所信を表明した。
・平成13年1月には、国土交通大臣が担当大臣としては33年ぶりに計画予定地を視察した。
・平成13年4月には、国と東京都から、地下構造のイメージとなる計画のたたき台が提示され、同年5月には、国土交通大臣が国会で「30年以上計画が放置され、地元の皆様にご不便をおかけしたことは大変遺憾である。原点に立ち戻って話し合いの場を設置したい」と遺憾の意を表明し、東京都知事も直後の定例記者会見で遺憾の意を表明した。
・その後、平成13年12月には、道路計画合意形成研究会の提言を受け、我が国初の構想段階のPIにおける第三者機関として、本委員会が設置された。

3.これまでのPIについての評価

(1)寄せられた意見の整理・分析
これまで、情報提供や意見把握のための様々なPI活動(参考資料2)を通じて、寄せられた意見(参考資料3)を整理・分析すると、主な論点は、
・1都3県におけるアンケートの結果から見ても、広域的には外環の必要性を望む声が大きく、その理由として、首都圏の慢性的な渋滞の緩和、首都圏の環境負荷の軽減に期待するところが大きい。
・沿道への影響を抑えた地下構造とすることについては、沿道地域はもちろん広域的にも肯定する意見が大きい
・計画への懸念を示す主な意見は、
−外環の事業実施にともなう道路予定地の家屋移転・補償問題
−インターチェンジやジャンクション周辺の地上部、掘り割り区間の沿道市街地における騒音、振動、大気汚染などの環境悪化への懸念
−自動車交通が増加し、首都圏全体の環境悪化をもたらすとの懸念
−1kmあたり1000億円ともいわれる地下化によるコストが膨大であること
などが挙げられる。

(2)PIの手法についての評価

 【情報提供や意見の把握について】
・PIにおいては、沿線住民はもちろんのこと沿線以外の住民、経済界や運輸事業者などの関係する企業・団体も関係者として、意見の把握に努めるべきである。
・これに対し、今回の構想段階のPIでは、沿線の関係者を対象に広報紙、PI外環沿線協議会、相談所、個別説明会、7区市行政連絡会、区市報、広範囲の関係者を対象にアンケート、ヒアリング、新聞広告、インターネット(ホームページ、電子メール)、はがき、専用フリーダイヤル、FAXなど、対象によって多様な手法を活用している。

 【PI外環沿線協議会について】
・PI外環沿線協議会については、平成13年9月の準備会発足後、しばらく議論が進展していなかったものの、第一次提言後、早期(平成14年6月)に設立されたことは評価できる。
・PI外環沿線協議会は、必要性の有無の議論から行うこととして発足したが、反省点としては、議事進行の方法論に時間をかけすぎ、本来行うべき必要性の討議が十分行われていないことがあげられる。
・PI外環沿線協議会については、国と東京都からだけでなく各協議員からも資料が提出され始めており、今後、それらに対する意見交換により議論が深まっていくことが期待される。
・PI外環沿線協議会は、自律性を高め、可能ならば議論の集約を図ることが求められる。

(3)情報提供及び意見の把握状況についての評価
・PIにおいては、幅広い情報提供および意見の把握が必要である。
・これに対し、今回の構想段階PIにおける情報提供の量は、のべ110万人に及ぶなど、行政の情報提供への努力は評価できる。
・約14900人の方々から意見が寄せられ、その内訳も沿線住民から約6300人、東京都全体約9800人、その他約5100人と様々な角度からの意見の把握がなされている。
・本委員会がヒアリングした結果からみても、説明会、相談所、はがきなどで寄せられた意見により、現段階での論点は概ね把握できているものと考える。


(4)寄せられた意見への対応に関する評価
・PIにおいては、得られた意見に対しては、意見を集約した上で、できるだけ速やかに回答を行っていくことが必要である。
・今回の構想段階PIにおいては、寄せられた意見に対し、外環の必要性、計画内容、環境については、外環の効果と影響に関する資料を用いて情報提供を行っている。
・効果と影響に関する情報は、広域的な効果が主たる内容であり、計画内容や環境に関する情報不足について批判も寄せられたが、構想段階での検討レベルや現状の技術レベルから見てやむを得ないものと考える。

(5)情報提供の内容についての評価
構想段階における情報提供の内容について、資料の内容、資料の作成方法、検討の粗さ(詳細度)の3つの観点から評価する。
1)資料の内容について
・PI外環協議会(仮称)設立に向けた確認内容、これまで寄せられた意見、PI外環沿線協議会や7区市行政連絡会での要望等に沿うように、外環の効果と影響の観点から情報提供を行っている。
2)資料の作成方法
・これまで公表した資料について、特に試算結果のデータについてはその算出根拠の提示など、資料の作成プロセスの透明化を図っている。
3)検討の粗さ(詳細度)
・これまで寄せられた意見のうち外環の効果に関することについては、現段階で想定可能な前提条件にもとづき、現状の技術レベルとして妥当な方法を用いた定量的な分析を行っている。
・仮に、現在行っている試算の前提条件が変化し試算結果が大きく変化しても、構想段階で求められる判断に大きく影響を及ぼす可能性は小さいと思われる。
・ただし、まだ不確定要素が多いため、次の段階以降、交通需要予測等について、より詳細な試算が必要である。さらに、地域の環境悪化に対する評価も今後必要である。

(6)これまでのPIの評価のまとめ
平成14年11月までのPIプロセスについては、総じて行政側から概ね合理的な資料提供がなされている。さらに必要とする資料を提供する努力をしていくべきである。

4.配慮すべき事項と今後の方向性について

アンケート結果に示すように、広域的意見を中心に外環の必要性を認める意見が多かったが、環境悪化や移転など沿線地域への影響に対する地元からの不安は依然解消されていないなど、最終的な合意形成には至っていない。
解消されていない不安として、配慮すべき事項は、
(i)移転棟数については、インターチェンジと上部利用の有無による違い(参考資料4,5)
(ii)環境悪化については沿道環境への影響
(iii)上記全てを含めた費用と便益
があげられるので、今後、議論を深めて行く必要がある。
なお、必要性についての議論を進めるためには、具体的な条件を設定した計画案が必要である。

 【インターチェンジと上部利用】
・今後の議論においては、移転家屋数を出来る限り少なくして、地元住民への影響を軽減化することが、もっとも重要視すべき観点である。
・したがって、今後、外環計画の議論を進めるにあたっては、インターチェンジ無し地下化案を検討の基本において、議論を進めるべきである。
・なお、一定期間内に、地元区市からの明確な要請がなされた場合には、インターチェンジ設置を盛り込んだ案も検討出来るように、配慮すべきである。この場合においても、交通の利便性の向上や移転家屋数などについての配慮は不可欠である。
・国と東京都は、インターチェンジ無し地下化案の検討のために、その計画内容、環境への影響、移転補償策などの具体的かつ詳細な検討を早急に進め、その情報・データと方策案については、情報公開し、PIを実施する必要がある。
・外環の必要性に関する方針決定と上部利用の可否については、議論すべき時期を明確に分け、地上部の利用については、外環の必要性に関する行政判断、政策方針の決定がなされた後に、具体的な検討を進めるべきである。
・なお、外環の基本的方針に関する政策判断は、住民の生活補償、環境対策の責任等と密接不可分であるため、一連のPIの結果として得られた情報を参考にしながら、総合的な行政判断、政策方針の決定として、国土交通大臣と東京都知事が行うべきである。
・外環の行政判断、政策方針の決定については、時間管理の観点が重要である。したがって、平成15年3月にたたき台の提案から2年を迎えるということを充分に認識して取り組むべきである。

 【沿道環境への影響について】
・沿道環境への影響については、正式な環境アセスメント手続きの段階で、より詳細な情報にもとづく検討や、専門家による技術的助言を経て、さらなる評価を行うべきである。
・沿道環境への影響については、正式な環境アセスメント手続きの段階で、より詳細な情報にもとづく検討や、専門家による技術的助言を経て、さらなる評価を行うべきである。
 【費用対便益】
・今後、社会的便益や外部不経済(環境コスト等)なども考慮して社会全体としての費用対便益の比較を行うべきである。併せて誰がその費用を負担し、誰がその便益を享受するかについての問題およびその是正方法なども検討し、総合的判断を行うべきである。
・沿道環境への影響については、正式な環境アセスメント手続きの段階で、より詳細な情報にもとづく検討や、専門家による技術的助言を経て、さらなる評価を行うべきである。
 【柔軟な対処】
・国と東京都は、今後、計画の詳細な検討結果、環境アセスメントの結果、住民や区市の意向などによっては、外環について、計画を廃止する選択肢についても、絶えず、考慮する柔軟性を持つべきである。ただし、外環計画を実行する場合にせよ廃止する場合にせよ、そのデメリットについても明確に公開し、PIを通して、実行ないし廃案を選択した責任について、住民、区市とも分かち合うようにすべきである。

 【PI外環沿線協議会】
・PI外環沿線協議会については、地元住民および区市との重要な意見交換の場であるので、現時点で事務局と進行役を務める国と東京都は運営方法を改善し、議論が深まるよう努めるべきである。

 【住民の生活補償のために今後検討すべき課題】
・国と東京都は、買い取り希望者の土地の買収、代替地の買収や受け皿住宅の建設、農地所有者の相続税等の猶予あるいは軽減措置など、具体的な対策の検討を早急に進めるべきである。

 【沿線住民アンケート】
・広域的なアンケートは実施済みであるが、外環道路計画の沿線住民に対しても、アンケート調査を実施することが重要である。なお、その際、都市計画決定範囲とその周辺及び区市全域範囲では、立場が異なるため、区別してアンケートを行うよう留意すべきである。

5.本委員会の果たした役割

これまでに行った本委員会の活動を自己評価すると、本委員会が果たした役割としては以下のような点が挙げられる。
・外環に関する問題の所在と論点を整理し、広く広報したこと。
・過去の経緯を精査し、行政への反省を求め、PIの展開に向けて提言を行ったこと。
・多様な関係者や関係団体から広く意見の聞き取りを行ったこと。
・今後の外環計画の進め方について提言を行ったこと。
 今後は、必要があればPIプロセスや技術的課題などに対して、適宜、有識者・専門家の意見を聞くべきである。

6.おわりに

今回のPIプロセスにおいて、いくつかの留意点はあるものの、外環の計画決定プロセスに大きな改善が見られた。今後この経験がさらに活かされることを委員会としては期待したい。

 

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