国土交通省 関東地方整備局 荒川上流河川事務所
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事務所の取組み

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    新岸河川・総合治水対策事業

    新河岸川は、埼玉県の南西部、東京都の北多摩地区及び北西部の一部を流域にもつ、流域面積411km2(狭山湖、多摩湖を含む)、幹川流路延長34.6kmの荒川水系の支川です。
    流域の都市化が著しい新河岸川流域では、急激な市街化により水田や畑などの保水・遊水機能が低下し、コンクリートやアスファルトで覆われた地表からは、降雨が河川に出やすい状況となっています。
    こうした状況から、新河岸川は昭和55年5月に「総合治水対策特定河川」の指定を受け、さらに昭和57年8月に「新河岸川流域整備計画」を策定し、平成17年3月には近年の出水状況及び流域開発状況の変化に対応するため、新河岸川に流域整備計画を改定しました。

    流量配分図

    都市化が進む新河岸川流域

    浸水する川越市の旭住宅(写真提供:埼玉県河川砂防課)

    宅地が増え、都市化が進む新河岸川流域では、平成10(1998)年8月洪水で約170haにわたって浸水し、多くの住宅が床下・床上浸水の被害に遭いました。

    総合治水対策とは

    人口・資産が集中する大都市地域の都市河川のうち、都市化の進展で治水安全度の低下が著しく、また従来から浸水被害が既成市街地を占める河川では、都市の発展と成熟状況に応じた治水安全度を確保する必要があります。
    そこで、河川管理者による治水施設整備のほか、流域の自治体や住民に対して、適正な保水・遊水機能の維持・確保が図られるような土地利用や、施設整備の誘導を行う施策として「総合治水対策」があります。

    総合的な治水対策の概念図

    保水・遊水機能とは

    開発が進行すると、従来水田などに浸透していた雨水がその場を失い、下流への流出を引き起こしやすくなります。
    こうした保水・遊水機能の低下した場所では、学校の校庭などを利用して流出抑制施設を造ったり、あるいは家を高床式にするなどの工夫が求められます。

    開発が進む前

    【開発が進む前】
    雨水の大半は地中に浸透(保水機能)、あるいは水田やため池に貯留(遊水機能)され下流への流出は抑えられます。

    開発が進んだ後

    【開発が進んだ後】
    地表がコンクリートやアスファルトで覆われたり、森林や水田・ため池がなくなることによって下流への流出が増大し、低地部での氾濫被害が増大します。

    荒川上流河川事務所における取組み

    荒川上流河川事務所における取組み

    荒川上流河川事務所では、これまでに新河岸川の治水安全度を向上させるために、南畑排水機場(昭和61年度完成)並びに朝霞水門(平成7年度完成)に朝霞調節池(平成20年度完成)を整備し、洪水時にはこれら施設を活用しながら浸水被害の軽減を図っています。

    治水施設

    南畑排水機場

    【(1)南畑排水機場】
    昭和61年度 南畑排水機場完成
    場所:埼玉県富士見市南畑新田地先
    ポンプ容量:60m3/s(30m3/s×2台)

    朝霞水門

    【(2)朝霞水門】
    平成6年度 朝霞水門完成
    場所:埼玉県朝霞市下内間木地先
    水門幅:20m×2門

    朝霞調整池

    【(3)朝霞調整池】
    平成16年度 供用開始
    場所:埼玉県朝霞市下内間木地先
    調整池面積:約20ha

    治水施設による効果

    【平成11(1999)年8月14日洪水】
    新河岸川の総合治水対策の一環として造られた朝霞水門、南畑排水機場は、平成11(1999)年8月14日洪水において、その効果を発揮しました。
    朝霞水門は、延べ14時間にわたって水門を操作したことで、水門地点で最大約1.1mの水位を低減。 新河岸川から1,050万m3(東京ドーム約8.5杯分)の水を荒川へ流し、新河岸川下流部への洪水負担を軽減しました。
    また南畑排水機場は、排水量30m3/secのポンプ2台を延べ75時間稼働したことで、排水路分流地点で最大約0.8mの水位を低減させました。

    【平成16年10月 台風22号】
    朝霞調節池は暫定運用の開始した平成16年において、台風22号による出水時に約28.4万m3の洪水調節を行い、周辺の浸水被害を回避しました。

    【平成29年10月 台風21号】
    平成29年10月の台風21号による出水においては、朝霞調節池に約36万m3の洪水が流入し、新河岸川の洪水を調節する効果を発揮しました。

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