中央防災会議において、平成17年9月に「首都直下地震対策大綱」が、平成18年4月に「首都直下地震応急対策活動要領」が決定されたことを受け、内閣府において、平成19年6月に「中央省庁業務継続ガイドライン」が策定され、各省庁はこのガイドラインに基づいて業務継続計画 (※) を作成することとなりました。
「業務継続のための官庁施設の機能確保に関する指針」は、施設管理者が、施設に要求される機能を的確に把握し、非常時優先業務を確実に実行するにふさわしい施設機能を確保するための基本的事項を定め、機能確保のための計画を作成することを支援することにより、業務継続の確実な実施に資することを目的としています。
※業務継続計画とは、大規模な災害等が発生し、各省庁が相当な被害を受けた場合において、非常時優先業務を円滑かつ確実に行うために各省庁が策定する計画をいいます。
本指針は、業務継続計画を策定する中央省庁及び地方支分部局等が非常時優先業務を行う施設を対象としています。
また、本指針において想定する基本的な対象事象は「地震」としています。
業務継続が確実に行われるためには、業務を行う場である官庁施設が発災時においても有効に機能しなければなりません。
建築構造体に問題がないことはもとより、非常用電源をはじめとする設備機能の確保が特に重要です。
施設機能確保にあたっては、「施設管理者」が中心的な役割を果たさなければなりません。
「施設管理者」とは、各省庁の職員であり、庁舎の維持、管理、運営を行うために必要な業務を発注する権限をもち、施設の管理等に関する業務を行っている者をいいます。
「施設管理者」は、現状の施設機能を把握し、業務継続計画の策定及び見直しに参画することが求められます。
また、発災時には、「維持管理受託者」「警備受託者」「非常時優先業務を行う各部局」と連携し、施設機能の確保に迅速に対応する必要があります。
本指針は、業務継続計画の作成に参画する施設管理者の手引書として活用できます。
施設機能の分類
本指針は、業務継続のための施設機能を「基幹設備機能」「活動支援空間における機能」「執務空間における機能」の3つの機能に分類し、それぞれの機能を確保するための具体の手法を示しています。
また、対象事象が地震であるため、「耐震安全性」の確保について解説しています。
発災時における施設機能確保のための運用計画
施設管理者は、非常時優先業務を行うために必要な施設機能を迅速かつ的確に確保しなければなりません。そのため、関係者それぞれの役割を認識し、発災後の点検体制や点検のためのチェックシート、復旧手順をまとめた運用計画を作成することとしています。
また、関係各者と連携し、迅速に対応できる体制を構築しておく必要があります。
業務継続を考慮した施設機能確保のための整備計画
業務継続計画を実行性のあるものとするためには、施設機能の現状把握が欠かせません。
チェックシートなどを活用し的確な現状把握を行ったうえで、目標とする機能との乖離がある場合には、適切な対策を施す必要があります。
そのため、施設管理者は、施設機能の現状、改修時期、費用等を記載した整備計画を作成することとしています。