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PIの取組


●東京環状道路有識者委員会

設立趣旨・委員会名簿 規約 記録 第一次提言 最終提言 最終提言(PDF)


東京環状道路有識者委員会 第一次提言 (平成14年4月5日)

1.はじめに

 東京環状道路有識者委員会(以下、「本委員会」)は、道路計画合意形成研究会の提言を受け、我が国初のパブリック・インボルブメント(以下、「PI」)における第三者機関として、平成13年12月に設置されたものである。本委員会は、東京外郭環状道路(以下、「外環」)の計画に関し、PIプロセスの時間管理を念頭に置きつつ、手続きの透明性、客観性、公正さを確保するため、公正中立な立場から、PIプロセスについて審議、評価、助言することを目的としている。

 また、この目的を達成するため、「(1)PI手法や進め方について検討、評価。(2)必要に応じ、市民等の意見を把握、整理、分析。(3)外環計画の必要性(効果と影響)及び内容について審議。(4)基本計画策定に当たり配慮すべき事項、方向性に関する助言、報告。」について実施するものである。

 本委員会は、平成13年12月から翌年4月までの間、計6回開催された。先ず、本委員会では、文献資料で外環計画のこれまでの経緯等の把握に十分努めるとともに、現地をよく理解することが必要との考えから、上空、および、地上での計画沿線の視察を行い、各委員による状況把握に努めた。

 また、反対も含めた計画沿線の地元団体や道路ユーザーなど、計4団体から幅広い意見を直接ヒヤリングした。
これらの情報を総合的かつ客観的に整理分析し、これまでの議論の節目として、本提言を取りまとめることとした。

 本提言は、本委員会の当面のテーマとして議論した都市計画決定前後からこれまでの住民と行政との対話のあり方、および、これからのPIのあり方についてのこれまでの議論のポイントを取りまとめたものである。

2.住民と行政の関わり方を中心としたこれまでの経緯について

(1)都市計画決定(昭和41 年)から地元との対話以前(平成12年)までの経緯についての評価

昭和45年の根本建設大臣による国会発言を契機に、外環計画は過去30余年に渡って、いわゆる「凍結」されてきた。時代背景の違いもあるため、凍結に至った経緯について評価するという「歴史を裁く」ことは難しいが、行政の対応の問題点について、委員会の意見を述べる。

【凍結について】
・旧都市計画法の下で合意形成が不十分なまま、住民に突然とも受け取られる形で都市計画決定がなされたことが、外環問題の住民反対の原点となっている。
・当初計画が見直しにつながろうとしていることは、時代状況の変化を示すものとはいえ、「白紙撤回」を主張してきた市民運動の成果でもあることを行政は深く認識すべきである。
・外環に関係する行政機関は、凍結しただけでその後30年以上、説明や対話の努力を怠り、計画を放置したことを猛省すべきである。
・以上の諸点を踏まえた上で、長期間の凍結は、地元住民にとっても首都圏全体にとっても問題であり、早期解決が必要である。

【対話の開始について】
・平成9年から11年にかけて、行政、住民双方の対話への努力により、事態は改善された。その後、今日に至るまで情報の共有に向けた努力は、透明性、公正性、周知の努力からみて、一定の評価を与えることができる。
・特に東京都知事および国土交通大臣の現地視察は、対話のきっかけとして大きな役割を果たした。

(2)地元との対話開始(平成12 年)から現在までの行政の取り組みについての評価

近年の行政の取り組みは、それ以前と比べ改善されているが、このうち、情報提供、意見把握の状況の取り組みを中心に評価する。特に、たたき台の提示、国土交通大臣の遺憾の意の表明と、話し合いの場の提案について評価する。

【情報提供と意見把握について】
・地元との対話開始以降、各方面の関係者とインターネット、専用電話、パンフレット、広報誌、説明会、現地見学会、相談所、アンケートなど様々な手法を用いて情報提供と意見把握に努めている点は認められる。
・しかし、広域の関係者への周知が不足しており、今後、新聞広告の活用や専用フリーダイヤルの設置なども検討すべきである。

【たたき台の提示とその後の対応について】
・平成13年4月に、地下構造のイメージを示すための「計画のたたき台」が出されたことは、4,000以上に及ぶ様々な意見が寄せられるなど議論の活性化が図られた点から評価できる。
・また、たたき台に寄せられた意見について全ての種類の意見を公表している点が公正な姿勢として評価できる。
・たたき台の公表以降、議論が深まっていないことが課題である。その原因としては、たたき台に寄せられた意見に対する行政からの回答が無いこと、さらにこれら意見を踏まえた行政としての対応や方針が示されていないことなどが大きいと思われる。

【国土交通大臣の遺憾の意の表明について】
・平成13年5月には、国土交通大臣が遺憾の意を表明し、あわせて新たな話し合いの場の設置を提案したことは大変重く、今後の行政の姿勢には期待がもてる。

【様々な議論の場について】
・これまで、外環の関係者間の議論の場として、国と東京都の間においては、「東京外かく環状道路懇談会」、沿線7区市との間には、「東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会」、地元住民との間には、「地元団体との話し合い」、「PI外環協議会(仮称)準備会」などが設置され、多方面の議論が進んでいるが、各組織間の情報が相互に共有されていないことが課題である。
・東京環状道路有識者委員会は、第三者機関として、本来これらの組織に先だって設立されPIの全体像を把握し適切な助言を行うべきであったと考える。しかし、当委員会が他の関係者間の組織に遅れて設立されたという現状を踏まえつつ、今後は各関係者間の議論が円滑に行われるよう助力していきたい。

3.今後のPIを進める上での課題について

(1)関係者との対話のあり方についての助言

今後のPIについて、対話の対象者や意見把握のあり方について助言するとともに、PI外環協議会(仮称)やその他のPIの体制など、行政の対話のあり方について助言する。

【対話すべき対象者の範囲について】
・過去の経緯から沿線住民及び沿線7区市に重きを置いて関係者としてきたのは当然であるが、沿線以外の住民、経済界や運輸事業者などの関係する企業・団体も関係者として、意見の把握に努めるべきである。
・今後、さらに幅広く把握される意見の分類に際して、どの様な人が、どの様な懸念から、どの様な意見を言っているかなど、各意見の背景を考慮するなどの配慮が必要である。
・特に、東京都市圏の交通渋滞により都心部の生活環境が悪化していることを考慮し、その実態を把握することが必要である。

【広範な意見把握とそれへの対応について】
・沿線以外の広範な意見の把握については、団体ヒアリングやオープンハウスなど様々な手法によって十分に行うべきである。ただし、参加対象者、規模、窓口、手法などを予め体系的に整理し、効率的なPIの運営に努めるべきである。
・このような場において、提供された情報、および、把握された意見については、広く共有していく努力が求められる。
・これまで提供された情報については、一覧できるよう整理すべきである。
・また、得られた意見に対しては、これまでに寄せられた様々な意見とあわせて、できるだけ速やかに回答を行っていくことが必要である。
・ただし、極めて多数の意見に対して、一つひとつ応えることは効率的でなく、意見を集約した上で、応えることが望ましい。

【沿線住民との話し合いについて】
・沿線住民との話し合いの場としては、PI外環協議会(仮称)が準備されているが、早期にスタートさせることが望ましいと考える。
・この協議会の場においては、外環道路計画への考え方が異なる住民が、同一のテーブルに会し、多様な考え方があることを相互に認識すべきである。
・協議会は、結論を出す場でないが、様々な意見を極力集約するよう努めるべきである。
・沿線住民に限らず、区市の意見や、協議会以外からの意見も同時に大切にすべきである。
・今後、協議会以外にも意見を把握する機会は多種多様となることが予想されるが、相互に情報の共有ができるよう工夫すべきである。

【行政の姿勢について】
・行政組織間および各行政組織内部の情報の連絡、調整が迅速に図られるよう努めるべきである。
・関係者が対等に議論できるよう、必要な情報を専門的、客観的意見を踏まえつつ、可能な限り提供すべきである。
・また、議論を深めていくため、行政は「計画のたたき台」への意見を含め、この間の議論を踏まえた新たな考え方を示していくべきである。

(2)必要性の議論を進めるにあたっての住民と行政の姿勢のあり方についての助言

外環計画の必要性については、都市における生活環境への外環の功罪についての議論が重要であり、今後の議論における行政の取り組み姿勢、および、その前提となる情報提供のあり方について助言する。

【議論に際しての姿勢について】
・必要性の議論にあたっては、「計画ありき」、「建設ありき」で必要性の議論をしてはならず、整備しなかった場合も含めて議論すべきである。
・必要性の議論にあたっては、整備された場合の効果だけでなく、整備した場合の周辺への影響はもちろんのこと、整備しなかった場合の都市の生活環境や都市活動への影響など、外環の功罪について議論することが大切である。
・その上で、客観的に共有できる情報を増やし、共通認識を持てる部分を積極的に増やしていく姿勢が大切である。

【必要性に関する情報提供について】
・これまで行政が公表した効果と影響の資料については、まだ不十分であり、今後改善すべきである。特に、詳細な環境アセスメントは、法定手続きで行うことになるが、構想段階の検討上必要な環境のデータ類は、行政において整理すべきである。さらに、効果と影響についての説明および情報提供にあたっては、幅広く情報が理解され多くの関係者で共通認識をもてるようわかりやすく表現することが必要である。

(3)具体の計画内容での議論の方向性についての助言

外環計画を考える際の前提条件として、具体の情報がないために誤解が生じ、議論が進んでいない場合もあることについて助言する。

【計画案について】
・具体の案がないことで、地元の不安が広がっている面も見受けられることから、行政は、議論の素材ともなる案を含めた考え方を必要に応じ、示すべきである。

【インターチェンジ(IC)について】
・ICの有無は、周辺の生活環境、土地利用、交通環境など、地域に与える影響が大きいため、ICに関する情報を早急に提示することも、外環の必要性を議論する上で重要である。

【地上部について】
・地域住民にとっては、外環計画を考える上で地上部のあり方は大きな問題であり、地上部のあり方について、早急に議論を深めていくことが必要である。
・地域住民にとって有意義な構想となるよう、地元自治体を中心に将来のまちづくりの観点からの議論が必要である。

(4)進行管理の考え方についての助言

外環計画に関する検討の進め方については、十分な配慮が必要であり、そのあり方について助言する。

【時間管理の考え方について】
・地元住民には、「35年間放置された挙げ句、また強行されるのではないか」との意見がある一方で、「やるかやらないか早く決めて欲しい」等の意見がある。今後、十分な議論を行う一方で、時間管理を念頭に置くべきである。

【PI プロセスの明確化について】
・PIプロセスについては、プロセスの明確化が重要である。しかし、結論ありきのPIとならぬよう、プロセスのあり方についても幅広く意見を聞きながら進めることが必要である。

【意思決定プロセスとPIの位置づけ】
・外環計画の意思決定プロセスのあり方とその中でのPIの位置づけの明確化についても今後整理すべき課題である。

4.おわりに

・本委員会は、今後も、国、東京都、沿線自治体、市民等との議論を踏まえ、PI全体が円滑に進行することを期待し、節目で次回の提言を行いたい。

 

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