日本橋税務署は、東京都中央区の都心部に昭和43年に建設された庁舎で、耐震診断の結果、改修等の措置を講ずる必要があると診断されました。そのため、庁舎の耐震安全性の向上をはかる耐震改修を行うとともに、約50年の歳月で経年劣化した外壁、屋上防水、電気設備、機械設備等の改修を行いました。
耐震改修工法の検討にあたり、一般的な耐震壁と筋かいの補強による耐震改修を検討したところ、事務室空間に補強部材が配置され、改修後の執務に大きな支障をきたす結果となり、採用は不可能とわかりました。そこで免震部材による改修を検討したところ、建物1階は主に駐車場や倉庫として利用されており、免震部材を設置するスペースがありましたので、1階に免震部材を設置することとしました。
また、外壁の既存プレキャストコンクリートパネルが劣化しており、免震層上部躯体の軽量化も図る必要があったため、全面取り替える改修も行っています。改修後の外壁は、日本橋人形町界隈の歴史を踏襲する「粋な」建築モチーフとして縦格子を基調とするアルミパネルとし、色彩については、日本橋の地域性にあったシンプルで都市的なイメージを表現するため灰色を基調としています。
約半世紀前に建設された庁舎を大規模リニューアルすることで、施設の機能劣化及び利用者ニーズの変化に伴う社会的な機能劣化への対応を図ることができました。
所在地:東京都中央区日本橋堀留町2-6-9
敷地面積:673.12m2
建築面積:597.66m2
延べ面積:4,114.79m2
構造階数:RC-8-1
完成年度:平成29年度